米澤穂信の『黒牢城』直木賞受賞/あらすじ/感想、「時代物」小説が苦手でも問題無し

「氷菓」から始まった〈古典部シリーズ〉や、
〈小市民シリーズ〉、
「折れた竜骨」「満願」「王とサーカス」など、数々の傑作を発表し続け、
日本の文学賞へ足跡を残してきた作家:米澤穂信が、
2021年に刊行した「時代物」小説。

黒牢城

米澤穂信『黒牢城

米澤穂信が自身初の「時代物」を描いた長編小説

✅ 本作は、第166回直木賞受賞第12回山田風太郎賞受賞
第22回本格ミステリ大賞(小説部門)受賞など、数々の賞を獲得

✅ 「時代物」系の小説が苦手な方でも、問題なく読み進められると思います
(私はまさに「時代物」が苦手でした)

〈古典部シリーズ〉を初めて読んだ時から追い続けている作家:米澤穂信

好きな作家なんですけど、
「時代物」小説への興味無し、読む気が全くおきない、という状態でしたので、
躊躇しておりましたが、
「文庫本の発売」と「好きな作家」、この2つが重なりましたから、
「読書決定」となった黒牢城

苦手意識は吹き飛びましたね。

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米澤穂信『黒牢城』

米澤穂信『黒牢城

目次
  • 序章「因」 5〜
  • 第一章「雪夜灯籠」 23〜
  • 第二章「花影手柄」 141〜
  • 第三章「遠雷念仏」 259〜
  • 第四章「落日孤影」 383〜
  • 終章「果」 491〜
  • 解説:マライ・メントライン 517〜

 

第166回直木賞受賞

第166回直木賞(2021年下半期)の候補作となった米澤穂信『黒牢城

2022年1月19日に選考会が行われ、
受賞となりました。

第166回直木賞(受賞⭐️)

〈候補作5作品〉

逢坂冬馬「同志少女よ、敵を撃て」/早川書房

彩瀬まる「新しい星」/文藝春秋

⭐️今村翔吾「塞王の楯」/集英社

柚月裕子「ミカエルの鼓動」/文藝春秋

⭐️米澤穂信『黒牢城/KADOKAWA

第166回直木賞は、
今村翔吾「塞王の楯」と米澤穂信『黒牢城W受賞となりました。

その他にも黒牢城は、
第12回山田風太郎賞 受賞
第22回本格ミステリ大賞(小説部門)受賞
ミステリが読みたい!週間文春ミステリーベスト10このミステリーがすごい!本格ミステリ・ベスト10〉の国内部門1位となり、史上初となるミステリ・ランキング4冠達成
週刊朝日の〈2021年 歴史・時代小説ベスト3〉で1位。

異様に高い評価を受けた「時代物」小説となっています。

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あらすじ

黒牢城』あらすじ

本能寺の変より4年前。

織田信長に叛旗を翻し、有岡城に立て籠った荒木村重は、
黒田官兵衛の訪問を受け、
話し合いをし考えを巡らせたが、
戦国の習いに背き、
官兵衛を地下の土牢に閉じ込めてしまう。

ここから、

有岡城にが刺し始める・・・。

城内で起こる様々な難事件。

兵や民草の心にも疑念が巣喰い、
やがて城が落ちてしまう。

そこで村重は、

地下の土牢に捕らえた知将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めるために、
何度も土牢に足を運ばざるおえなくなってしまった。

村重と官兵衛、
2人の探偵の壮絶な推理戦が事件を解決へと導いていくが、
その裏に潜む影は、村重の想像を遥かに凌ぐ暗さを秘めて・・・。

戦国の乱世を生きていく男たち、
彼らに救いはあるのか、そして、
行く着く先は、果たして・・・。

黒牢城

 

 

おじさんの感想

おじさんの声
おじさんの声
米澤穂信『黒牢城』の感想

 

正直に言いますと、
「時代物」小説を読んだのはこの黒牢城が初めてです。

 

「時代物」系のドラマや映画は多少ですけど、視聴します。
(最近で言うと、ドラマ「SHOGUN 将軍」や映画「首」など)

 

けど、どうしても「時代物」の小説は読む気が起きなかったんですよね。読む気が起きない、手に取る気は皆無、といった感じ。

 

今回、
好きな作家の1人である米澤穂信が書いた小説である事と、
タイトルになっている黒牢城のダークさ、直木賞を受賞している事実などから、
「とりあえず、読んでみるか・・・」ぐらいで読み始めてみました。

 

結果、非常に面白かったですね。ビックリ。

 

全く読む気が起きなかった「時代物」小説で楽しめるとは思いませんでした。

 

〈古い言葉使いで読み難くないですか?〉
確かに分かりにくい言葉や言い回しは出てきます。漢字も難しい。
それでも、文章で描写されている状況や心情など、理解出来ないなんて事はありません。
明らかに読みやすいし、物語の内容もしっかりと頭の中に描くことが可能です。
「時代物」の映画やドラマを視聴したことのある方なら、難なく最後まで読み進められる小説です。

 

〈実際のところ、面白いの?〉
面白いです。ミステリー小説としての楽しみ方もできますし、
歴史的な事実となっている部分(官兵衛が有岡城に囚われたのは史実)と、
その囚われた状態で起きた事件(これは史実とは言えないフィクション)などを織り交ぜた物語で、
ある意味、想像力をフル活用して読み進められる最適な「時代物」といった感じでした。
(私は「時代物」小説を全く読みませんけど、これだけ面白かったら、そんな想いに)

 

〈読み終わった時、どんな感情に?〉
ネタバレはしたくないので、多くは語りませんけど、2つだけ。
荒木村重の行き着いた先、と、
黒田官兵衛の行き着いた先。
この2つを想うと感情が否応なしに揺さぶられてしまいます。
せっかくなので、まだ読んでいない方、気になる方は文庫本を手に取ってみてください。
ネタバレなんて勿体無い。

 

米澤穂信『黒牢城
文学賞をたくさん受賞したからオススメ、ではなく、
面白かったからオススメしたい「時代物」小説でした。

 

 

最後に

先日、
北野武監督の「首」を視聴しました。

その中に、
荒木村重(遠藤憲一)、
黒田官兵衛(浅野忠信)が登場していたので、
米澤穂信黒牢城を読み進めながら脳内変換してしまいました。

良いか悪いかは分かりませんけど、
妙な楽しみ方を出来たのも事実です。

ただ、
あの「首」なら、黒牢城を映画化した方が面白かったのではないか、
そう感じてしまったのも事実・・・。

「時代物」系のエンタメ作品、これからも少しだけ楽しんでいこうと思った今日この頃でした。

ではまた。

 

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