五十嵐貴久が描く豪華客船パニック『波濤の城』、あらすじと感想

豪華客船パニックもの、そんな風に聞くと、

今なら即思いついてしまう「タイタニック」
ディカプリオが海底に落ちていく際、画面のこちら側から手を差し伸べたファンの方もいたのではないでしょうか?
(私はどちらかというと、もっと瓦礫の上に乗せておいてやれよ、と思った側です)

豪華客船パニック=「タイタニック」

こんな風に頭をよぎってしまうのが今ですけど、

ひと昔前、「タイタニック」が映画化される前は、

「ポセイドン・アドベンチャー」
監督ロナルド・ニーム
主演ジーン・ハックマン
1973年に日本で公開された豪華客船パニックものの名作。
こちらの方が有名だったのではないでしょうか。
(1979年に続編である「2」が公開されています。主演はマイケル・ケイン)

そんな「ポセイドン・アドベンチャー」へのオマージュ、
日本の豪華客船を舞台と置き換えたパニックもの、

五十嵐貴久波濤の城

「女性消防士・神谷夏実シリーズ」の第2弾です。

豪華客船パニック『波濤の城』あらすじ

 

波濤の城

 

波濤の城あらすじ

メモリア・オブ・レインボー号
全長300メートル、総トン数6万2千トン。客室数500。
乗客数1500名、乗組員数500名。
11階建てで、フロア総面積約8万平方メートルの豪華巨大クルーズ船。

毎年9月1日、
イルマーレ社が開催している4泊5日の旅、
神戸発博多経由の韓国釜山行きクルーズツアーの名目で、レインボー号は神戸を出発。

巨大台風が九州に接近しているにも関わらず、
計算上、なんとかなるだろうという安易な発想で、航路を進む事に。

そんなレインボー号には、
時間に余裕のある乗客、お金にも余裕のある乗客が多い中、
5日間の休暇を強引に取った銀座第一消防署の消防士
神谷夏実柳雅代の2名が、贅沢な船旅を満喫しようとレインボー号に乗り込んでいた。

レインボー号はなんでも揃っている巨大なビルそのもので、
ラウンジ、バーなどは当たり前、
インターネットルーム、小劇場、書店、CDショップ、レンタルDVD店、
全長25メートルのプール、
様々な飲食店が設置され、4泊5日の旅を楽しむのに十分すぎる設備が整っている豪華客船
夏実と雅代の旅は豪華絢爛な船旅になるはず・・・だった。

レインボー号の船長山野部は、経営難の会社からの命令で、
乗船している政治家:石倉代議士の接待のために、石倉の希望に添うべく種子島に航路を変更していて、
神戸発種子島経由、そして韓国釜山行きと、乗客への説明もしないまま、
会社の利益を1番に考えつつレインボー号を操作していた。

この欲のために、レインボー号は大きな災害を引き起こす事になる。

船底に何かがぶつかったような音、
その後、多数の客室からひどい臭いがするというクレームが相次ぎ、
そして、
巨大台風がまさに直撃

レインボー号は、沈没へのカウントダウンを始める。

消防士である夏実と雅代は、
海上の上にそびえ立つ孤立した巨大ビル:レインボー号からの脱出を試みる事に・・・。

〜『波濤の城』〜

五十嵐貴久の「女性消防士・神谷夏実シリーズ」の第2弾波濤の城
映画「ポセイドン・アドベンチャー」の五十嵐版といった内容になっています。

豪華客船が人為的なミス沈没の危機に瀕し、
その船からなんとか脱出しようと奮闘する女性消防士2名の物語

私はちょっと失敗しまして、
「女性消防士・神谷夏実シリーズ」の第1弾「炎の塔」を読んでいない状況で、
第2弾『波濤の城』を読んでしまいました。
それでも十分に楽しめましたけどね。
(ちなみに、第1弾「炎の塔」は五十嵐版「タワーリング・インフェルノ」だそうです)

 

 

『波濤の城』を読んだ方達の感想

女性の声
女性の声
『波濤の城』の感想

4.5

出だしから不穏な空気を漂わせ一歩ずつゆっくりと、そして確実に恐怖が皆を飲み込んでいきます。
もう、ハラハラドキドキが止まりません!
「命より大切なもの、それは誇り」
今回もカッコよかったです。

 

男性の声
男性の声
『波濤の城』の感想

炎の塔からの波濤の城、シリーズ2作目です。高層タワーと豪華客船、場所は違えど内容、恐怖感はほぼ同じ。
何もかも人間が原因で、人間が解決。
もう、高層タワーにも船にも近寄りたくない・・そんな気持ちでいっぱいです。
そしてこのシリーズもこの2作目でお腹いっぱいになりました・・。

 

女性の声
女性の声
『波濤の城』の感想

ノンストップパニックアクション!面白かったです。
どこを向いて仕事をするのか、問われますね。
消防士は本当に命がけの仕事です。信頼できる仲間がいてこそ、ですね。
あとがきによると、次巻で完結とか。
早く読みたいですね!

