イヤミス小説「ワルツを踊ろう」、令和版「津山事件」を描いたのか・・
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「イヤミス」とは、
後味が悪い、胸糞、と、ほぼ同義語な言葉です。
ミステリーやサスペンス系の作品を堪能した後、どうしようもなく気分が悪くなる、
なんでこんなストーリーで、この結末?と、体験した事を後悔するような作品を称して、
「イヤミス」と呼ぶようです。
今回紹介する「小説」はそんな「イヤミス」作品、
中山七里の「ワルツを踊ろう」。
ちょっとしたネタバレになってしまいますが、
私の読後の感想は、
令和版「津山事件」でした。
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イヤミス小説「ワルツを踊ろう」、令和版「津山事件」?
「ワルツを踊ろう」 中山七里
著者史上最狂・最悪のどんでん返しミステリ
「ワルツを踊ろう」あらすじ
金も仕事も、住む場所すら失った元エリート
溝端了衛
20年ぶりに生まれ育った故郷に帰る事に。
携帯の電波は届かず、
都会に暮らしていた了衛にしたら、村の住民は曲者だらけ。
限界集落であり、曲者しか暮らしていない現状、
了衛はなんとか地域に溶け込もうと手を尽くす。
奮闘を続ける了衛を冷めた目で見る住民、
今度こそ、今度こそ、今度こそ・・・。
力の限りに尽くした奮闘の先、
決定的な出来事の先に了衛を突き動かしたのは、
一点の曇りもない暗い感情。
ワルツを踊ろう・・・。
〜「ワルツを踊ろう」〜
・溝端了衛(みぞばたりょうえ)
ワルツの名曲<美しき青きドナウ>をこよなく愛する39歳。独身。
半径300メートルほどの範囲に七戸の家屋が点在、
限界集落と呼ばれる地域に帰ってきました。
父が亡くなり、仕事を失った了衛は、
父の葬儀を終えてから実家に移り住み、
新生活は優雅な田舎暮らしからスタート!と意気込んでみたものの・・・。
都会には都会的ルールがあるように、
田舎には田舎的ルールがあります。
実家から都会へ飛び出して20年以上、
都会的ルールにドップリと浸かっている了衛には受け入れ難い事ばかり。
それでもなんとか、
地域に溶け込もうと奮闘を繰り返す了衛。
七戸の住民達と打ち解けよう、ここで暮らしていくんだという、
強い気持ちを持ちながら試行錯誤をする毎日。
挑戦と失敗を繰り返し、
住民からの視線が極限まで冷え切った時、
了衛を包み込んでくれるのは唯一、
<美しき青きドナウ>のみ・・・。
ワルツを踊る事だけが、
了衛に残された答えになってしまいました。
「美しい旋律と共に、全てを黒く塗り潰そう」
了衛は踊り狂います・・・。
あの「津山事件」を彷彿とさせる、
中山七里のイヤミス小説「ワルツを踊ろう」、
挑戦と失敗、狂気に支配された了衛、そして、
どんでん返しが待っています。
イヤミス小説「ワルツを踊ろう」を読んだ方達のレビューを、紹介します
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(音楽の話じゃない・・・)
音楽の話だと思った。正直、引いてしまいましたね。作者の頭の中はどうなっているの?
「美しき青きドナウ」がかわいそうに思えました。
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(面白いけど、まさか、まさか・・・)
最後にこんな事になるなんて、想像はしますがまさかと思っていました。
閉鎖的で保守的、そして楽して他人のフンドシで相撲を取るというような田舎特有の出来事でした。
面白いですが、後味が悪い読了本ですね。
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![女性の声](https://savicevicjenio.com/wp-content/uploads/2019/07/smartphone-1184865__340.jpg)
(中山さんのファンですが、これはちょっと・・・)
終始、読んでいて辛い作品でした。
田舎特有の否やところが満載。こんな気分悪くなった小説は初めてかもしれません。
中山さんの他の作品は大好きなのに・・・この作品だけは合わなかったです。
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(夢に出てきそうなぐらい、後味が悪い)
これまた後味の悪〜いヤツでした。
人間が壊れていく様子が書かれています。”ワルツを踊って”いる場面がほぼ斜め読みになってしまいました。
それでも夢に見そうなくらいの恐ろしさがありましたね。
「ワルツを踊ろう」を読んだおじさんの感想
・「ワルツを踊ろう」を読んだおじさん
(イヤミス小説として読むなら)
どんでん返しの帝王と呼ばれる中山七里の、
イヤミス小説「ワルツを踊ろう」
読んでビックリしました。
まさかここまでイヤミス系作品だとは思っていませんでしたね。
中山七里としては初ではないでしょうか?
