『久坂部羊のおすすめ小説8選』〜文庫で読む、現役医師が描く医療界の壮絶な裏側?!

文庫化されると、必ず手にとって読み進めてしまうほど好きな作家、
そこまで多くはありません。

むしろ少ないぐらいです。

迷うことなく読み進める、
そんな数少ない作家の1人が久坂部羊

「医療界の壮絶な裏側」を自分の目で見ている現役医師の描く物語は、
良い意味でも悪い意味でも、グロテスクな現実を突きつけてきます。

「知らないほうが良かったな〜・・・」となるのか、
「こんな裏側が現実に存在していたのか・・・」
と驚き感心しながらページをそっと閉じるのかは、読み進めてみてのお楽しみですね。

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『久坂部羊のおすすめ小説8選』

久坂部羊(1955年7月3日〜)は、
日本の小説家、推理作家、医師です。

久坂部羊

2003年「廃用身」で作家デビュー

第2作「破裂」は、現代版”白い巨塔”と評される

2014年、「悪医」で第3回日本医療小説大賞を受賞

今も現役の医師

文庫化されればノータイムで手に取ってしまう、
それぐらい好きな作家の久坂部羊

現役医師が描く医療界は「闇だらけ」といった怖い小説が多いんですけど、
その怖さを読者に突きつけられるのも、
現役医師だからこそ、ではないでしょうか。

偽物の言葉は響きませんが、本物の言葉は響きすぎますね。

個人的な『久坂部羊のおすすめ小説8選』をご紹介します。

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「院長選挙」

院長選挙」あらすじ

わがまま、自惚れ、傲慢、嫉妬、強欲。

大学病院の教授たちの実態は、
ありとあらゆる欲の塊が白衣を着ていただけだった?

院長が突然死をした大学病院の中で繰り広げられる「院長選挙」。

権力の椅子をめぐる4人の副院長たち。

女性フリーライターの取材から垣間見れる「欲の化け物たち」。

気持ち悪さと笑いの詰まったブラック・コメディ・コントの数々。

「大学病院の教授たちはひどいな〜」
とある意味、楽しく読み進めていけるんですけど、ラストに書かれていた文章に背筋が寒くなりました。

この作品はフィクションであり、実在の人物・団体とは、
ちょっとしか関係ありません

現役医師:久坂部羊が、
ちょっとだけ見てきた現実なのかも・・・。

 

 

 

「介護士K」

介護士K」あらすじ

大田区蒲田の有料老人ホーム「アミカル蒲田」で、
入所していた84歳の女性が、
深夜に4階のベランダから転落し死亡する事故が発生。

その事故状況に違和感を覚えたルポライターの朝倉は、

第一発見者の介護士・小柳恭平の関与を疑う。

「アミカル蒲田」と恭平への取材を重ねていく中で、
介護現場の厳しい現実に直面する朝倉。

事故だったのか事件だったのか、揺れ動く朝倉の気持ちが定まらないまま、

第2、第3の死亡事故が「アミカル蒲田」で・・・。

現役医師:久坂部羊が、
2014年に実際に起きた事件「川崎老人ホーム連続殺人事件」から着想を得て、
自身が経験してきた高齢者医療と介護現場を基に書かれた物語です。

高齢化社会、介護施設の不足、介護士の不足、
すでに現実として私たちに突きつけられている現実。

重いテーマだけど無視はできない、
そんな長編小説「介護士K」でした。

 

 

 

「告知」

告知」6つの物語

線をつめる
自宅で亡くなるというのは、どういう事なのか?
在宅医療のリアルな現実

罪滅ぼし
アルツハイマー型認知症の妻を持つ夫の話。
仕事人間で家事を無視してきた男が、在宅医療と関わり、どう変わるのか?

告知
助かる見込みのない末期ガンの患者へ、ストレートに告知できるのか?
終末期医療と在宅医療、
目を背けずに患者に向き合っていく事しか・・・。

アロエのチカラ
時として人は、不確かな物に身を委ねる事がある。
誇張した効力のサプリメントや代替医療、
神に祈るだけだったとしても、批判なんて誰もできない。

いつか、あなたも
心の病は、知らないうちに家族を巻き込み、医師、看護師にも影響する。
それでもひたすらに向き合っていくしかない。
在宅医療の現場だとしても、それは同じ。

セカンド・ベスト
治療法も予防法も無い難病。苦しみながら時が止まる未来は決定している。
医療界全体、在宅医療、そして、安楽死問題。
目は背けられない。

告知」は6つの物語から構成された連作短編集です。

現役医師:久坂部羊が経験した在宅医療、
その経験に基づいた小説となっています。

在宅医療の壮絶なリアルを感じられる小説です。

「目を背けてはいけない現実」、「目を背けたくなる現実」、
告知」を読み進めながら色々と考えてしまいましたね。

 

 

 

「祝葬」

祝葬」あらすじ

代々医師の家系に生まれた佑介は、
自分の死を案じするような謎の言葉を残して、37歳という若さで急死した。

「もし、君が僕の葬式に来てくれるような事になったら、
その時は僕を祝福してくれ」

生前、佑介が語っていた「一族にかけられた早死にの呪い」、
その意味するところとは?

