「江戸川乱歩賞」の歴代受賞作、「小説」選びの選択肢としておすすめ
「小説」を読むという行為が、
完全に暇潰しと化しているおじさんですけど、
「小説」を選ぶという行為にはいつも悩まされます。
好きな作家の作品がどんどん出版されれば助かりますけど、
1月に1冊ペースとはいきませんので、
やっぱり悩まされるんですよね。
そんな時に助けてもらうのが、「小説」の賞レースです。
前回に書いた「このミス」大賞関連、
以前に書いた「本屋大賞」関連、
賞レースに関連した「小説」を、読む候補として頭の中に入れておくと、
少しは楽になります。
という事で、
今回は「江戸川乱歩賞」を紹介したいと思います。
「江戸川乱歩賞」とは
「江戸川乱歩賞」は、
1955年、江戸川乱歩の寄付を基金として、日本推理作家協会により、
探偵小説を激励するために制定された文学賞です。
江戸川乱歩とは
江戸川乱歩(1894年10月21日〜1965年7月28日)は、
大正から昭和期にかけて、主に推理小説を得意とした小説家・推理作家です。明智小五郎ものとして、
「黄金仮面」、「D坂の殺人事件」、「心理試験」など。探偵小説として、
「人間椅子」、「陰獣」、「鏡地獄」など。少年探偵団・怪人二十面相ものとして、
「怪人二十面相」、「少年探偵団」、「仮面の恐怖王」など。映画化、漫画化された作品を数多く世に送り出した作家です。
「江戸川乱歩賞」は第3回以降、
長編小説を公募して、その中から優秀作品に与えられる事になりました。
現在、推理作家への登竜門として知られています。
正賞として江戸川乱歩像、
副賞として1000万円が贈呈されます。
第1回〜第15回までの受賞作
「江戸川乱歩賞」 第1回〜第15回
回(年) | 受賞作 | 著者 |
第1回(1955) | 探偵小説辞典 | 中島河太郎 |
第2回(1956) | ハヤカワ・ポケット・ミステリ | 早川書房※ |
第3回(1957) | 猫は知っていた | 仁木悦子 |
第4回(1958) | 濡れた心 | 多岐川恭 |
第5回(1959) | 危険な関係 | 新章文子 |
第6回(1960) | 受賞作なし | 受賞者なし |
第7回(1961) | 枯草の根 | 陳舜臣 |
第8回(1962) | 大いなる幻影 | 戸川昌子 |
華やかな死体 | 佐賀潜 | |
第9回(1963) | 孤独なアスファルト | 藤村正太 |
第10回(1964) | 蟻の木の下で | 西東登 |
第11回(1965) | 事件の核心 | 西村京太郎 |
第12回(1966) | 王将に児あり | 斎藤栄 |
第13回(1967) | 伯林 一八八八年 | 海渡英祐 |
第14回(1968) | 受賞作なし | 受賞者なし |
第15回(1969) | 高層の死角 | 森村誠一 |
※早川書房の「ポケット・ミステリ」、
その画期的な大量出版に対して贈られました。
個人にではなく出版社へ、文学界への貢献度が評価されたようです。
第1回の1995年は、昭和30年です。
昭和30年、
電気洗濯機、電気冷蔵庫、テレビが「三種の神器」と呼ばれていた時代です。
後楽園遊園地がオープン、
ヒット曲は中村メイコさんの「田舎のバスで」・・・知りません。
そして、
「江戸川乱歩賞」の受賞者で知っている名前は2つだけです。
西村京太郎と森村誠一、
十津川警部の出てこない西村京太郎作品が「江戸川乱歩賞」を受賞しています。
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第16回〜第30回までの受賞作
「江戸川乱歩賞」 第16回〜第30回
回(年) | 受賞作 | 著者 |
第16回(1970) | 殺意の演奏 | 大谷羊太郎 |
第17回(1971) | 受賞作なし | 受賞者なし |
第18回(1972) | 仮面法廷 | 和久峻三 |
第19回(1973) | アルキメデスは手を汚さない | 小峰元 |
第20回(1974) | 暗黒告知 | 小林久三 |
第21回(1975) | 蝶たちは今・・・ | 日下圭介 |
第22回(1976) | 五十万年の死角 | 伴野朗 |
第23回(1977) | 時をきざむ潮 | 藤本泉 |
透明な季節 | 梶龍雄 | |
第24回(1978) | ぼくらの時代 | 栗本薫 |
第25回(1979) | プラハからの道化たち | 高柳芳夫 |
第26回(1980) | 猿丸幻視行 | 井沢元彦 |
第27回(1981) | 原子炉の蟹 | 長井彬 |
第28回(1982) | 焦茶色のパステル | 岡嶋二人 |
黄金流砂 | 中津文彦 | |
第29回(1983) | 写楽殺人事件 | 高橋克彦 |
第30回(1984) | 天女の末裔 | 島井加南子 |
第16回の1970年は、昭和45年です。
昭和45年、
大阪万博が開幕(入場者6421万8770人)。
ケンタッキーの1号店が名古屋、マクドナルドの1号店が銀座にオープンした年です。
ヒット曲は皆川おさむさんの「黒ネコのタンゴ」、かろうじてタイトルは知っています。
「江戸川乱歩賞」の受賞者で知っている名前は1つだけ。
和久峻三、名前しか知りませんけどね。
第31回〜第45回までの受賞作
「江戸川乱歩賞」 第31回〜第45回
回(年) | 受賞作 | 著者 |
第31回(1985) | 放課後 | 東野圭吾 |
