道尾秀介『カエルの小指』あらすじ/感想/「カラスの親指」から続くシリーズ2作目
今では直木賞作家として有名な道尾秀介が、
初めて直木賞の候補に名前を連ねたのは「カラスの親指」。
その主要な登場人物たちをそのまま再結成させ、
シリーズ2作目となったのが今作『カエルの小指』。
道尾秀介『カエルの小指』
✅ この先も続いていきそうなシリーズ2作目
✅ 二転三転・・・十転ぐらいする騙し合いの大逆転劇
✅ 読者も一緒になって最後まで騙されるけど、後味は悪くない
シリーズ1作目の「カラスの親指」を読んでから10年以上の時間が経っておりますが、
シリーズ2作目を読み進めていると、
不思議と思い出してくるもんですね。
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道尾秀介『カエルの小指』あらすじ/感想
- 「THUMB/Finding him」:11〜
- 「INDEX FINGER/Go this way」:80〜
- 「MIDDLE FINGER/F✖︎✖︎k it off」:146〜
- 「RING FINGER/They need an ointment」:224〜
- 「PINKY/Crow's “pinky”」:350〜
- 「PALM/A murder of crows」:395〜
⇨武沢竹夫:通称タケ、詐欺師から足を洗い、実演販売士として生活している
⇨まひろ:スリで生活していた少女が、今年で31歳
⇨やひろ:まひろの姉、結婚しテツという息子を持つ、今年で38歳
⇨貫太郎:やひろの夫、テツの父親、贅肉で包まれた身体を持つ肥満
あらすじ
『カエルの小指』あらすじ
詐欺師稼業から足を洗い、ホームセンターやデパートの一角で、
実演販売士として働き、堅気の生活をしていた武沢竹夫(通称:タケ)。
いつものように実演販売していたある日、
訳ありの中学生キョウがタケに接触してきた。
話を聞いてみると、
キョウの母親が酷い詐欺被害にあい、
その時を境に厳しい現実を生きる事になってしまったらしい・・・。
そして、
そんな中学生のキョウからとんでもない依頼を受けたタケ・・・。
因縁というべきか、それとも人の縁なのか、
様々な想いが交差する中、
タケはキョウの為に依頼を受ける。
かつての仲間の力を借り、かつての恩人へ許しを請いつつ、
「久々に派手なペテンを仕掛ける!!」
〜『カエルの小指』〜
おじさんの感想
2008年に単行本化された道尾秀介の「カラスの親指」、
その続編とでも言いますか、
主な登場人物たちをそのまま継続させた『カエルの小指』、
10年以上の時を経て読んだシリーズ2作目となりました。
正直に言いますと、読み始めた当初は1作目をほぼ覚えていなくて、「ん?」とか、「あ、これ確か・・・」とか、探り探りだったんですけど、
読み進めていくうちに、不思議と思い出すもんですね。
途中から1作目の記憶も相まって、ラストまで突っ走れる物語になっていました。
面白かったです。
『カエルの小指』の文庫の帯に、
「絶対に騙される大逆転劇!」と書かれていて、
「あ〜、その“騙される”の中に読者も入っているな」
なんて読後感を味わいながら、
切ない気持ちと妙な安堵感、そして、このメンツの物語をまた読みたいと思いつつそっとページを閉じられる1冊になっています。
変な予想もしてしまいますけど。
「カラスの親指」⇨『カエルの小指』ですから、次は、
「何の何指?」、「カがつく生き物で3文字、親指と小指以外だから〜」、
「カピバラの!・・・ダメだ4文字だ・・・」と、全く意味のない時間を過ごしてしまいますが、
そうしたくなるほど続編に期待してしまいますね。
できたらもう少し間隔を狭めていただけるとありがたい・・・。
前作「カラスの親指」の面子と久々の再会となった『カエルの小指』、
前作を読んでいるなら手にとってみてください。
失敗しないと思いますよ。
シリーズ1作目「カラスの親指」
「カラスの親指」:簡単なあらすじ
やさぐれたベテランの詐欺師:武沢竹夫(通称タケ)は、
暗い過去の出来事から逃亡生活を送っていた。
病死した妻、職を失い、
ヤクザを警察に突き出し逮捕させた後、その報復として失ってしまった幼い娘・・・。
そんなタケが1人の男(テツ)に出会い、
2人はコンビを組んで仕事を重ねていたが、ヤクザからは容易に逃げられない。
そして、偶然なのか必然だったのか、
スリをしていた少女まひろ、姉のやひろ、やひろの彼氏貫太郎、
子猫のトサカと共同生活を始めた5人と1匹は、
いつしか家族のようになっていった。
しかし、ヤクザの魔の手はその暮らしにも侵食してくる。
家族となっていた子猫のトサカが犠牲に・・・。
5人は団結してヤクザへの復讐を計画し、やがて・・・。
〜「カラスの親指」〜
【受賞/候補】
⇨第140回直木賞 候補
⇨第30回吉川英治文学新人賞 候補
⇨第62回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞
2008年に単行本化(2011年文庫化)、
道尾秀介の「カラスの親指 by rule of CROW's thumb」。
シリーズ2作目の『カエルの小指』をより面白くするためには、
読んでおくのがベストだと思います。
映画
映画「カラスの親指」
映画「カラスの親指」予告編
【監督/脚本】
伊藤匡史
【原作】
道尾秀介「カラスの親指」
【キャスト(役名)】
阿部寛(武沢竹夫:タケ)、村上ショージ(テツ)
石原さとみ(やひろ)、能年玲奈(まひろ)
小柳友(貫太郎)、ベンガル(質屋の店主)
ユースケ・サンタマリア(競馬場の客)、戸次重幸(豚々亭のマスター)
鶴見辰吾(ヒグチ)
【受賞歴】
・第55回ブルーリボン賞 主演男優賞 受賞(阿部寛)
⇨「麒麟の翼」、「テルマエ・ロマエ」の演技と併せて評価
・第37回報知映画賞 新人賞 受賞(能年玲奈)
【日本公開】
2012年11月23日
【0円で視聴できるサイト】
31日間の無料キャンペーンを利用すれば、本作は見放題作品となっていますので、0円で視聴可能です
⇨
シリーズ1作目「カラスの親指」は映画化され2012年に日本で公開されています。
もしかすると、
シリーズ2作目『カエルの小指』も同じキャスト、続編として映画化されるかもしれません。
今の所、そのような情報はありませんけどね。
最後に
道尾秀介の「カラスの親指」、
その続編となる『カエルの小指』を紹介させていただきました。
続編登場でシリーズ化、という事でよろしいのでしょうか?
できたら後数作、タケを中心としたあの面子の物語を読みたいですね。
そして次回作、シリーズ3作目があるとするなら、再三で申し訳ないんですけど、
もう少し早めに続編を出していただけると・・・。
単行本から文庫になるのも時間がかかりますし・・・。
3作目のタイトルに変な予想をしつつ、気長に待ちたいと思っております。
ではまた。