キューブリック作品で戦争映画、「フルメタル・ジャケット」の笑顔と地獄

2020年12月25日

116分短い戦争映画です。

不思議な戦争映画ですね。

前半と後半に分かれた2部構成のような作りです。

前半で描かれている45分、

戦闘シーンは一切ありません。兵隊になる為の訓練をしているだけです。

後半はベトナムでの戦争体験。

前半は訓練、後半はベトナム戦争

前半で強烈に脳裏に残るのは笑顔

後半を観続けて最終的には、

フルメタル・ジャケット」と、
スタンリー・キューブリックを忘れられなくなっています。

 

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キューブリック監督作「フルメタル・ジャケット」

 

フルメタル・ジャケット

Full Metal Jacket Official Trailer

監督・製作 スタンリー・キューブリック
原作 グスタフ・ハスフォードの小説「ショート・タイマーズ」
出演(役名) マシュー・モディーン(ジェイムズ・T・デイヴィス/ジョーカー)
ヴィンセント・ドノフリオ(レナード・ローレンス/ほほえみデブ)
R・リー・アーメイ(ハートマン軍曹)
アーリス・ハワード(エヴァンス/カウボーイ)
アダム・ボールドウィン(アニマルマザー)
アメリカ公開 1987年6月26日
日本公開 1988年3月19日

 

笑顔と地獄な前後半

ネタバレをせずに、紹介します。

フルメタル・ジャケット」の前半

海兵隊訓練所で訓練を受けている新兵達、
その過酷な訓練模様がこれでもかと、ただひたすら描かれています。

・ハートマン軍曹(R・リー・アーメイ)
前半45分、ほぼハートマン軍曹独壇場です。
物語が始まって最初の15分ほど、新兵達の会話らしい会話は一切ありません。
ハートマン軍曹の高名な教えの数々を、視聴者も一緒になって聞いているだけの15分。
強烈な言葉が飛び交っています。
心が折れないようにして頂きたいと思います。

視聴者の心が折れなかった代わりに、
ある男の心は壊されて、あんな笑顔を見せるまでになりました。
この先ずっと、忘れる事の出来ない笑顔、です。

・レナード・ローレンス/ほほえみデブ(ヴィンセント・ドノフリオ)
なぜ海兵隊に入ってきたのか分からないほど、何も出来ないレナード
運動神経は人並み以下ブーツの紐は結べない軍服も1人では着られないほどです。
そんなレナードのあだ名はほほえみデブ
新兵達みんなのお荷物と化したほほえみデブは、ある晩、
新兵達からの壮絶なリンチを受け、徐々に心が壊れていってしまいます。

心が壊れる寸前に、
銃の才能と出会ったほほえみデブ
心が壊されると同時に、彼の頭の中には銃だけが残りました。
そして、心をで満たしていくように・・・。

卒業を控えた新兵達の最後の夜、

ハーイジョ〜カ〜
7.62ミリ弾フルメタルジャケット
この笑顔をこの先、絶対に忘れられなくなります

 

物語の後半、
卒業した新兵達は、
ベトナムに送られ、戦争を体験していきます。
どうしようもない現実と、どうしようもない出来事の数々、
戦闘シーンは少ないですけど、後半も妙に記憶に残ってしまいます。
ベトナム戦争地獄を、戦闘シーン以外の角度で観せ付ける後半です。

戦争映画にしては、
戦闘シーンの少ない不思議な映画ですけど、
記憶に刻まれる物語となるパワーを擁している、
スタンリー・キューブリック監督作、
フルメタル・ジャケット
あの笑顔と、戦闘シーン以外で観せ付けられる地獄
体験してみてください。

 

 

「フルメタル・ジャケット」を観た方達のレビューを、紹介します

 

「フルメタル・ジャケット」を観たAさんのレビュー

ハートマン軍曹を観られただけでも、満足してしまうKING OF 罵倒。
ほほえみデブの狂気。
随所に現れるセンスのある音楽。
うーーん、名作と言われるだけありました。

 

 

「フルメタル・ジャケット」を観たBさんのレビュー

数ある戦争映画の中でも異質な一作です。
喜劇的で戦闘シーンが少ない故に、戦争の惨さと救われなさを感じます。
米国万歳のようなアメリカをヒーロー化した映画とは異なりますし、
戦闘シーン多めで悲惨さを訴えかける映画とも異なります。
脱帽。

 

 

「フルメタル・ジャケット」を観たCさんのレビュー

2部構成で、あまり観た事のないタイプの戦争映画です。
前半の狂気に溢れていく様子と、
後半の重たくのしかかる部分の、
異なる角度から”戦争”の酷い様を感じさせられました。

 

 

「フルメタル・ジャケット」を観たおじさん

スタンリー・キューブリック監督作、
116分短い戦争映画
フルメタル・ジャケット
キューブリック作品の中では観やすい部類に入ると、勝手に思っています。

派手な戦争映画をイメージしてしまうと、
前半で眠くなってしまう可能性もあります。ハートマン軍曹の独壇場ですから。
あの高名な教えの数々を楽しんで頂いて、前半のラストで突き付けられる笑顔
これを乗り越え、期待しながら後半へ。
さらにここでも、
後半途中で眠くなってしまう可能性が・・・。
あの強烈なインパクトを擁している笑顔からくる期待感が、
後半途中で力尽きるかもしれません。

