久坂部羊の長編小説『介護士K』あらすじと感想、読後はモヤモヤと無口に

現役の医師である久坂部羊が、
2014年に実際に起きた事件「川崎老人ホーム連続殺人事件」に想を得て、
高齢者医療と介護の現場で体験した事を基に作られた作品。

介護士K

「川崎老人ホーム連続殺人事件」

2014年11月から同年12月にかけて、神奈川県川崎市の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」にて、相次いで入居者3人が転落死。

初動捜査では変死として処理されたが、殺人事件の可能性も疑われていた。

2016年2月16日、神奈川県警はこの件に関わった元職員の男X(当時23歳)を殺人容疑で逮捕。

2018年3月22日、横浜地裁は、検察側の求刑通り、被告人Xに死刑判決を言い渡した。
被告人・弁護人側は判決を不服として、同日付で東京高等裁判所に控訴している。

参照元:wikipedia-川崎老人ホーム連続殺人事件

この事件を基に、現役の医師である久坂部羊が練り上げた小説、
介護士K
重いテーマの長編小説です。

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久坂部羊『介護士K』のあらすじと感想

介護士K』あらすじ

大田区蒲田の有料老人ホーム「アミカル蒲田」で、
入所していた84歳の女性が、
深夜に4階のベランダから転落して死亡した事故が発生した。

その事故状況に違和感を覚えたルポライターの浅倉美和は、

第一発見者の介護士・小柳恭平の関与を疑う。

「アミカル蒲田」と恭平への取材を重ねていく中で、
介護現場の厳しい現実に直面していく美和。

”転落事故は事件だったのではないか・・・”

そんな疑惑も薄れかけていた矢先、

第2、第3の死亡事故が「アミカル蒲田」で起きてしまう。

同じ施設で立て続けに起きた死亡事故、
加熱する報道陣、
恭平が犯人ではないかという憶測が飛び交っていく。

そんな中でも懸命に取材を重ねていく美和だったが、

事態は思わぬ展開へ・・・。

介護士K

 

 

 

『介護士K』を読んだ方達の感想

女性の声
女性の声
『介護士K』の感想

 

看護師として働き夜勤中、凄まじく忙しくなり、眠気もあり、そんな中看護に当たっていて、思わず何もかも放り投げつけたくなった瞬間なんて山ほどあります。
でも、その度に自分をキツく制していました。
この本を読みながら思い出していましたね。



 

男性の声
男性の声
『介護士K』の感想

 

久坂部さんならではの作品です。介護の状況を考えさせられてしまいます。
私の母もホームに入っており、お迎えが早く来て欲しいと言っていることを思うと、他人事とは思えません。



 

男性の声
男性の声
『介護士K』の感想

 

超高齢化社会においてどこにでも起こっている現実。考えると気が重くなります。
ですが、誰も避けて通れません。
重いテーマの作品、何が正しいのか分かりませんね。



 

男性の声
男性の声
『介護士K』の感想

 

最初から最後までどんよりしたまま読了。主人公の考え方を否定出来ないまま読み終えました。
「生きる」とは一体何でしょうか?
永遠に答えが出ないような気がしました。



 

おじさんの感想

おじさんの声
おじさんの声
『介護士K』の感想

 

前回読んだ久坂部羊作品が「祝葬」。
「長生きは幸せですか?」
と答えのない問いをされている感じを受けたんですけど、
今作もその流れを汲んでいる作品だった気がしますね。


介護士K
「祝葬」と違う点はと言えば、連作短編ではなく、長編小説だったところと、
物語の舞台が「介護現場と介護士と、人の死」、
現在進行形の社会問題に一石を投じているような内容だった部分でしょうか。


高齢化社会が加速、
介護を必要とするお年寄りの数が増え続ける、
介護施設と介護士の数が全然足りない状況に陥る・・・。

 

では、

 

介護士Kで描かれている殺人、
その行為に至るまでの考え方を、論拠をもって反論できるかと問われると、
私は無言にならざるおえませんでした。

 

介護士という、壮絶な現場で働く方達の目線と、
それを第三者的に外から知ったかぶりをしている私の目線では、
こんなにも違いがあるのかと・・・。

 

「すいません、口に出せる言葉が見つかりません」

 

これが、
介護士Kを読み終えた時の正直な感想でした。

 

久坂部羊作品を読むと、
ここ最近ずっと同じような気持ちになっています。
答えが見つからない

 

面白いからおすすめとは一切言えませんけど、
現役のお医者さんが、実際に起きた事件と、
本人自ら体験した壮絶な介護現場を基に描かれた小説、
読み進めてみてはいかがでしょうか。

 

最後に

 

現役の医師で小説家の久坂部羊が、
2014年に実際に起きた事件「川崎老人ホーム連続殺人事件」に想を得て、
高齢者医療と介護の現場で体験した事を基に作られた作品、
介護士Kを紹介させていただきました。

いつもながら久坂部羊の作品のテーマの重さは相変わらずで、
読後にスッキリすることはありませんでしたね。

モヤモヤとして、言葉が見つからずに、
ふと考え始めてみるも、一切答えが見つからない・・・。

気持ちよく読後を迎えることなんて極端に少ないのに、
文庫が出れば買い続けてしまいます。

現役医師が描く、現代医療の陽の当たらない部分、
テーマが重いと分かりきっていても、読み続けてしまいます。

介護士K
強烈なお話でした。

ではまた。

 

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