中山七里『ふたたび嗤う淑女』あらすじ/感想、シリーズ2作目も最後は・・
中山七里のミステリー小説「嗤う淑女」、そのシリーズ2作目が、
『ふたたび嗤う淑女』。
【淑女】(しゅくじょ)
⇨しとやかで上品な女性。品格の高い女性。
【嗤う】(わらう)
⇨相手を見下したように嗤うこと。あざけりバカにする。嘲笑(ちょうしょう)する。
【嗤う淑女】(わらうしゅくじょ)
⇨しとやかで上品、品格のある美人の笑顔の裏に隠れている、黒いあざけり・・・
中山七里のシリーズもので、
ハズレに当たった事がほぼありません。今作もまさに。
『ふたたび嗤う淑女』、
ラストでまたしっかりと背筋が凍りますよ。
美人の笑顔の裏に隠れている嘲笑・・・、私は男というだけで怖さが割り増しです。
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中山七里『ふたたび嗤う淑女』あらすじ/感想
『ふたたび嗤う淑女』中山七里
- 1、藤沢優美
- 2、伊能典膳
- 3、倉橋兵衛
- 4、咲田彩夏
- 5、柳井耕一郎
- エピローグ
連作短編集で1つの物語を形成している『ふたたび嗤う淑女』、
常にある女性が黒幕となっています。
あらすじ
『ふたたび嗤う淑女』あらすじ
NPO法人〈女性の活躍推進協会〉の事務局長を務める藤沢優美。
資金繰りが上手くいかず、協会の台所事情がお寒くなってきている中、
優美は起死回生の妙案を欲していた。
そんなある時、職員の神崎亜加里から妙案を授けられた優美は、
半信半疑になりながらも、1人の女性に会いに行った。
✔︎
野々宮恭子
⇨〈野々宮トレードオフィス〉の代表。
⇨FXで稼いでいる天才、優美に為替レート錬金術を伝授。
15年前に設立された〈宗教法人奨道館〉。
神農帯刀を教祖と崇め、信者の数も7万人を超え、宗教団体の中でも知られる存在となっていた。
その奨道館本部の副館長を務める伊能典膳は、
7万人の信者がいるとはいえ、新たな信者獲得(資金集め)が自身の肩に重くのしかかっていた。
そんな中、信者の1人である亜加里から、副館長の悩みを解決できる人物として、
ある女性と会うことになる。
✔︎
野々宮恭子
⇨〈野々宮プランニングスタジオ〉の代表。
⇨様々な資金難に陥っていた企業や個人を救ってきた天才、典膳に教祖の自伝を80万部ほど製本させた。
〈国民党議員:柳井耕一郎〉の後援会会長を務める倉橋兵衛。
先代である柳井幸之助と高校の先輩後輩の間柄で、先代が亡くなった後、長男の耕一郎が跡を継ぎ、
そのまま後援会も耕一郎が引き継いでいた。
しかし倉橋は、先代の力に及ばない耕一郎より、自分の方が政治家に相応しいと思い始め・・・。
半年前に後援会に入会してきた男:久津見の言葉を鵜呑みにし、1人の女性に会いに。
✔︎
野々宮恭子
⇨〈野々宮プランニングスタジオ〉の代表。
⇨全国各地の様々な選挙戦で勝者を数多く生み出した天才、まずは資金稼ぎということで、倉橋にある土地を紹介する。
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〈国民党議員:柳井耕一郎〉の秘書であり、愛人関係にもある咲田彩夏。
今年で34歳となる彩夏は、どう頑張っても耕一郎の2番手、影の存在でしかない自分自身を、
どうしても変えたい衝動が湧き上がってきて、悶々と悩む日々が続いていた。
そんな時、スキャンダル絡みで、耕一郎の1番手になるチャンスが巡ってきたと勘違いし、
後援会の職員:津久見に言われるがまま、ある女性に会いに行った。
✔︎
野々宮恭子
⇨〈野々宮プランニングスタジオ〉の代表。
⇨人の心を解きほぐす天才、秘書のような役割をしている亜加里と共に、彩夏へスキャンダルの偽造を勧める。