モーツァルトは子守唄を歌わない | 森雅祐 | |
第32回(1986) | 花園の迷宮 | 山崎洋子 |
第33回(1987) | 風のターン・ロード | 石井敏弘 |
第34回(1988) | 白色の残像 | 坂本光一 |
第35回(1989) | 浅草エノケン一座の嵐 | 長坂秀佳 |
第36回(1990) | 剣の道殺人事件 | 鳥羽亮 |
フェニックスの弔鐘 | 阿部陽一 | |
第37回(1991) | ナイト・ダンサー | 鳴海章 |
連鎖 | 真保裕一 | |
第38回(1992) | 白く長い廊下 | 川田弥一郎 |
第39回(1993) | 顔に降りかかる雨 | 桐野夏生 |
第40回(1994) | 検察捜査 | 中島博行 |
第41回(1995) | テロリストのパラソル | 藤原伊織 |
第42回(1996) | 左手に告げるなかれ | 渡辺容子 |
第43回(1997) | 破線のマリス | 野沢尚 |
第44回(1998) | 果つる底なき | 池井戸潤 |
Twelve Y.O. | 福井晴敏 | |
第45回(1999) | 八月のマルクス | 新野剛志 |
第31回の1985年は、昭和60年です。
昭和60年、
任天堂「ファミコン」がブーム、ビックリマンチョコの大ヒット、
青函トンネル本坑が貫通、関越自動車道が開通、金妻が流行語になるなど、
おじさんにはしっかりと記憶があります。
ヒット曲はチェッカーズの「ジュリアに傷心」、
映画では「ゴーストバスターズ」が大ヒット、記憶に新しいとは言いませんが懐かしいですね。
「江戸川乱歩賞」の受賞者の中に、どんどん知っている作家が増えてきました。
真保裕一の「連鎖」は読んでおります。
第46回〜第60回までの受賞作
「江戸川乱歩賞」 第46回〜第60回
回(年) | 受賞作 | 著者 |
第46回(2000) | 脳男 | 首藤瓜於 |
第47回(2001) | 13階段 | 高野和明 |
第48回(2002) | 滅びのモノクローム | 三浦明博 |
第49回(2003) | マッチメイク | 不知火京介 |
翳りゆく夏 | 赤井三尋 | |
第50回(2004) | カタコンぺ | 神山祐右 |
第51回(2005) | 天使のナイフ | 薬丸岳 |
第52回(2006) | 東京ダモイ | 鏑木蓮 |
三年坂 火の夢 | 早瀬乱 | |
第53回(2007) | 沈底魚 | 曽根圭介 |
第54回(2008) | 誘拐児 | 翔田寛 |
訣別の森 | 末浦広海 | |
第55回(2009) | プリズン・トリック | 遠藤武文 |
第56回(2010) | 再会 | 横関大 |
第57回(2011) | よろずのことに気をつけよ | 川瀬七緒 |
完盗オンサイト | 玖村まゆみ | |
第58回(2012) | カラマーゾフの兄妹 | 高野史緒 |
第59回(2013) | 襲名犯 | 竹吉優輔 |
第60回(2014) | 闇に香る嘘 | 下村敦史 |
第46回の2000年、平成12年です。
平成12年、
シドニーオリンピックが開催、新紙幣2000円札が発行されています。
都営地下鉄大江戸線が全線開通したのもこの年です。
おっはーが流行語。
ヒット曲はサザンの「TSUNAMI」、福山雅治の「桜坂」。
映画「グリーンマイル」が大ヒットした年、
記憶に新しいですね。
「江戸川乱歩賞」の受賞作でようやく、読んで記事にしている作品が出てきました。
首藤瓜於の「脳男」、高野和明の「13階段」、どちらもおすすめです。
第61回〜第65回までの受賞作
「江戸川乱歩賞」 第61回〜第65回
回(年) | 受賞作 | 著者 |
第61回(2015) | 道徳の時間 | 呉勝浩 |
第62回(2016) | OJKJQ | 佐藤究 |
第63回(2017) | 受賞作なし | 受賞者なし |
第64回(2018) | 到達不能極 | 斎藤詠一 |
第65回(2019) | NOIRを縫う彼女 | 神護かずみ |
第61回の2015年は、平成27年です。
平成27年、
又吉直樹の「火花」が第153回芥川賞を受賞。
第8回ラグビーW杯で日本が南アフリカから歴史的勝利。
ヒット曲は知らない曲ばかりです。
映画「ジュラシック・ワールド」が大ヒット。
「江戸川乱歩賞」、神護かずみの「NOIRを縫う彼女」は、
2019年6月6日に受賞、令和初の「江戸川乱歩賞」を受賞しています。
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最後に
第1回は昭和30年、
今までの歴代「江戸川乱歩賞」受賞作をザックリとではありますが、
書かせて頂きました。
全ての作品をおすすめと言っている訳ではありません。
読んでいる作品も少ないですし。
読む「小説」にどうしようもなく悩んだら、
選ぶ際の1つの選択肢として利用して頂く、
そんな想いだけです。
東野圭吾や真保裕一などであれば、
外れも少ないでしょうし、これから先、読み進めてみる作家として候補にしておくと、
後々楽だと思います。作品自体の数も多いですしね。
「江戸川乱歩賞」受賞作、
1度手に取ってみてはいかがでしょうか。
ではまた。
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