「後味の悪い小説」、想像力豊かな人は注意が必要です。
読み終わった後、イヤ〜な気持ちになってしまう「小説」が存在します。
誰にも勧められない「小説」です。
彼が目にしたあの光景、文字だけを読んでいるはずなのに、
読者には映像としてハッキリ、脳裏に浮かんでしまいます。人間の想像力は凄いですよね。
おぞましい映像をいとも簡単に・・・。
✔︎ 完全に「後味の悪い小説」です
✔︎ ヴェルーヴェン警部が目にする光景、救いはありません・・・
✔︎ 「後味の悪い小説」を好まないなら、この物語を読み進めてはいけません
✔︎ そうとは知らず、読み進めた私は、あのシーンが忘れられなくなってしまいました
ちょっとしたトラウマですよ。
このエピソードが強烈すぎて、
「その女アレックス」がシリーズの2番手以下になりましたし。
良いの悪いのか分かりませんけど・・・。
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「後味の悪い小説」、想像力を働かせないでください
「悲しみのイレーヌ」 ピエール・ルメートル
カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ:時系列 | |
時系列 | タイトル(敢行年月/日本) |
1 (3部作第1作目) |
「悲しみのイレーヌ」 (2015年10月) |
2 (3部作第2作目) |
「その女アレックス」 (2014年9月) |
3 (3部作第3作目) |
「傷だらけのカミーユ」 (2016年10月) |
# (番外編) |
「わが母なるロージー」 (2019年9月) |
「このミステリーがすごい!2015」海外部門第1位となった、
「その女アレックス」で有名なピエール・ルメートル、
彼のデビュー作がこの「悲しみのイレーヌ」。
カミーユ・ヴェルーヴェン警部が活躍する3部作の1作目として発売された、
「後味の悪い小説」です。
上の表を見てもらえると分かると思いますが、
日本での発売は、「その女アレックス」が2014年、
「悲しみのイレーヌ」が2015年、
作品の時系列的には逆になっています。
私もそのまま読んでしまって、今現在、時系列通りに読みたかったと後悔しています。
もう遅いんですけどね。
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「悲しみのイレーヌ」あらすじ
ネタバレを極力避けつつ、紹介させて頂きます。
若い女性の惨殺死体が発見され、
パリ警視庁のヴェルーヴェン警部が捜査を担当することに。
彼の悲劇はこの時、
音も無く確実に始まっていました。
裕福な着道楽の部下ルイと共に、捜査にあたるヴェルーヴェン警部。
現場に到着して、
彼らが見た光景は悲惨極まりないものでした。目を背けたくなるほどの。
現場には犯人のモノと思われる血文字・・・。
「俺は帰ってきた」
捜査を進めていく内に、過去の未解決事件との妙な繋がりが浮かび上がってきます。
手口こそ違いますが、
残虐で冷酷なやり口は同一犯の仕業ではないかと、捜査の過程で明らかになり、
これは連続殺人事件だと、ヴェルーヴェン警部たちは確信していきます。
犯人がなぜ、
こんな事件を繰り返し起こしているのか、その動機が明らかになった時、
ヴェルーヴェン警部たち警察は震え上がります。まさか、そんな動機で・・・。
一刻も早く犯人を逮捕しないといけない!
