「田口・白鳥シリーズ」第2弾、海堂尊の「ナイチンゲールの沈黙」
海堂尊の医療ミステリー、
「田口・白鳥シリーズ」の第2弾、
「ナイチンゲールの沈黙」を紹介します。
どストレートな医療ミステリーとは言えない作品ですが、
キャラの魅力と読みやすさで、ラストまで一気に駆け抜けられる「小説」です。
「チーム・バチスタの栄光」の次のお話、
楽しめますよ。
「田口・白鳥シリーズ」第2弾、「ナイチンゲールの沈黙」
「ナイチンゲールの沈黙」 海堂尊
ネタバレをせずに、紹介します。
あの「バチスタ・スキャンダル」から9ヶ月後。
東城大学医学部付属病院では日常が取り戻されていました。
田口公平を襲う悲劇の始まりは、急患です。
看護師の2人が、ライブ中に倒れた歌手を病院へ、
田口が当直を務める神経内科病棟のVIP病室・通称「ドア・トゥ・ヘブン」へ入院。
田口は今回も巻き込まれます。
そして、
小児科に入院している牧村と佐々木のメンタルを危惧していた猫田師長、
田口にメンタルケアを依頼して、小児科患者限定の不定愁訴外来が開設、
田口には常にやる事が・・・。
・田口公平
東城大学医学部付属病院神経内科学教室講師。
リスクマネジメント委員会委員長で不定愁訴外来(グチ外来)責任者です。
頼りないようなそうでもないような、不思議な魅力の主人公。
・白鳥圭輔
再び登場する「火喰い鳥」、「ロジカルモンスター」と呼ばれる役人です。
厚生労働省大臣官房秘書課付技官、
医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長。漢字が多すぎる肩書きを持った、
ある意味、田口のベストパートナーです。2人が揃えば、不謹慎かもしれませんけど、
楽しめます。
・猫田麻里
小児科病棟看護師長。
口数は少なく自分では手を動かさないが、部下への支持は的確でスキがありません。
よく居眠りするので「眠り猫」なんて揶揄されますけど、
能力の高さは誰もが認めている小児科の師長さんです。
・浜田小夜
小児科病棟の看護師。
ライブ中に倒れた歌手を助けた1人。
実技はパッとしませんが、性格は真面目でレポートの成績は優秀。歌唱力抜群。
・如月翔子
救命救急センター看護師。浜田とは同期。
浜田と一緒にライブ中に倒れた歌手を助けた1人。
学業はパッとしませんが実技はピカイチ、浜田とは真逆の看護師です。
・牧村瑞人と佐々木アツシ
小児科病棟に入院している患者です。
佐々木は網膜芽細胞腫の患者で5歳。「〜であります」というアニメキャラに影響を受けた軍人口調で話すのが特徴的な、可愛らしい男の子。
牧村も網膜芽細胞腫の患者で14歳。普段はクールで不良タイプな少年ですが、年齢よりは大人びた頭のキレの持ち主。
この牧村瑞人の父親が殺害された事件、小児科での出来事、
「ドア・トゥ・ヘブン」に入院した歌手、
東城大学医学部付属病院の中、小児科と神経内科に吹き荒れる厄介ごと、
医療ミステリーと呼ぶには不自然な魅力で一杯の、
「ナイチンゲールの沈黙」
登場人物達の魅力も詰まっています。
「ナイチンゲールの沈黙」を読んだ方達のレビューを、紹介します
・「ナイチンゲールの沈黙」を読んだAさんのレビュー
痛々しい、運命とか軽々しく言えないレベルの、今この現実にある・起こっている事が満載で、
描ききれずあちこちから漏れて来てる感じです。
ナイチンゲールの表題通り、憤り血を吐く物語でした。
・「ナイチンゲールの沈黙」を読んだBさんのレビュー
チーム・バチスタの栄光に比べたら若干ファンタジー色の強い作品になっていますね。
いや、面白かったんですけどね。
