中山七里『人面瘡探偵』のあらすじと感想、事件を解決するのは探偵コンビ【でも1人】
中山七里の『人面瘡探偵』、
シャーロック・ホームズとワトソン、
エルキュール・ポワロとアーサー・ヘイスティングス大尉などのコンビを、
1人の探偵に落とし込んだのか?
もしくは、
横溝正史の金田一耕助を2つに割って、
それぞれに人格を持たせて1人の人間として生み出したのか?
よく分かりませんけど、
奇妙な探偵コンビ【1人です】が事件解決に導く物語です。
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中山七里『人面瘡探偵』あらすじと感想
中山七里『人面瘡探偵』
- 一「むかしむかし」7〜
- 二「最初のタヌキは焼け死んで」80〜
- 三「二番目のタヌキは首を吊り」152〜
- 四「三番目のタヌキは流されて」226〜
- 五「どっとはらい」293〜
・人面瘡とは
「人面瘡は、妖怪・奇病の一種。体の一部などに付いた傷が化膿し、人の顔のようなものができ、話をしたり、物を食べたりするとされる架空の病気。薬あるいは毒を食べさせると療治するとされる。」
参照元:wikipedia-人面瘡
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あらすじ
『人面瘡探偵』あらすじ
相続鑑定士の三津木六兵は、
奇妙な自分の肩とバランスを保ちながら生きてきた。
肩に寄生している人面瘡、
ちょっと口は悪いが頭脳明晰な彼を六兵は“ジンさん”と呼び、
ここぞという場面では常に“ジンさん”に頼りきって、
アドバイスを受けつつ、この奇妙な関係性を続けながら、
今まで何とかやってこれていた。
そんなある日、
六兵は信州の山林王:本城家の財産分割協議に相続鑑定士として訪れる。
相続人は、
長男の武一郎、次男の幸次、三男の悦三、そして、
離婚し息子と共に戻ってきた沙夜子の4人。
しかし、家父長制度が色濃く残る本城家では、
遺産を巡る協議はなかなか進んでくれない。
そうこうしているうちに、
本城家の蔵が火事に遭い、
武一郎夫婦の死体が見つかってしまう。
相続人は4人から3人に減り・・・、
さらに、
今度は次男の幸次が水車小屋で無惨な死体となって発見された。
この状況下でただ1人、
テンションが上がっていく人面瘡の“ジンさん”。
「俺にピッタリの展開だ。好きなんだよ、こういう横溝的展開」
六兵と“ジンさん”、
遺産をめぐる骨肉の争い、その隠された真相に、
探偵コンビ【1人】が辿り着く。
〜『人面瘡探偵』〜
おじさんの感想
中山七里の奇妙な探偵シリーズ爆誕、
といった感じでしょうか?
横溝正史の金田一耕助シリーズを思い出しながら読み進めてしまいますけど、
なぜか古臭く感じない物語『人面瘡探偵』。
(私は横溝正史の小説を1冊も読んだことがないので、思い出していたのはドラマや映画の金田一耕助シリーズです)
探偵コンビであることは間違いないんですが、
2人・・・とは言い難いし、
1人の人間・・・とも断言できない、
やっぱり奇妙な探偵モノなんですよね。
コミカルな印象を受ける中山七里版の横溝正史「金田一耕助シリーズ」的な感じです。
いつもながら読みやすく、
サクサクとページをめくるスピードが落ちない、
最後にしっかりと驚きが待っている1冊でした。
シリーズ化されているので、中山七里ファンなら読んでおくべき、ではないでしょうか。
と、
これは物語の内容とは一切関係ない無駄話なんですが、
私が1番好きな横溝正史の物語は「八つ墓村」、
渥美清さんが金田一耕助を演じている1977年の映画です。
この印象があるから、
私の渥美清さんの印象は寅さんだけではなく、
金田一耕助役も印象付けられてしまっていて、
『人面瘡探偵』を読みながら脳内再生してしまっていました。
“渥美清さんの寅さん口調”で喋る「ジンさん」、を。
『人面瘡探偵』を読み進めながら金田一耕助シリーズを思い出す。
金田一耕助を頭の中に思い描くと、石坂浩二さんよりも先に渥美清さんが出てきてしまうので、
そのまま「ジンさん」の口調とリンクさせてしまう。
その口調はなぜか、横溝正史とは一切関係ない寅さん、といった感じで読み進めていました。
この読み方をオススメしている訳ではありませんよ。
私がそうなっていただけですので。
「コミカルな印象にしたのは、自分の頭の中のせいだったのでは・・・」
と思いつつも、楽しめたのは事実。
私の無駄話はどうでも良いので、
気になる方は読み進めて確認してみてください。
シリーズ2作目「人面島」
・中山七里「人面島」(シリーズ第2弾)
・あらすじ
長崎にある仁銘島:通称“人面島”。
隠れキリシタンの財宝伝説があるこの島で、大地主であり村長でもある鴇川行平が急死。
その鴇川家の財産鑑定のために、
相続鑑定士の三津木六兵と“ジンさん”は派遣された。
しかし、
島の漁業組合長、宮司、そして相続人たちの黒い思惑が絡み合い、やがて血生臭い策謀が渦巻き始める。
最初の犠牲者は行平の長男:匠太郎、密室となった祈祷所で遺体となって発見。
「家族間の争いは醜ければ醜いほど、派手なら派手なほど面白い。ああ、ワクワクするなぁ〜」
テンションの上がりきった“ジンさん”と、戸惑いながらも調査を開始した六兵。
“ジンさん”の思惑通り?、今回も一筋縄ではいかない相続鑑定、
しっかりと第二の犠牲者が・・・。
奇妙な探偵コンビが再び、孤島の密室殺人事件に挑む。
最後に
中山七里の奇妙な探偵シリーズ、
その第1弾『人面瘡探偵』を紹介させていただきました。
第2弾がすでに発売されていますので、
完全にシリーズ化されたようですね。
「人面島」を読んでいないからなんとも言えませんけども、
今後もさらに続いていきそうな気配は感じられます。
“金田一耕助シリーズの中山七里版”と捉えるなら、まだまだいけそうですし。
ちなみに、
『人面瘡探偵』が発売されたのは2019年11月、文庫化が2022年2月。
この流れでいくと、
「人面島」が文庫化されるのは約2年3ヶ月後、
2024年5月頃でしょうか?
もう少しだけ早めていただけると助かる、というのが今の気持ちです。
ではまた。