山田詠美の「つみびと」、実際に起きた事件をモチーフにした「小説」

面白くない

この「小説」を読んでも、面白く感じる事はできません

なんなら、
読まない方がいいですよ。
自分の目の届かないところへ押しやって、
無かったものにしたいぐらいです。記憶を消したい

読んでしまったので、紹介させて頂きますが、
一切、
おすすめはしません

山田詠美の「つみびと」、

2010年に実際に起きた事件をモチーフにした作品です。

 

実際に起きた事件をモチーフとした「つみびと」

 

つみびと 山田詠美

 

山田詠美

数年前に大阪で、若い母親が、
マンションに二児を閉じ込めたまま置き去りにして、
その子たちが亡くなった事件がありましたよね。
あの事件に感じるところがあって、
ずっと心に留めておいたんです。
当時は、テレビや雑誌などで、すごく悲惨な事件と扱われていて、
メディアで発言する人たちは、
みんな「勧善懲悪」の立場から論じていたんですよね。
確かにひどい母親だとは思います。
けれども、そうではない、マスコミで報道されない面もあるんじゃないかと考えるのが、
小説家の仕事だと、私は思っています。

〜山田詠美インタビューより〜

 

ネタバレをせずに、紹介します。

実際に起きた事件をモチーフにしたお話、
子供たちがそんな想いで過ごしていたのと、辛く悲しいお話です。

お母さん2人と、純粋な子供たち

・<母・琴音>
3人兄弟の末っ子。兄二人を持つ琴音
幼い頃に父を急性心筋梗塞で亡くし、新しいお父さんが家に。
母親、すぐ上の兄、琴音、そして新しいお父さん、
新たに始まった4人の生活、その生活から受けた心と体に負った傷
琴音の傷は癒える事なく、大人になり、やがて、3人の子を持つお母さんに

・<娘・蓮音>
琴音お母さんの長女、3人兄弟の長女。弟1人、妹1人。
蓮音が幼い頃から、琴音お母さんは何度か家出を繰り返し、
とうとう全く帰って来なくなり、蓮音が弟たちの面倒を見ることに。
幼い時分から弟たちのお母さんになった蓮音
やがて彼女も、本当のお母さんになりました。兄妹のお母さん

 

・<小さき者たち>
お兄ちゃんの桃太、妹の萌音蓮音かわいい子供たちです。
この兄妹にとって、最大、いや、それしかないという存在が蓮音お母さん
兄妹のお父さんはいなくなっているし、
祖父母とは疎遠。
兄妹の全てが蓮音お母さんです。
お母さんがそばにいてくれるだけでいい、そばにいてくれるだけで・・・

琴音お母さんから生まれた蓮音お母さん

蓮音お母さんから生まれた桃太萌音

桃太はやがていつの日かお父さんに、
萌音はやがていつの日かお母さんに、

そんな未来
兄妹たちがやがて過ごすであろう時間は、
4歳と3歳、
短い時間となって突如、終わりを告げます。

お母さんがそばにいてくれるだけで、
良かったんですけどね・・・。

山田詠美の「つみびと」、

読み進めるのが辛すぎる、おすすめできない「小説」です。

 

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「つみびと」を読んだ方達のレビューを、紹介します

 

 

「つみびと」を読んだAさんのレビュー

記憶している事件の中でも、想像するのも辛く悲しい話です。
母親も辛かったって事、知ってる、でもでも・・・。
どこまでリアルなのかは分からないけれど、こうして知って考える事は大事ですよね。

 

 

「つみびと」を読んだBさんのレビュー

辛い。
読むのが辛い。
特に子供目線で書かれた部分。
たとえフィクションであっても、健気な子供の思いが可哀想過ぎて・・・。
負の連鎖的な部分はあるのだろうけど、とはいえ、子供に全く罪は無い。
悲し過ぎます・・・。

 

 

「つみびと」を読んだCさんのレビュー

この本の元になった事件も知っているし、
結末も分かっているので、読み進めていくのが本当に辛かったです。
フィクションなんだけど、とにかく子供のシーンは斜め読み。
辛過ぎて読めません。
久しぶりに山田詠美を読んだけど、山田詠美っぽい書き方で終わり方。
全部、血のせいなの?連鎖なの?
別れた夫が無理矢理にでも子供を育てれば、こんなことにはならなかった・・・。
むごい。

