中山七里『ヒポクラテスの試練』あらすじ/感想、法医学ミステリーシリーズ第3弾
中山七里の法医学ミステリーシリーズ第3弾、
『ヒポクラテスの試練』。
『ヒポクラテスの試練』
✅ 「ヒポクラテスの誓い」(第1弾)、「ヒポクラテスの憂鬱」(第2弾)、
そして第3弾『ヒポクラテスの試練』
✅ ”未知の感染症なのか・・?”、日本/アメリカを巻き込む長編ミステリー
✅ お馴染みの登場人物たちが”パンデミック”を防ごうと・・・
第1弾は連作短編集的な1つの物語、
第2弾は、あるキーワードで繋がっている1つの連作物語、
この第3弾『ヒポクラテスの試練』は、
シリーズ初の完全長編ミステリーです。
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『ヒポクラテスの試練』あらすじ/感想/シリーズ
『ヒポクラテスの試練』中山七里
- 一「米の毒」5ページ〜
- 二「蟲の毒」73ページ〜
- 三「職務に潜む毒」141ページ〜
- 四「異国の地の毒」211ページ〜
- 五「人の毒」279ページ〜
【主な登場人物】
栂野真琴(浦和医大法医学教室・助教)
光崎藤次郎(浦和医大法医学教室・教授)
キャシー・ペンドルトン(浦和医大法医学教室・准教授)
古手川和也(埼玉県警捜査一課の刑事)
渡瀬(埼玉県警捜査一課・古手川の上司)
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あらすじ
『ヒポクラテスの試練』あらすじ
浦和医大法医学教室の光崎藤次郎教授のもとに、
前都議会議員の”権藤”が急死した死因を、解剖して調べて欲しいという依頼がきた。
”権藤”の身内からは病理解剖を拒否されていたが、
光崎は埼玉県警の古手川を呼びつけ、
真琴と共に調査をさせた結果、
毒殺の可能性が浮上。
”権藤”は浦和医大法医学教室で司法解剖されることになった。
そして、
”権藤”の本当の死因を導き出した光崎。
人間の体の中で蠢いていた恐ろしい異物・・・。
この異物を、
光崎は国立感染症研究所へ送り、分析を依頼。
パンデミックの可能性も考慮し、
またしても古手川を動かして調査させる。
やがて、
光崎の懸念は現実となり、都議会関係者から第2の犠牲者が・・・。
”権藤”と同じ死因の犠牲者。
得体の知れない恐怖が広がっていく中、
真琴たちはついに元凶へと辿り着く。
〜『ヒポクラテスの試練』〜
・病理解剖
⇨病気で亡くなった人を対象にして、臨床診断の妥当性、治療の効果の判定、直接死因の解明、続発性の合併症や偶発病変の発見などを目的に系統的な解剖を行うこと。
⇨死亡した患者の家族の承諾を得た上で行われる。
・司法解剖
⇨犯罪性のある死体、またはその疑いのある死体の死因などを究明するために行われる解剖。
⇨心情的配慮から、多くのケースでは遺族の了承を得た上で解剖が行われているが、法律上は裁判所から「鑑定処分許可状」の発行を受ければ、遺族の同意無しでも職権で強制的に行うことが可能。
おじさんの感想
中山七里の法医学ミステリーシリーズの第3弾『ヒポクラテスの試練』、
完全な長編はこのシリーズで初でしたので、
妙に新鮮な気持ちで読み進めることができました。
物語の舞台もアメリカまで飛びますから、
急にスケールがでかくなったな〜、と少しビックリしましたけど。
ただ、
読者にページをめくらせるスピードは相変わらず、
サクッと読み終えられる1冊となっています。
「もしかしたらパンデミック?」という、今の時代に相応しい部分だったり、
「海外へ視察しに行った議員たち」の胸糞悪くなる部分だったり、
「アメリカの人種差別、食の問題」もあったりと、
最初から最後まで飽きませんでしたね。
ラストはバッと終わらせた感はありますけども、
読み応えは間違いない物語です。
それと、個人的には、
キャシー先生が活躍する場面が多かったので、特異な癖をまとっている脇役外国人女性という印象から、
主人公の1人だなと印象が良くなりました。
今まではどうしても、真琴、古手川、光崎を中心に捉えていましたから。
新キャラ登場ぐらいに楽しめましたね。
もしまだ、この法医学シリーズに触れていないのなら、
第1弾、第2弾と順を追って読み進めることをオススメします。
『ヒポクラテスの試練』はその後、が最適です。
ヒポクラテスシリーズ
✅ 第1弾「ヒポクラテスの誓い」
✔︎
浦和医大に勤める研修医の栂野真琴が主人公。
ある事情で、世界的な権威:光崎藤次郎の法医学教室に入ることになり、
遺体の解剖を通して真実を明らかにしていく法医学ミステリーの第1弾。
✅ 第2弾「ヒポクラテスの憂鬱」
✔︎
研修医としての日々は終わり、助教となった栂野真琴。
第2弾は、あるキーワードで1つとなっている連作物語。
キーワード<修正者(コレクター)>。
様々な事件と司法解剖が重なり合い、1つの結末へ導くミステリー。
第3弾は『ヒポクラテスの試練』、そして第4弾。
✅ 第4弾「ヒポクラテスの悔恨」
✔︎
光崎がTV番組に出演し、日本の司法解剖の問題点を厳しく指摘。
翌朝、その放送局のホームページに「親愛なる光崎教授殿」で始まる奇妙な書き込みが。
それは、自然死に見せかけた殺人の犯行予告・・・。
早速、古手川と真琴は管内の異状死体を調べ出し、やがて・・・。
今の所、法医学ミステリーシリーズは、この第4弾まで発売中となっています。
最後に
中山七里の法医学ミステリーシリーズ(一般的には「ヒポクラテスの誓いシリーズ」)、
第3弾『ヒポクラテスの試練』を紹介させていただきました。
いつもながら安定感抜群、
読みやすくて、ページをめくるスピードが落ちない1冊でした。
”パンデミックの恐怖”を想像しやすい今だからこそ、といった部分もあるかも、
ですけどね。
良いのか悪いのか分かりません。
”パンデミック”は小説の世界や映画やドラマの中、だけで楽しみたい、
これが本音です。
ではまた。