「七尾与史」の「ブラックユーモア・ミステリー」を紹介します
「七尾与史」の「小説」には、
妙な魅力があります。
文学だ、哲学だ、なんて、
うるさい言葉を頭から排除して読み進められる、
単純に楽しみたい人向けの「小説」を数多く生み出している作家です。
不思議な話が多いので、受け入れられない方もいると思いますが、
なぜか楽しく読めてしまう「小説」ばかりです。
妙な魅力がある「七尾与史」の「小説」、
今回紹介するのは、
「黒いユーモア・ミステリー」です。
「七尾与史」の「ブラックユーモア・ミステリー」
「殺戮ガール」 七尾与史
年 | 出版元 | 小説 |
2011年12月 | 宝島社 | 殺しも芸の肥やし 殺戮ガール |
2012年5月 | 宝島社文庫 | [改題] 殺戮ガール |
ネタバレをせずに、紹介します。
10年前、遠足で女子高生30名と教員を乗せたバスが、忽然と姿を消しました。
「某国による拉致」、「UFOの仕業」など様々な噂が流れましたが、
手掛かりが全く無いまま、
「平成最大のミステリー」として、現在まで語り継がれている怪事件です。
この怪事件で、姪を失った刑事は独自に操作を続けていました。
そして、10年経ってようやくバスが発見されます。
多数の遺体、多数の鉄パイプ、不自然に頭部が陥没している遺体など、
明らかにおかしな状況で発見されたバス。
しかも、穴を掘ってバスを埋めた形跡もあり、一体誰が何の目的で・・・。
10年でようやく見つかったバス、
多数の遺体と不自然な遺体、鉄パイプの存在、バスをわざわざ埋めた、
それだけでも相当ですが、さらにもう1つ、最大のミステリーが、
「遺体が1人分足りない・・・。」
ここまでだと、ユーモア的要素が全く感じられない内容ですが、
作家は「七尾与史」ですので、
しっかりとこの暗い冒頭部分を「ブラックユーモア・ミステリー」に昇華して、
読者を楽しませる「小説」に仕上げています。
「殺戮ガール」、
タイトルはイカツイですけど、読みやすい「小説」ですから、
是非1度、触れてみてください。
この「小説」を読んだ方達の感想を、少しだけ
・「殺戮ガール」を読んだAさん
サイコパスを描いているのに、サラサラ読み進められます。
どこまで逃げ切れるのか!
続編に期待です!
・「殺戮ガール」を読んだBさん
現実離れしているけど面白かったです。どうなっていくのか、気になって一気に読んでしまいましたね。
本当に生れながらのシリアルキラーっているんでしょうね。
・「殺戮ガール」を読んだCさん
とても読みやすく、面白かったです。
ぶっ飛んだ理由で行われる犯行、足がつかないような用意周到さ、
彼女に振り回される周囲の者たち。
これだけ残虐な罪を犯していながら、子供のような遊び心もあります。
サイコパス的な彼女に旋律を覚えると同時に、他人に心惑わされず、これだけひた向きに自分の夢、快楽を追求できる大胆さに、一種の憧れを覚えてしまいます。
・「殺戮ガール」を読んだおじさん
この「殺戮ガール」は、「死亡フラグ」シリーズよりミステリー色が強いと思います。
ですが、「七尾与史」ワールド全開ですけどね。
主人公は「お笑い芸人」を目指している女の子、
絶対悪なシリアルキラーで猟奇的、「笑い」に対する研究も怠らないけど、
何か問題でも?
といった感じの主人公です。
「殺戮ガール」というぐらいですから、エグい描写もありますが、
主人公がこんな感じの女の子で、読んでいて調子を狂わされるんですけど、
「ブラックユーモア・ミステリー」と頭に入れておけば、ラストまで読み進められる「小説」になっています。
「本格ミステリー」ではなく、あくまで「ブラックユーモア・ミステリー」として、
「殺戮ガール」をオススメします。肩の力を抜いて、暇を潰してください。
「七尾与史」について
「七尾与史」は、第8回「このミステリーがすごい!」大賞で、
「死亡フラグが立ちました!」が最終選考に残りましたが、結局受賞には至りませんでした。
ですが、内容が評価されて2010年7月に隠し玉として同作で作家デビュー。売上24万部を突破しています。
主な「小説」に、
年 | 出版元 | 小説 |
2010年7月 | 宝島社文庫 | 死亡フラグが立ちました! |
2011年2月 | 徳間文庫 | 失踪トロピカル |
2011年8月 | 幻冬舎・文庫 | ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件 |
2012年6月 | ポプラ文庫 | 山手線探偵 まわる各駅停車と消えたチワワの謎 |
2014年9月 | 新潮文庫nex | バリ3探偵 圏内ちゃん |
2012年5月 | 宝島社文庫 | 殺戮ガール |
「死亡フラグ」シリーズ、「ドS刑事」シリーズ、
「山手線探偵」シリーズ、「バリ3探偵」シリーズと、シリーズものがかなりありますので、続編を読み進めていくだけでも、相当な時間を潰せますから、私にとって非常に重宝している作家さんです。いつも助けてもらっています。
改めて表にしてみると、ふざけたタイトルばかりですけど、これが意外と読んだらハマるという「小説」ばかりですので、「七尾与史」の作品を読んだことがない方、
騙されたと思って読んでみてください。
騙されなかった人70%、
騙された人30%
これぐらいの確率になるのではないかと、個人的には思っています。
70%・・・、
言い過ぎたかもしれませんが。
最後に
私は普段、朝の通勤時間中に電車の中で「小説」を読んでいます。
それ以外の時間帯には一切読んでおりません。家で読むことは皆無です。
それがクセになっていると言えばそれまでですが、
1番集中して読めるのが朝なんですよね。
「これから仕事か〜」
憂鬱な時間帯を少しでも楽しめるように、
電車の中で「小説」を読んで気を紛らわしています。現実逃避みたいなもんですね。
そんなイヤな時間帯をいつも助けれくれているのが、
「七尾与史」です。
これからも、
暇で憂鬱な時間帯を助けていただきたい、
こう強く思っています。
ではまた。
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