医療ミステリーを期待していたから、肩透かしをくらった気分になりました。
・「ナイチンゲールの沈黙」を読んだCさんのレビュー
アツシが可愛いですね。
小説とはいえ、最後の敬礼には参りました。
病院のお話だからこういう話題も必ず付きまといます。
歌を映像に変えるセンスはないけど、
海堂本を読みながら人物の表情を思い浮かべるのは楽しいですね。
・「ナイチンゲールの沈黙」を読んだおじさん
「田口・白鳥シリーズ」の第2弾、
「ナイチンゲールの沈黙」
ストレートな医療ミステリーとは言えませんが、小説として楽しめる作品です。
「チーム・バチスタの栄光」から続けて読んでしまうと、
ちょっと面食らう内容ですけど、
「田口・白鳥シリーズ」に欠かせない新キャラが登場しますので、
読んでおいて損はありません。
上には書きませんでしたが、
「デジタルハウンドドック(電子猟犬)」なんて呼ばれる警視正・加納、
彼と白鳥のやり取りもこの作品からです。
これからの「田口・白鳥シリーズ」の為にも知っておいた方が、より楽しめますからね。
とは言いつつも、
やはり医療ミステリーとは言い難い作品ですので、
ある程度間口を広げて読み進めて頂けると、物語に没頭しやすいと思います。
途中で疑問に思う事があっても、ラストまで楽しめるはずです。
登場人物のキャラの濃さが、読み進める読者の助けになります。
「田口・白鳥シリーズ」の第2弾、海堂尊が贈る、
「ナイチンゲールの沈黙」
不思議な魅力の詰まった作品をお楽しみください。
「田口・白鳥シリーズ」について
海堂尊(1961年〜)は、
日本の作家、医師、博士(医学)です。現役のお医者さんです。
今までに発売されている「田口・白鳥シリーズ」は、
発売年 | 発行元 | タイトル |
2006年 | 宝島社 | チーム・バチスタの栄光 |
2006年 | ナイチンゲールの沈黙 | |
2007年 | ジェネラル・ルージュの凱旋 | |
2008年 | イノセント・ゲリラの祝祭 | |
2009年 | ジェネラル・ルージュの伝説 海堂尊のすべて | |
2010年 | アリアドネの弾丸 | |
2012年 | ケルベロスの肖像 | |
2014年 | カレイドスコープの箱庭 |
全ての作品が文庫になっておりますので、
気兼ねなく手に取れる作品ばかりです。私も文庫でしか読んでおりません。
海堂尊の作品はほぼ全て、
キャラクターが魅力に溢れています。読みやすさは抜群です。
その中でもこの「田口・白鳥コンビ」は異様に楽しめますね。
頭が良すぎて嫌味なイヤな奴、変人が役人として働いておられる白鳥、
人が良すぎて愚鈍な印象、グチの最終駅こと、優しさを隠せない田口、
この2人のコンビが動き出すと物語は加速します。
このコンビだけでも楽しめますけど、
出てくるキャラクター全てに魅力が溢れていますので、是非、
「田口・白鳥シリーズ」を読んでみてください。
まずは「チーム・バチスタの栄光」、そして、
「ナイチンゲールの沈黙」
必ず次回作を読みたくなる作品です。
最後に
医療ミステリーっぽくない医療ミステリー、
「ナイチンゲールの沈黙」を紹介させて頂きました。
オカルトみたいな話も混ざってくるんですが、
お医者さんが書いていると思えばですね、
不思議と楽しめるんですよ。変に親近感が湧くというか、なんというか。
俗世っぽい事も書くんだなと。
思考や発想力が柔らか過ぎる海堂尊の作品を是非1度。
ではまた。
▶︎▶︎現実か空想か?久坂部羊の『黒医』、7つの短編で描くブラックな医療界
▶︎▶︎医療小説『告知』、久坂部羊が描く「在宅医療」の壮絶な現実を短編集で