衝撃的なパンデミック!安生正『レッドリスト 絶滅進化論』のあらすじと感想

2021年7月28日

人類滅亡へのカウントダウン・・・?

こんな言葉を目にすると、派手な映画のサブタイトルみたいですよね。
”巨大隕石が地球に衝突”、”全世界を巻き込んだ核戦争勃発”、
SF感満載で楽しめそうな感じです。

けど、

コロナ禍を経験し続けている今現在の私たちなら、この「人類滅亡」へのシナリオにもう1つ、
付け加える事が可能になりました。

✔︎ 「原因不明のパンデミックが発生!人類滅亡へのカウントダウン」

幸か不幸か、パンデミックという状況を想像しやすくなっていますので、
完全なSFとは言い切れないリアルを感じ取れる状況。
人間の生活圏、身近な存在の中に、人類の脅威となりうる”何か”が潜んでいてもおかしくない。
怖さを感じ取れてしまいますよね。

そんな想像しやすい怖さを感じさせてくれる小説、
安生正の『レッドリスト 絶滅進化論
衝撃的なパンデミックものです。

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『レッドリスト 絶滅進化論』あらすじと感想

レッドリスト 絶滅進化論安生正

レッドリスト 絶滅進化論』あらすじ

8月、
富士の樹海に生息する稀少動物やニホンジカなどによる食害について、
モニタリング活動を行なっているNPO。
その主催者である加藤と他3名は、月に1回集まって調査を行なっていた。

そして、

男の遺体を発見する。

衣服はズタズタに引き裂かれ、
顔面の左半分が消失、
残った右目は飛び出し、腹は左右に引き裂かれている遺体。
右腕は無残にも食い千切られている・・・。

加藤たちは急いで警察に通報した。

・・・3年後の冬

日本では記録的な寒波が予想されていて、日常生活に大きな影響を及ぼすのではないかと懸念されていた。

厳しい冬が着々と日本を覆い尽くそうとしていた12月、
都内で謎の感染症が発生。

次々と病院に搬送されてくる患者、野戦病院と化した現場からは、
ドクターの嘆きだけが虚しく響いている。
「なんなんだ、この症状は・・・」
打つ手がない、死亡者が増えるだけ。

この事態を受けて、
厚生労働省職員の降旗は、感染症研究所の都築博士と共に謎の病気の原因究明を命じられ、
感染源を突き止めようと動き出す。

さらに同時期、
地下鉄構内で連続殺人事件が発生。

この冬、
首都東京を襲った記録的な寒波謎の感染地下鉄構内での殺人事件
そして、3年前に富士の樹海で見つかった凄惨な遺体

全てが絡み合い、真実がうっすらと見え始めた頃、
降旗と都築は、
人類の生き残りを賭けた戦いの渦の中へ巻き込まれていく。

レッドリスト 絶滅進化論

レッドリスト」というのは、
国際自然保護連合(IUCN)が作成したリストのことで、
”絶滅のおそれのある野生動物の種のリスト”です。

安生正の『レッドリスト 絶滅進化論』で描かれているのは、
絶滅のおそれ
野生動物だけに着目した小説ではありません。
絶滅のおそれ”は野生動物だけに訪れるわけではなく、我々人間にだって・・・。
と、それぐらい怖いお話になっています。
派手なパニック系の要素、人類が直面するパンデミック。映画を観ているような感じで読み進められますよ。

 

Amazonカスタマーレビュー
4
個人的オススメ度
衝撃度
5
SF感
4
想像しやすい恐怖
5
現実に起きたら対処できる?
0.5

 

『レッドリスト』を読んだ方たちの感想

男性の声
男性の声
『レッドリスト 絶滅進化論』を読んだ感想

前半はもう少しスピード感があっても良いのかな?という感じでしたけど、色んな立場から物事が進んでいくので、そこは致し方ないかと。
それにしても、絶対に無いとは言い切れない話ですから、
ちょっとゾッとしました・・・終わり方も・・・。
人間はもっと謙虚に生きるべき、それだけは言えますね。

 

男性の声
男性の声
『レッドリスト 絶滅進化論』を読んだ感想

気持ちが悪かったです。
東京の下水道、地下鉄など、通常は人間が入れない所なので、得体の知れない何かが潜んでいてもおかしくありません。
最後のオチには、人間の無力さを感じました。

 

女性の声
女性の声
『レッドリスト 絶滅進化論』を読んだ感想

かなり生々しい描写で、都内に住んで地下鉄を使っている身としては、恐怖感が煽られました。
かなりドタバタな内容展開でしたけど、途中から先が気になって、一気に読んでしまいましたね。
ありえない話とは言い切れませんから、背筋にジワリとした怖さが・・・。