前半ラスト、インパクトが強すぎるんですよね。

その印象を持ったまま後半に突入してしまうので、肩透かしを食らったような感じになりがちです。
後半は後半で、ベトナム戦争淡々とした地獄を描いているので、
決してツマラナイという事は無いんですけど、
あの笑顔と比べてしまうんでしょうね。
無理もありません。

フルメタル・ジャケット」のレビューを探していて、
よく目にしたのが、後半失速、そんなレビューでした。
インパクト大の笑顔VS淡々とした地獄
致し方ないです。あれは強烈過ぎますから。

とはいえですね、
フルメタル・ジャケット」、
戦争映画として観ておいて損の無い作品だと思っています。
確実に心に残るであろうキューブリック作品、と、私は強く思っています。
観やすい部類ですし。
なぜあの笑顔が有名なのか?ハートマン軍曹とは?淡々とした地獄
確認してみてください。

フルメタル・ジャケット」は、
今現在、「Netflix(ネットフリックス)」で視聴可能です。

 

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監督スタンリー・キューブリックについて

 

スタンリー・キューブリック(1928年7月26日〜1999年3月7日)は、
アメリカの映画監督、脚本家、プロデューサーです。

映画監督作として有名な作品は、

公開年 タイトル 主演
1964年 博士の異常な愛情 ピーター・セラーズ
1968年 2001年宇宙の旅 キア・デュリア
1971年 時計じかけのオレンジ マルコム・マクダウェル
1975年 バリー・リンドン ライアン・オニール
1980年 シャイニング ジャック・ニコルソン
1987年 フルメタル・ジャケット マシュー・モディーン
1999年 アイズ ワイド シャット トム・クルーズ

スパルタカス」(1960年)や、
ロリータ」(1962年)なども有名ですけど、
キューブリックと聞いて真っ先に思い出す「映画」はこの辺ではないかと。

未だにSF映画の名作として名高い、
2001年宇宙の旅」(1968年)
これだけ語り尽くされているのに、依然として謎だらけの「映画」です。
たくさんの解釈を、たくさんの記事から読み取れるんですけど、
答えには一向に近付いていない気がしてしまいます。

怖いのは、「映画」そのものよりも、これだけ語り尽くされている事でしょうね。
50年前の映画です。

そしてこちらも相当に人気のある作品、カルト的人気作
時計じかけのオレンジ」(1971年)
暴力的な表現と欲望の赴くままに。

嫌いではないけど人に勧めるような「映画」ではありません。
公開当時もですし、今なおですけど、
論争を巻き起こす内容の作品です。面白いよと言えない感じを受ける作品、
今で言うと「ジョーカー」と同じような気がしますね。内容は全く異なりますが。

そんな感じで、個人的にキューブリック作品を考えてみると、

おすすめ出来る作品は、
2001年宇宙の旅」(1968年)・・・SF映画として観ておいて損はありません。
シャイニング」(1980年)・・・これもまぁ微妙なんですが・・・。
フルメタル・ジャケット」(1987年)・・・キューブリック作品では確実にまともな方。
アイズ ワイド シャット」(1999年)・・・こちらもまだまとも

まともと言うのは、
解釈にあまり困らないという事です。
観終わった後、最高に楽しかったとは絶対になりませんけど、
観ておいて良かったなぁ〜、ぐらいにはなりますからね。

 

「ネトフリ」で観られるキューブリック作品

 

今現在、
Netflix(ネットフリックス)で観られるキューブリック作品、
4作品が視聴可能になっています。

公開年 タイトル 主演
1960年 スパルタカス カーク・ダグラス
1961年 ロリータ ジェームズ・メイソン
1980年 シャイニング ジャック・ニコルソン
1987年 フルメタル・ジャケット マシュー・モディーン

偶然でしょうけど、
シャイニング」で狂気の笑顔を確認出来るし、
フルメタル・ジャケット」でさらに、忘れられない笑顔に出会える。
2つの笑顔を堪能出来る状態となっております。

気をつけて欲しいんですが、
シャイニング」と「フルメタル・ジャケット」、
短い期間の間に体験しない方がよろしいかと。

どちらの笑顔も忘れられないものになりますけど、
観ているこちら側は笑顔にはなれませんからね。
画面では笑顔、こちら側は引きつりながら無言、そんな状態になります。

間隔を空けて視聴する事を、強くおすすめしておきます。

 

最後に

 

116分短い戦争映画
スタンリー・キューブリック監督作、
フルメタル・ジャケット」を紹介させて頂きました。

再三で申し訳ありませんが、
個人的に、キューブリック作品として観やすい部類に入る作品だと思っています。

他の作品よりはまだ、おすすめしやすいと。

前半は、
ハートマン軍曹高名な教えの数々からくる忘れられない笑顔

後半は、
ベトナム戦争を体験する兵士達の淡々とした地獄

笑顔地獄
これでもおすすめしやすい作品、と、感じてしまいます。

スタンリー・キューブリック監督作、
フルメタル・ジャケット
体験してみてください。

ではまた。

 

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