〈国民党の2世議員:柳井耕一郎〉は、手足をもがれたも同然だった。
裏の資金団体だった〈女性の活躍推進協会〉(藤沢優味)。
何もしなくても組織票を集めていた〈後援会〉(倉橋兵衛)。
信者の組織票を集めていた〈奨道館〉(伊能典膳)。
そして、〈政策秘書で愛人〉(咲田彩夏)。
この4つの力が衰え、自身の政治生命が危うくなってきた耕一郎の前に、
〈奨道館〉を辞めた神崎亜加里が姿を見せた。
とうとう耕一郎は、亜加里の言葉から久津見という人物への報復を目論み、1人の女性に会いに行く。
✔︎
野々宮恭子
⇨〈野々宮プランニングスタジオ〉の代表。
⇨何もかもお見通しな女性・・・本当の姿を耕一郎には知る術が無かった・・・。
最後に嗤う女性は、ただ1人だけ・・・。
全てをコントロールしていた彼女は、心の底から可笑しくて愉快な気分で、嗤い続ける。
おじさんの感想
中山七里のシリーズもの、
「嗤う淑女」の続編的な2作目『ふたたび嗤う淑女』。
読み応えのある1冊でした。
続編的な作品、映画などもそうですけど、
1作目を超える2作目という存在は稀ですよね。ほとんどありません。
同じように面白いというのも数える程度、といった感じです。
ですが、
中山七里作品にはその定義が当てはまらないんですよね。ちゃんと最後まで楽しめます。
代名詞になっている”どんでん返しの帝王”部分もしっかり味わえるし、
ホラーじゃないけど、背筋の凍るような”女性の嗤い顔”が想像できて、
3作目を期待感高めで手に取れるシリーズもの、
その2作目を飾っている『ふたたび嗤う淑女』。
是非読んでみて欲しい1冊です。
ただ、
私は、前作の読書からかなり経って2作目に突入したので、思い出すのに時間がかかってしまい、
”野々宮恭子”という名と”彼女”を混同してしまっていました。
最終的にはしっかりと思い出しておりましたけども、
もしかすると、今作を読む前に、1作目をおさらいしておいた方がよろしいかと。
1作目「嗤う淑女」を1度でも読んでいるならサラッと復習、
読んでいないなら、「嗤う淑女」を読み進めてから『ふたたび嗤う淑女』へ、
こちらをオススメします。
どうせ読むなら、楽しめた方が良いですしね。
シリーズものとして、「嗤う淑女」『ふたたび嗤う淑女』と、
読み進めてみてください。
シリーズ1作目「嗤う淑女」
✅ シリーズ1作目「嗤う淑女」
✔︎
蒲生美智留(がもうみちる)
⇨母親は男と失踪、父親と2人暮らしをしていた。
⇨従姉妹の野々宮恭子と同じ中学に転校。
⇨大学卒業後は都内の保険会社に就職、在職中にファイナンシャル・プランナー1級の資格を取得。
⇨目鼻立ちのはっきりした端正な顔立ちの美人、8頭身の完璧なモデル体型。
✔︎
野々宮恭子
⇨美智留の従姉妹。
⇨美智留とは対照的に、丸い顔で小さな目、寸胴で足も太く、美人ではない。
⇨中学生の頃、再生不良性貧血と診断され骨髄移植が必要となり、美智留の型が一致。
⇨美智留に移植をしてもらい病気は完治。
⇨それ以降、美智留へ狂信的とも言えるほど傾倒していく。
最後に
中山七里の『ふたたび嗤う淑女』を紹介させていただきました。
シリーズをしっかりと楽しむのなら、
1作目「嗤う淑女」から読み進めることをオススメします。
私のように、
思い出すのに時間がかかってしまうと、結構な終盤まで悩んでしまう部分が出てきますから、
1作目、2作目と間髪入れずに読むのがベストです。
「嗤う淑女」の文庫化が2017年、
『ふたたび嗤う淑女』の文庫化が2021年、
私は4年という時間的ブランクがありました。
そしてシリーズ3作目「嗤う淑女二人」がハードカバーで発売中・・・。
次はもう少し短いブランクでいける・・・。
記憶を研ぎ澄ませておきます、できる限り。
ではまた。