そんな思いに駆られてヴェルーヴェン警部はひた走ります。
が、
ヴェルーヴェン警部を悲劇という怪物が、
この事件のラストで口を大きく開けて待ち構えていました。
ヴェルーヴェンを飲み込むために
「その女アレックス」で有名なピエール・ルメートルの傑作、
「後味の悪い小説」、
「悲しみのイレーヌ」
読み進めるなら、想像力を欠如させた状態で、ラストを迎えてください。
この「後味の悪い小説」を読んだ方達のレビューを、紹介します
・「悲しみのイレーヌ」を読んだAさんのレビュー
事件の内容に不快感を感じながらも読んでしまいました。
こういう作風なんでしょうが面白かったです。
既読のアレックスとは時系列は逆で、もっと期間をおいてから読めば、終盤をより楽しめたと思いますが、途中でやめられませんでした。
・「悲しみのイレーヌ」を読んだBさんのレビュー
ピエール・ルメートル初読み。とても面白かったけど、精神的に疲れました。
全然内容は違うけど、「セブン」という映画を思い出しました。
・「悲しみのイレーヌ」を読んだCさんのレビュー
その女アレックスより先にこちらを読むのをお勧めします。
何を書いてもネタバレになってしまいます。
何とも後味悪く、想像するのがおぞましい。でも、読み手を惹きつける恐ろしく魅力的な作品です。
・「悲しみのイレーヌ」を読んだDさんのレビュー
もの凄かったです。
三部作の真ん中であるアレックスが先に翻訳されていたので、
そっちから読んだ人が多いと思いますけど、これを1発目に読めた幸運。
タイトルすら幸せなイレーヌに、不穏な空気を纏わせる役割を持っていて、
どこまで計算されているのか恐ろしくなる作品です。
凄かったとしかもう・・・、後味の悪い小説として最凶。
・「悲しみのイレーヌ」を読んだおじさん
まず、正直に申しますと、
タチが悪いです。
これは「小説」です。活字なんですね。
読んだ人が自分の頭の中に、映像や画像として想像する事になるんです。
ラストなんか悲惨過ぎますよ。
自分の頭の中に、1本の映画を作るようなもんですから、
どんな映画にするのも自由なんですが、
この「悲しみのイレーヌ」は無理です。ある方向で決まってしまいます。
「後味の悪い映画」を頭の中で作らされる「後味の悪い小説」です。
本当にタチの悪い「小説」です。
もし、
これから読もうとしている方がいましたら、
是非、気持ちに余裕を持って読み始めてください。
落ち込んでいたり、気分が凹んでいる時には絶対に読まないでください。
物語のラストを知ってしまった時、取り返しのつかない傷を心に負うかもしれません。
そして、想像力は極力働かせないようにしておいてください。
「後味の悪い小説」、「悲しみのイレーヌ」、
本当にお気をつけて。
ヴェルーヴェン警部三部作、読む順番のオススメ
もし、
ピエール・ルメートルの「小説」を1冊も読んだ事がない方は、
ヴェルーヴェン警部三部作を、時系列通りに読み進めることをオススメします。
「ヴェルーヴェン警部三部作、読む順番のオススメ」
順番 | タイトル(備考) |
1 | 「悲しみのイレーヌ」 (ヴェルーヴェン警部の過去に触れる) |
2 | 「その女アレックス」 (ヴェルーヴェン警部の有名な作品に触れる) |
3 | 「傷だらけのカミーユ」 (ヴェルーヴェン警部3部作、完結) |
4 | 「わが母なるロージー」 (ヴェルーヴェン警部3部作、番外編) |
時系列はこれでバッチリです。
ヴェルーヴェン警部の過去に触れておいて、完結まで持っていってください。
ネタバレではありませんけど、
個人的に、
「悲しみのイレーヌ」がヴェルーヴェン警部シリーズの中では1番キツかったです。
逆にいうと、
1番心に響いたのが「悲しみのイレーヌ」でした。
ヴェルーヴェンの過去が悲惨過ぎて、
3部作の中で群を抜いてインパクトのあった作品です。
あまり大きな声では言えませんが、私が1番好きなのも「悲しみのイレーヌ」です。
「その女アレックス」よりも断然面白かったと言える「小説」ですね。
声を大にしておすすめするような「小説」ではありませんが、
特殊な方向へ魅力を感じてしまう方なら、分かっていただけるのではないかと。
「後味の悪い」という作品の魅力を。
そんな特殊な方へのみ、
「悲しみのイレーヌ」を読み進めて欲しいと思っています。
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最後に
実は私も、この記事の上に紹介した方の意見に賛同しています。
「後味の悪い映画」でお馴染み、
デヴィッド・フィンチャー監督の「セブン」。
ちょっと思い出してしまうんですよ、この「悲しみのイレーヌ」は。
ラストまで読み進めた方なら、
あのシーンのあの悲惨な場面で、
「あっ、「セブン」のラストと少しかぶるな・・・」
物語は別物ですけど、
ヴェルーヴェン警部と「セブン」のミルズ刑事が受けた衝撃度、ここは同じぐらいではないかと。
(「セブン」の犯人:ジョン・ドゥも思い出してしまいます)
これ以上書くとネタバレになるので、これぐらいにしておきます。
「セブン」と書いただけでも、ちょっとネタバレですしね。
「後味の悪い映画」の「セブン」が好きなら、
「後味の悪い小説」の「悲しみのイレーヌ」はいけるはずです。
ではまた。
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