 

男性の声
男性の声
『レッドリスト 絶滅進化論』を読んだ感想

安生正さんといえばパンデミックものという期待にしっかりと応えてくれました。
細かい部分にはツッコミどころがありますけど、
そんなことは気にせずに十分楽しめましたね。

 

おじさんの感想

おじさんの声
おじさんの声
『レッドリスト 絶滅進化論』を読んだ感想

 

安生正の「ゼロシリーズ」はしっかりと読んでいましたので、
文庫化された最新刊『レッドリスト 絶滅進化論』を楽しませて頂きました。

 

全人類、存続の脅威となりうる出来事が日本の首都東京で勃発。
日本の、そして世界の未来を救おうと、東京で巻き起こる”人類滅亡へのカウントダウン”との戦い。
派手さのある話ですけど、あり得ないとは言い切れない怖さを感じられる、
パンデミックものの小説です。

 

この『レッドリスト 絶滅進化論』、
序盤は完全に”目に見えない脅威が、着々と近づいてくる”的な序章。
それが徐々に輪郭を帯びて、
人類への脅威は姿を現した”。そして、
人類滅亡へのカウントダウンを止めよ!”となるパンデミックもの。
物語の流れは非常にわかりやすいです。映像として頭の中に描きやすいですから、映画的な楽しみ方のできる小説ですね。

 

「現実的でリアルな怖さ」だけを追求しているような話ではなくて、
もしかしたら、あり得るのかも・・・」、
そのような「完全に否定できない怖さ」を感じさせてくれる物語となっています。

 

SF感は一切いらない!、という方にはオススメしませんが、
純粋にパンデミックものの小説が読みたいと思っている方や、
SF感があろうとなかろうと、物語が面白ければそれで良し、といった考えをお持ちでしたら、
安生正の『レッドリスト 絶滅進化論』、
読み応え抜群ですよ。
もしかしたら、あり得るのかも・・・」、そんな怖さを楽しんでください。

Amazonカスタマーレビュー
4
個人的オススメ度
衝撃度
5
SF感
4
想像しやすい恐怖
5
現実に起きたら対処できる?
0.5

 

安生正について

安生正(あんじょう ただし:1958年〜)は、
京都出身の小説家、推理作家です。

主な作品は、

出版年 タイトル(出版元)
2014年 生存者ゼロ
(宝島社文庫)
2015年 「ゼロの迎撃」
(宝島社文庫)
2017年 「ゼロの激震」
(宝島社文庫)
2019年 「東京クライシス 内閣府企画官・文月祐美」
(祥伝社)
2020年 「ヴァルキリー」
(徳間書店)
「Tの衝撃」/【改題】「襲撃犯」
(実業之日本社文庫)
「レッドリスト」/【改題】『レッドリスト 絶滅進化論
(幻冬舎文庫)

2012年、
生存者ゼロ」で第11回このミステリーがすごい!大賞の大賞を受賞して作家デビュー。

その後「ゼロの迎撃」、「ゼロの激震」と”ゼロシリーズ”を発表。
パンデミックものの作品でファンを獲得していきました。
ゼロシリーズ”は累計100万部を突破しています。

今作『レッドリスト 絶滅進化論』は”ゼロシリーズ”ではないものの、
完全なパンデミックものです。ちょっと派手さの増したパンデミックもの
作中に出てくる全ての事柄にリアルを感じるわけではありませんけど、
もしかしたら・・・」と思わせる恐怖感があるのは事実です。

ゼロシリーズ”も『レッドリスト 絶滅進化論』も、
読み応えのあるパンデミックものですから、まだ読まれていない方、是非1度手に取ってみてください。
読み切った満足感を得られると思いますよ。

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最後に

 

ダメな言い方をすると、
パンデミックもの最近の流行り、ですよね。
作品自体の数が単純に増えたのか、こんな世の中だから目に付くようになっただけなのか、
どちらとも言えませんけど、
パンデミックものに対する抵抗感は無くなりました。これも良いのか悪いのか・・・。

ただ、
安生正の『レッドリスト 絶滅進化論』は、2018年に発表された小説です。
今の現状から物語のヒントを得た訳ではありません。
予言、これは言い過ぎですが、こんな時代だからこそ「もしかしたら」という恐怖を味わえた気がしますね。
派手なパンデミックを楽しめたのではないかと。

現実世界のパンデミック、一刻も早いコロナ禍の収束を祈るばかり。
小説の中のパンデミックぐらいは、物語として楽しみたい・・・
レッドリスト 絶滅進化論』なら楽しませてくれますよ。

ではまた。

 

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