「江戸川乱歩賞」受賞、高野和明の「長編ミステリー」です
「江戸川乱歩賞を満場一致で受賞」
高野和明のデビュー作、「長編ミステリー小説」を紹介します。
非常に重いテーマを扱っている作品です。
読み応えがあって濃厚な時間を過ごせますけど、
扱っているテーマが重いし、答えの出ない事ですから、
衝撃的なラストを迎えた時に、
読者が打ちのめされている可能性があります。
で、考えさせられてしまいます。
「死刑って、なんだろう・・・」
紹介します。
「江戸川乱歩賞」受賞作、「長編ミステリー」
「13階段」 高野和明
第47回(2001年)江戸川乱歩賞
賞 | 受賞作 | 著者 |
受賞 | 13階段 | 高野和明 |
候補作 | きみは嘘を詠う | 新井吾土 |
グッバイ、ジャズ・ライン | 瀬戸信也 | |
接続 | 匠勇人 | |
機械室 | 白石泉 |
ネタバレをせずに、紹介します。
主人公は2人です。
・南郷正二
松山の刑務官です。階級は看守長。
見た目は迫力のある強面ですけど、真面目で人情味溢れる、頭の切れる人物です。
そんな南郷はある弁護士から事件調査の依頼を受けます。報酬も破格です。
ある死刑囚は冤罪だ、その証拠を調査して見つけて欲しい。そんな依頼です。
定年間近という事で、退任後のパン屋創業への資金へしようと、その依頼を受けます。
南郷はある死刑囚の事件を追いかけます、
ある男と一緒に。
・三上純一
2年前に傷害致死事件を起こして松山刑務所に服役していた青年です。
2年前に起こした傷害致死事件、三上は襲われた側で殺意も無かったという事、
反省も十分にしているという事で、殺人ではなく傷害致死、懲役3年6ヶ月の刑を受けました。
模範囚だったために2年で仮釈放です。
仮出所してきた三上に南郷が仕事の依頼をします。
死刑囚の冤罪を晴らすという、とんでもない調査ですが、
三上はお金を必要としているので、その依頼を受け、南郷と共に事件を追うことになります。
この2人が追う事件、それが、
・樹原亮
樹原の保護司であった宇津木耕平と妻を殺害した容疑で死刑判決を受けています。
事件発生直後にバイク事故を起こして、それが逮捕のきっかけになっていますけど、
その事故で記憶喪失に。
自分が宇津木夫妻を殺害したのかどうか覚えておりません。
再審請求はことごとく棄却、次の再審請求のため、
その証拠集めに動くのが、南郷と三上です。
「13階段」と聞くと、絞首台への段数のように思いがちですが、
実際には段数は千差万別です。13と決まっているわけではありません。
イメージが着いてしまっているだけですね。
そういう意味でも非常に良く出来たタイトルです。
高野和明のデビュー作、
「13階段」
色々想像しながら、「13階段」の意味するところも確認してください。
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「江戸川乱歩賞」受賞作を読んだ方達のレビューを、紹介します
・「13階段」を読んだAさんのレビュー
あまりミステリーは読まなかったのですが、この作品は引き込まれて夢中で読みました。
実際に死刑を執行する刑務官の苦悩、
罪を償った人の世間の荒波にさらされている様子、
冤罪を晴らすために活躍する2人の活躍場面等、読み応えがありましたね。
・「13階段」を読んだBさんのレビュー
とにかく考えさせられました。
私は死刑には賛成派で、報復として当然だと思っていましたが、
死刑を執行する人の苦悩について、何が正義かをとても考えさせられました。
ラストはとにかくスピード感があり、ページをめくる手が止まりませんでしたね。
ミステリーの醍醐味を味わいました。
・「13階段」を読んだCさんのレビュー
死刑制度について考えさせられる良書です。
南郷の刑務官時代に死刑執行する場面がリアルで、こういう方達がいるから、
社会は成り立っていることを痛感させられます。
死刑制度の賛成・反対に関わらず、成人は読むべき本だと思います。
・「13階段」を読んだおじさん
ちょっと書きづらいですけど、
真面目に死刑制度について考え始めてしまうと、
眠れなくなりますから、あまり深く考え過ぎない方がよろしいかと。
声を上げないと何も変わらないのは事実ですが、
100点満点の答えは存在しません。
死刑については、被害者遺族と人権、加害者と人権、両立出来るような事ではありません。
人間が全ての感情に蓋をするのは不可能です。
という事で、
ただ単に「長編ミステリー」として「13階段」をオススメします。
考えさせられる箇所はこれでもかと言うほどありますけど、
「ミステリー」ですからね。「小説」です。
感情は大きく揺さぶられますが、
結局、最終的に面白かったかどうかです。楽しめたのかどうか。
私の場合だと、
いい感じに暇を潰せたのかどうか、
それだけで「小説」を読んでおります。何冊も何冊も。
感情は揺さぶられて深く考えさせられますけど、
非常に面白かった「ミステリー小説」として、
高野和明のデビュー作、
「13階段」
テーマの重さを気になさらずに読み進めてください。あなたの判断が全てです。
高野和明について
高野和明(1964年10月26日〜)は、
日本の小説家、脚本家です。
主な「小説」に、
出版年 | 出版元 | タイトル |
2004年 | 講談社文庫 | 13階段 |
2005年 | グレイヴディッガー | |
2006年 | K・Nの悲劇 | |
2007年 | 文春文庫 | 幽霊人命救助隊 |
2011年 | 角川文庫 | 夢のカルテ |
2010年 | 講談社文庫 | 6時間後に君は死ぬ |
2013年 | 角川文庫 上下巻 | ジェノサイド |
私が読んだ事のある「小説」は、
「13階段」と「ジェノサイド」の2冊だけです。
残念ながら他の作品はまだ読んでおりません。
「13階段」は、
第47回「江戸川乱歩賞」を受賞、
「ジェノサイド」は、
第145回「直木賞」候補、第2回「山田風太郎賞」受賞、
2012年には、
第33回「吉川英治文学新人賞」候補、第9回「本屋大賞」第2位、
第65回「日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)」受賞。
幅広く評価されている作家さんです。
ちなみに、
「13階段」は、2003年に映画が公開されています。
監督:長澤雅彦、主演:反町隆史で東宝から映画化されています。
残念ながらこちらも観たことはありません。
調べていて今知った事実です。私のアンテナは折れかかっているんでしょうね。
読んだ事のある「小説」は2冊しかありませんけど、
胸を張ってオススメできる作家さんです。読み応え抜群です。
「13階段」、1度手に取ってみてください。
最後に
高野和明の「小説」を紹介したのは初めてです。
「ジェノサイド」にしようか迷ったんですけど、
やはり最初はデビュー作でという事で、
「13階段」を紹介させて頂きました。
テーマの重い「小説」ですが、
読み応え十分な「ミステリー」です。ラストも良く出来ていますよ。
衝撃的なラスト、
読んでみてください。確実に暇は潰せますからね。
ではまた。
その他、オススメ「ミステリー小説」
充分な暇潰しを与えてくれる「ミステリー小説」です。
中には、
不快感満載な「ミステリー小説」も紛れていますので、
読む際はお気を付けください。
心に余裕のある状態で読み進めることをオススメします。
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