こんなイヤミスは。
そして、
ネタバレ感のある感想で申し訳ないんですけど、
私は「ワルツを踊ろう」で完全に「津山事件」を思い起こされました。
昭和13年に起こった大量殺人事件、
この事件をまさか、令和の時代に、中山七里の作品から思い起こされるとは、
完全に気を抜いて読み進めてしまいましたね。
冒頭から始まる了衛の奮闘。
限界集落とはいえ、故郷でもある田舎で、
曲者揃いの住民達との距離をなんとか縮めようと頑張る姿に、
多少ホッコリとさせられながらも、いつの間にか、
忍び寄っていた狂気に読者が気付き始めた頃、
了衛が<美しき青きドナウ>と共に踊り出すという、
イヤミス小説「ワルツを踊ろう」。
気軽に読み進めるのを許してくれない作品です。
イヤミスだと覚悟としておいて頂ければ、傷は浅く済む・・・はずです。
イヤミス小説で思い出してしまう「津山事件」とは
1938年(昭和13年)5月21日、
ある集落で実際に起きた大量殺人事件です。
「津山事件」、「津山三十人殺し」とも呼ばれます。
犯行が行われたのは深夜、住民が寝静まった頃、
1人の男が改造猟銃と日本刀、斧を持って、次々と住民に襲いかかった事件です。
あの有名な横溝正史の「八つ墓村」は、
この「津山事件」をモチーフに製作された作品。
落ち武者の祟りで大量殺人を犯した多治見要蔵、
私が思い出すのは、山崎努が演じた多治見要蔵です。
映画「八つ墓村」(1977年バージョン)
監督 | 野村芳太郎 |
原作 | 横溝正史 |
出演(役名) | 萩原健一(寺田辰弥) |
渥美清(金田一耕助) | |
小川真由美(森美也子) | |
山崎努(多治見要蔵・多治見久弥) | |
日本公開 | 1977年10月29日 |
この作品を、
子供の頃にテレビで観て、異様に怖かったのを覚えています。
何度目の放送だったのかは分かりませんけど、
山崎努の怖さ、あの桜をバックに走っている姿を、
今でも思い出しますね。
「八つ墓明神の祟り」は忘れられません。
この山崎努が演じた多治見要蔵のモデルになったのが、
「津山事件」であり、「津山事件」の犯人です。
もし、
「津山事件」を詳しく知りたいという方は、
wikiにその詳細が載っていますので、そちらをご覧になってみてください。
「津山事件」の詳細→→→津山事件-Wikipedia
中山七里のイヤミス小説「ワルツを踊ろう」、
「津山事件」を思い起こさせますが、著者自身も意識していたのでしょうか?
横溝正史の「八つ墓村」、
溝端了衛を主人公とした「ワルツを踊ろう」、
溝はかぶっておりますけども・・・。
そんな詮索をしたくなるほど、
私は「ワルツを踊ろう」から「津山事件」を思い出してしまい、
はいイヤミス小説、と、ページをそっと閉じました。
衝撃的な内容でビックリでしたね。
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最後に
令和版の「津山事件」ではないかと思ってしまう、
中山七里のイヤミス小説「ワルツを踊ろう」を、
紹介させて頂きました。
中山七里の作品は好きなので、
文庫になっている作品はほとんど読んでいるんですけど、
この「ワルツを踊ろう」は異質でしたね。
音楽ミステリーを連想しながら読み進めてしまうと、
痛い目に遭ってしまう「小説」です。
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もし可能なら、
「ワルツを踊ろう」を読み終えた後、
YouTubeで<美しき青きドナウ>を検索して頂いて、
あ〜この曲かと、聴きながら、
もう1度、了衛が踊り狂っている場面を読み返してみてください。
戦慄以外の何物でもない、そんな感情に支配されてしまいますから。
中山七里は、
なんて恐ろしいイヤミスを生み出してしまったんだと、
ちょっとムカつきながら・・・。
ではまた。