長生きさえしておけば、それで幸せなのか・・・。

ある一族の死を巡る物語。

祝葬」は、5つの短編を連ねた1つの物語となっています。
(祝葬/真令子/ミンナ死ヌノダ/希望の御旗/忌寿)

「長生きは本当に幸せですか?」

こう問いかけられている感じを受ける物語。

医療現場の葛藤を見てきた医師ならではの視点で描かれています。
本当に考えさせらてしまいますね。
そして、答えが出せない・・・。

 

 

 

「黒医」

黒医」7つの物語

人間の屑
無脳児はバラ色の夢を見るか?
占領
不義の子
命の重さ
のぞき穴
老人の愉しみ

医者も医療も、無意識に信じていいものなのか?

医療が進歩していく先に、幸せな未来は待っているのか?

そして、あなたの未来に救いはありますか?

黒医」は7つの物語で構成されている短編集です。

ブラックユーモアを感じさせる内容ではありますが、
ちょっと考えてみると、未来への怖すぎる警鐘とも受け取れる物語ばかり。

現役医師が描く医療界の話、説得力があるんですよね。
だからなのか、妙に怖いというか、医療界を信じられなくなるというか・・・。

小説として楽しめる事を祈っております。

 

 

 

「テロリストの処方」

テロリストの処方」あらすじ

消化器内科医として働いていた浜川。
5年前から医事評論家としてデビューしていたが、今は筆1本の生活になっていた。

そんな浜川が目にしたニュース。

「医師焼殺”勝ち組医師テロ”、3件目の犯行か?」

”勝ち組医師テロ”というおぞましい事件は、
”勝ち組医師”と称される医師ばかりを狙った連続テロ事件。

そして、犯行現場に残されている犯人からのメッセージ、

豚二死ヲ

勝ち組と負け組に二極化される医療界、勝ち組医師ばかりを狙ったテロ、
犯人の目的は一体・・・。

医療界の内側を知る久坂部羊が、
医療界の未来を危惧し、テロを絡ませたミステリーに書き上げたのが、
テロリストの処方」です。

近い将来に起こりうると想像できる物語ですけど、
まともに受け取ってしまうと、医療界全体にイヤな感情だけが残る始末に。

こちらの小説も、小説として楽しめる事を、
心から願っています。

 

 

「カネと共に去りぬ」

カネと共に去りぬ」過去の7つの名作が医療小説に

医呆人
(元ネタ:”異邦人”)

地下室のカルテ
(元ネタ:”地下室の手記”)

予告された安楽死の記録
(元ネタ:”予告された殺人の記録”)

アルジャーノンにギロチンを
(元ネタ:”アルジャーノンに花束を”)

我輩はイヌである
(元ネタ:”吾輩は猫である”)

変心
(元ネタ:”変身”)

カネと共に去りぬ
(元ネタ:”風と共に去りぬ”)

過去の7つの名作を、ちょっと背筋が凍る7つの医療小説に。

元ネタになっている過去の7つの名作を、
読んでおかなくても問題なしで読み進められる短編集、
カネと共に去りぬ」。

タイトルからは少しふざけた感じを受けますけど、
人間のために犠牲となっている動物のお話や、安楽死問題など、
笑えずゾクッとするような短編集・・、お金の問題だって・・・。
笑えませんね。

現役医師:久坂部羊が描く医療の世界は強烈です。

 

 

「無痛」

無痛」あらすじ

神戸の住宅地で一家四人殺害事件が発生。
地獄絵図とかした現場、
現役の警官ですら目を背けてしまう恐ろしい光景となっていた。

即、犯人逮捕とはいかず、約8ヶ月後、

ある精神障害児童施設の14歳の少女が、
自分が犯人だと告白。

刑法第39条
1、心神喪失者の行為は、罰しない。
1、心神耗弱者の行為は、その刑を軽減する。

刑法第39条が重くのしかかってくる事件の真相とは?

私が初めて読んだ久坂部羊の小説が、
この「無痛」でした。

刑法第39条が絡んでくる、読み応え十分な重い医療ミステリー。

ブラックユーモアの匂いは一切しなくて、
今とは全然違うじゃないかと、嫌味の1つでも言いたくなるぐらい、
本当に重いお話でした。

どちらかというと、この「無痛」は、
他の小説と比べ少し勧めづらい、というのが本音ですね。
文庫で600ページにも及ぶミステリーで、刑法39条が絡む・・・。

面白さよりも重さ、悲痛な感覚を味わっても良いなら、
無痛」を1度、読んでみてください。

 

 

動画サイト 「無痛〜診える眼〜」全10話
FODプレミアム原作:久坂部羊「無痛」
主演:西島秀俊
2週間以内なら無料で視聴可能

 

 

最後に

 

駆け足ではありますが、
『久坂部羊のおすすめ小説8選』を紹介させていただきました。

私は医療系の仕事を、長年に渡って続けています。
(医師や看護師ではありません)

だからなのか、
現役医師:久坂部羊が描く「リアルな医療の世界」を容易に想像できてしまうんですよね。
もちろん、お医者さんほどの経験はありませんけど。

病院という場所に常に出入りしている分、
極端に現実とリンクさせてしまっています。良いのか悪いのか、よく分かりません。

ただ1つだけ言えることは、

現役医師:久坂部羊が描く「医療界の裏側」は壮絶で強烈!!

まだ味わっていない方は1度、久坂部羊の小説に触れてみてください。

ではまた。

 

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