 

男性の声
男性の声
『波濤の城』の感想

読み始めたら止まりません。前のめりになって読み進めること間違いなしです。
次々と迫り来る困難にハラハラドキドキ、まさにポセイドン・アドベンチャーでした。
この船長はいけませんね。海の男ではなく、損得勘定に長けたビジネスマン。国会議員の先生のワガママを忖度するあたり、乗船客の命を危険にさらす事になるとは・・・。
3部作という事なので、次回作も楽しみです。

 

おじさんの感想

おじさんの声
おじさんの声
『波濤の城』の感想

 

(海の上という密室感と、人間の愚かさから繰り広げられる豪華客船パニック

7.5

 

「女性消防士・神谷夏実シリーズ」の第1弾「炎の塔」を読んでいないという失敗をしてしまいましたが、
何の問題もなく楽しめた豪華客船パニック『波濤の城
船内がパニックに陥るまでは多少のダルさもありますけど、
海上に孤立してしまった恐怖と、危険を招く人間の愚かさ
そして、「絶対に生き延びる」という消防士たちの確固たる決意
ラストまで読み応えのある物語でした。

 

やはりパニックものの常と言えるのが、

 

人間の愚かさ

 

私利私欲、利を重視してその他を度外視する人間がいると、
傷は深くなるだけ深くなって、絶望的な結末しか生みませんね。
それが組織のトップに君臨しているとなると・・・波濤の城の場合、船長です。

 

自然災害に対する被害を0にするのは不可能ですけど、
被害を最小限に抑える事なら、何とか可能なのではないかと。
それすら0にしてしまいますからね、1人の人間が。

 

読み進めていると、本当に船長山野辺には頭にきてしまいます。

 

しかし、台風という自然災害
それに輪をかけた人為的災害に見舞われたレインボー号からの脱出を試みる消防士たち。
彼女たちが命がけで生き延びようとする様だけは、
山野辺にムカついている気持ちが相まって、
応援しつつ読み進めてしまいますね。
ムカつきますが、山野辺の存在がこの物語を面白くしているのも事実。

 

もし、
「女性消防士・神谷夏実シリーズ」の順番を守りながら読み進めたいなら、
第1弾「炎の塔」から読み進めたほうがよろしいと思います。
私のように、
順番通りじゃなくても豪華客船パニックがすぐ読みたいなら、
波濤の城から読み進めてみても、なんら問題はありません。
夏実と雅代の女性消防士が活躍する様を楽しんでください。

 

 

五十嵐貴久作品のその他おすすめ

 

五十嵐貴久(1961年12月14日〜)は、
東京都出身の小説家、推理作家です。

「女性消防士・神谷夏実シリーズ」以外で個人的なおすすめは、
ホラー・サイコ・サスペンスのおぞましいシリーズもの。
リカシリーズ

No. タイトル 概要
リカ 最恐の女リカ知る
リバース 最恐の女リカ、その原点
リハーサル 最恐の女リカ、その覚醒
リターン 最恐の女リカ永遠に続く狂気
リメンバー 最恐の女リカ記憶

(発売日は順不同、個人的な読む順番のおすすめです)

2003年に幻冬舎文庫から発売された「リカ」で初めて五十嵐貴久作品に触れ、
そこから五十嵐貴久作品が文庫化されれば、常に追いかけている、
そんな状況です。

さすがに今作波濤の城とはジャンルが全く違いますから、
パニックものを読み進めたい方にはちょっと厳しいかも・・・。
ある意味「リカパニック」ではあるんですけど、
後味の悪さ」を伴ったシリーズ、
もし興味があれば読み進めてみてください。これからの寒い季節、もっと冷え込みたいならおすすめです。

 

 

最後に

 

五十嵐貴久の「女性消防士・神谷夏実シリーズ」第2弾、
豪華客船パニック『波濤の城を紹介させて頂きました。

上にも書いたんですが、
私は「女性消防士・神谷夏実シリーズ」第1弾「炎の城」を読んでいない状況で、
この第2弾波濤の城を読み進めてしまいました。

知った時には失敗したと思ったんですけど、
読み終えてみると、そこまで気にしなくても十分に楽しめた作品でしたので、
波濤の城からシリーズを読み進めても全然大丈夫ではないかと。
気になる方は第1弾「炎の塔」から読み進めてみて、
その後波濤の城、そして第3弾「命の砦」へ。

今度は地下街火災パニックものらしいですよ。

ではまた。

 

 

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