 

 

「つみびと」を読んだおじさん

小説」自体は好きですので、
通勤時間中、毎日のように読んでいるんですけど、
たまに出会ってしまうんです。
読まなければよかった何も残らない、そんな「小説」に。

山田詠美の「つみびと」、
読まなければよかった、これはそのままですが、
何も残らなかった訳ではありません。残り過ぎるんですね。
読み終わった後、読者が自分なりの考えを巡らす、
考えて、考え抜いた挙句、何も答えが出ない
無力感に支配された辛い気持ちと、どうしようもない怒りのような感情、
そして、なぜそうなった?
そんな感情が渦巻いてしまう「小説」です。
完全に残り過ぎ。

小さき者たち>で描かれる幼い子供たちの心情
これはダメですね。読み進めるのが辛いとレビューを書いていた大半の人が、
この章に打ちのめされてしまっています。
全く同感です。
琴音蓮音の章は、フィクションでありノンフィクションでもある、
そんな解釈が出来るんですけど、
小さき者たち>で描かれている心情は作り話のはずなんですよ。
子供たちの心情が分かる訳ないですから。
それでも読み進めるのが辛過ぎて、残ってしまうんです。
子供たちの心情だけは作り話であってくれ、
あんな想いを抱きながら時間が止まってしまったとは考えたくない・・、
本当に残り過ぎですね。

最後にもう1つだけ。
ラストまで読み進めると、
失われていた時間が再び動き出すんですけど、
動き出すはずだった時間すら断ち切られた存在を、まざまざと見せつけられるんです。
ため息をつくのも忘れて、本を閉じることになります。
読まなければよかったと・・・。

山田詠美の「つみびと」、
おすすめは一切しません。読まない方がいいですよ。
私が確認できたのは1つだけ、
自分の母親への感謝、これだけでしたね。

 

 

山田詠美について

 

山田詠美(1959年2月8日〜)は、
日本の女性小説家、漫画家です。愛称はポンちゃん。

主な受賞歴は、

刊行年 タイトル 受賞
1985年 ベッドタイムアイズ 第22回文藝賞
1987年 ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー 第97回直木賞
1989年 風葬の教室 第17回平林たい子文学賞
1991年 トラッシュ 第30回女流文学賞
1996年 アニマル・ロジック 第24回泉鏡花文学賞
2001年 A2Z 第52回読売文学賞
2005年 風味絶佳 第41回谷崎潤一郎賞
2012年 ジェントルマン 第65回野間文芸賞
2016年 生鮮てるてる坊主 第42回川端康成文学賞

現在は、芥川賞選考委員の常連になっていて、
2003年上半期第129回から務めています。

ちなみに、
デビュー作「ベッドタイムアイズ」は、
文藝賞を受賞、芥川賞候補となっています。
ジェシーの背骨」(1986年)、「蝶々の纏足」(1987年)、
この2作も候補となっていますが、受賞には至りませんでした。

個人的に、好きな作家という訳ではないので、
読んだ事のある作品も少ないです。
アニマル・ロジック」、
ベッドタイムアイズ」ぐらいしか覚えておりません。
あとは読んだかどうか全く覚えておらず、という体たらくぶりです。

それなのに、
久々に読んだ山田詠美作品が「つみびと」、
失敗しましたね。前置きが全くなかったもので。
実際に起こった事件、
子供が犠牲となった事件をモチーフにした作品を読んでしまうとは・・・。
打ちのめされましたよ

 

最後に

 

山田詠美の「つみびと」、
紹介させて頂きました。

書くのは相当悩んだんですけどね。
おすすめなんて一切出来ない「小説」ですから。

特にですね、
お母さんと子供の物語となっているんですが、
世の親には読んで欲しくない、そんな思いになってしまいます。

変な言い方をすると、
事件の概要を知るのは、ワイドショーレベルで十分
フィクションだったとしても、知らない方が良かった
そんな風に思えてしょうがない作品でしたね。
読み進めるのが辛くて、大変な労力を使いました。

単純な評価をさせてもらえない「小説」、
面白くはないけど、渦巻く感情が残り過ぎてしまう作品、
つみびと
おすすめはしませんよ。

ではまた。

 

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