道尾秀介のデビュー作、ホラー・ミステリー小説「背の眼」
第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞した、
道尾秀介のデビュー作、
「真備シリーズ」の第1作目、
「背の眼」を紹介します。
ホラー小説でもあり、ミステリー小説でもある、
ホラー・ミステリー小説です。
道尾秀介のデビュー作、ホラー・ミステリー小説「背の眼」
「背の眼」 道尾秀介
ネタバレをせずに、紹介します。
・道尾秀介
売れないホラー作家です。
福島県白峠村を訪れていた道尾は、河原を散策中にある音を聞きます。
音、不思議な声、
「レエ・・・オグロアラダ・・・ロゴ・・・」
白峠村ではここ数年、児童の神隠し事件が発生していて、
声のした場所は、神隠し事件で最初にいなくなった少年の切断された頭部が流れ着いたとされる場所です。
「ネエ・・・ボクノカラダ・・・ドコ・・・」
背筋に冷たいものが走った道尾は、予定を切り上げて帰京、友人を頼ることになります。
・真備庄介
心霊現象を探求している真備、道尾とは大学時代からの友人です。
日本人離れな風貌をした怪奇現象マニアです。怪奇現象の解明が趣味、この物語の探偵役です。
幼馴染と結婚しましたが、奥さんは轢き逃げ事故で亡くなってしまい、
もう1度彼女に会いたいという願いから、5年前に霊現象探求所を開いた変わった人です。
霊の存在を完全には信じられずに、日々探求をしています。
道尾が謎の声にビクビクしていた時、
真備は白峠村とその隣町・愛染町で相次いでいた自殺者の友人や上司たちから相談を受けていました。
死ぬ直前に撮っていた写真に写る彼らの背中に不思議な眼が写り込んでいる・・。
自殺する理由は分からないが、彼らに共通している不思議な眼の存在、
真備は道尾と共に探求することになります。
・北見凛
真備の事務所で助手としてアルバイトをしている凛。
凛の姉は、真備の元妻。真備とは小さい時からの知り合いです。
凛には不思議な能力が備わっていて、
人が考えていることや、過去のことまでわかってしまう、千里眼的な能力を持っている凛。
凛自身はこの能力を嫌っていて、なるべく使わないようにしています。
真備の助手として、この事件に関わっていく事に。
道尾、真備、凛、彼ら3人が、
児童の神隠し事件、自殺者の背中に浮き上がっていた眼の謎に迫る、
ホラー・ミステリー小説、
「背の眼」
おすすめです。
「背の眼」を読んだ方達のレビューを、紹介します
・「背の眼」を読んだAさんのレビュー
ホラーとミステリーが合わさった作品です。
続きが気になって夢中で読み進めました。
読者が気になりそうな事をほったらかしにしないで解決していたり、
絵が載っていたりと、親切な作りの作品だと思います。
・「背の眼」を読んだBさんのレビュー
背中に現れる眼の謎をめぐるホラーミステリー。
もうちょっとホラーしているかと思ったら、ミステリー寄りでした。
ここまで長くなくとも、と思いつつ、読みやすさが手伝ってくれて一気読みです。
面白かったですね。
・「背の眼」を読んだCさんのレビュー
怖かったです。
色々な伏線が、そこに繋がっていくのね、という驚きも勿論あったけど、
ゾワゾワする怖さと、人間の弱さと哀しさが押し寄せてきて、
気持ちが苦しくなってしまいました。
最後には救われました。
・「背の眼」を読んだおじさん
第5回ホラーサスペンス大賞の特別賞を受賞した、
道尾秀介のデビュー作、
「背の眼」
ホラー色のあるミステリー小説です。
完全なホラー小説ではないので、
ホラー系が苦手な方にもおすすめできる作品です。
心霊現象、神隠し、天狗、背中に眼が・・などなど、ホラーチックな話は盛りだくさんですけど、
読み進めていくうちに、少しずつ紐解かれていきます。
そして何より、
真備という探偵役と、その助手・北見、主人公なのに一般的能力者な道尾、
彼らの掛け合いにホッとさせられますから、
怖がらずに手にとって頂ければ良いかなと。タイトルは怖いですけどね。
「背の眼」で描かれている世界は明るくありません。
むしろ、暗すぎるぐらい暗いお話です。悲惨な事件と、人間の怖さ、哀しさ、
全てを抱えながらラストへ。
それなのに不思議と、読後感はイヤじゃないんですよね。
感動してしまうラストをお持ちの作品です。
「真備シリーズ」の第1作目、
道尾秀介のデビュー作、ホラー・ミステリー小説、
「背の眼」
おすすめです。
ホラーサスペンス大賞について
ホラーサスペンス大賞は、
2000年から2005年まで、幻冬舎、新潮社、テレビ朝日、の3社が主催した、
ホラー性およびサスペンス性に富んだ長編小説を対象とした、公募新人文学賞です。
今までの受賞作は、
第1回(2000年) | 著者 | タイトル |
大賞 | 黒武洋 | そして粛清の扉を |
特別賞 | 安東能明 | 鬼子母神 |
第2回(2001年) | 著者 | タイトル |
大賞 | 五十嵐貴久 | リカ |
特別賞 | 春口裕子 | 火群の館 |
第3回(2002年) | 著者 | タイトル |
大賞 | 佐藤ラギ | ギニョル |
特別賞 | 牧村泉 | 邪光 |
第4回(2003年) | 著者 | タイトル |
大賞 | 高田侑 | 裂けた瞳 |
特別賞 | 誉田哲也 | アクセス |
第5回(2004年) | 著者 | タイトル |
大賞 | 沼田まほかる | 九月が永遠に続けば |
特別賞 | 道尾秀介 | 背の眼 |
最終選考 | 塔山郁 | 悪霊の棲む部屋 |
第6回(2005年) | 著者 | タイトル |
大賞 | 吉来駿作 | キタイ |
特別賞 | 木宮条太郎 | 時は静かに戦慄く |
今はもう存在しない賞です。
需要が無くなったからなのか、理由は分かりませんけど、
6回しかないのは残念です。ほぼ聞いた事のない賞ですから、致し方ありませんね。
ちなみに、
私が読んだ事のあるホラーサスペンス大賞関連の小説は、2冊だけです。
五十嵐貴久の「リカ」、
道尾秀介の「背の眼」、
この2冊だけです。塔山郁の「悪霊の棲む部屋」は読んだ気がするんですけど、
覚えておりません。今度、調べておきます。
最後に
道尾秀介の「小説」を紹介したのは、
これで2回目です。
直木賞を受賞した事のある有名な作家さんです。
まだ44歳、作家としては若いですから、
これからを期待してしまいます。
まだまだ読者を楽しませてくれるはずですので、
次回作を待ちつつ、
注目していきたいと思います。
ではまた。
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