「道尾秀介」の「本格ミステリー」、父との幸せを願う、息子の物語

2020年2月9日

今回紹介する「小説」は、

今まで紹介したことのない作家の「小説」です。

ホラー小説」でも有名な作家ですが、

今回は「本格ミステリー」です。

 

本格ミステリー」の枠に入っているのでしょうが、
背筋に寒いものが這い上がってくるような感覚を味わうことになる、

道尾秀介」の「小説」を紹介します。

 

「道尾秀介」の「本格ミステリー」

 

シャドウ 道尾秀介

結果
第7回本格ミステリ大賞 大賞
2007年 このミステリーがすごい! 第3位
本格ミステリベスト10 第6位
週刊文春ミステリーベスト10 第10位

道尾秀介」はこの「シャドウ」を、
向日葵の咲かない夏」に寄せられた読者からの言葉へ、作者なりの回答で、同作で伝え切れなかったことを伝えるつもりで執筆された作品です。

 

ネタバレをせずに、紹介します。

 

息子「人は、死んだらどうなるの?」

母親「いなくなるのよ」

息子「いなくなって、どうなるの?」

母親「いなくなって、それだけなの」

そんな会話から3年後、少年の母親は病死しました。

 

少年と父の2人だけの生活が始まって数日後、幼馴染の母親が自殺します。
不思議なことに、その不幸から次々と少年の周りが変化していきます。あまり変わって欲しくない方向へ、次々と。

父とのささやかな幸せを願う少年が、苦悩の果てに、
驚愕の真実に辿り着いてしまう、

家族と精神医学をテーマに、圧倒的なストーリー展開で読者を飲み込んでしまう「小説」です。

少年はただ、父とのささやかな幸せを願っただけなのに

 

シャドウ

道尾秀介」の「本格ミステリー」です。

 

 

 

この「小説」を読んだ方達の感想を、少しだけ

 

「シャドウ」を読んだAさん

道尾秀介さんの作品を、色々読んでると何となくパターンが解った気になっていましたが、
この作品の結末は予想外でした。

パターンが解った気になっていた自分が、少し恥ずかしかったです。

もっと、道尾秀介さんの作品を読もうと思いました。

 

「シャドウ」を読んだBさん

とても感慨深い作品でした。
前作の向日葵同様、小学生の知能が高すぎるだろとかツッコミどころはありますが、
ストーリーは完璧だったのではないでしょうか。
伏線、回収が相変わらず見事で、話に全く無駄がありません。

でも、完璧過ぎてなぜか満点をあげられません。
凝り過ぎなんでしょうか。
でも恐ろしい作家さんです。好みです。

 

「シャドウ」を読んでしまったCさん

文体は読みやすいので嫌いではないですが、心理サスペンス風のストーリーは突出した部分がありません。
あまりに平坦なストーリーなので、最後に大どんでん返しがあるのかと期待して読み進めましたが・・。
読んだことすら速攻で忘れそうです。

 

「シャドウ」を読んだおじさん

ストーリー自体、暗い話が淡々と流れていきますので、
どんよりした気持ちになりたくない方は、読むのを控えた方がいいと思います。

少年が自分の周りで起こる出来事を受けて、
苦悩して葛藤して、日常が歪んでいく様子を、淡々と「道尾秀介」が描いた「小説」です。
私は背筋がゾクッとさせられましたし、
グイグイとラストまで、引っ張られてしまいました。

道尾秀介」の「小説」を読んだ事が無い方、
1発目に読むのが「シャドウ」というのも、正直、どうかと思いますが、
1度、「道尾秀介」の「小説」に触れてみて欲しい、
そう思っています。

道尾秀介」の「シャドウ
読む「小説」に悩むようなことがあったら、選択肢の1つとして、
頭に入れておいて頂けると嬉しいです。

 

 

 

道尾秀介について

 

道尾秀介(1975年5月19日〜)」は、兵庫県芦屋市生まれの、小説家・推理作家です。
17歳の時に、当時付き合っていた彼女の影響で小説を読み始めて、19歳で作家になろうと決意、
大学1年で小説を書き始めました。

手首から先」という短編集が2002年第9回ホラー小説大賞短編集候補となっていますが、
デビュー作として知られるのは「背の眼」、
2004年第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞している作品です。

 

道尾秀介」は直木賞も受賞しています。直木賞候補になった「小説」を表にしてみると、

小説 結果
第140回直木賞 カラスの親指 候補
第141回直木賞 鬼の跫音 候補
第142回直木賞 球体の蛇 候補
第143回直木賞 光媒の花 候補
第144回直木賞 月と蟹 受賞

狙っているかのように、連続して候補となって、
月と蟹」で第144回直木賞受賞しています。
5回連続で直木賞の候補になったのは、戦後最多記録だそうです。

カラスの親指」は第62回日本推理作家協会賞を受賞
光媒の花」は第23回山本周五郎賞を受賞

この他の「小説」も、ミステリーランキングなどで評価を受けている作品が多く、
「ホラー小説」、「ミステリー小説」、
両方の作風で知られている、有名な作家さんです。

1番有名な作品は、
向日葵の咲かない夏」で、2009年に新潮文庫版が年間83万部、その後も売上を伸ばし続けて、
2011年に100万部を超えるベストセラーになっています。
読者から、「物語が陰惨」、「登場人物が可哀想すぎる」と評されるぐらいの「ホラーミステリー小説」です。

道尾秀介」の文庫化されている「小説」はほとんど読んでおりますが、
明るく楽しく読み進められる「小説」はあまりありません。「真備シリーズ」とその他数冊は万人に勧めても大丈夫だと思いますけど、私が読んだことのある「小説」ではそれぐらいですね。

道尾秀介」の世界観を受け付けない方は多いかも、
なんて思ってしまう作家さんです。私は好きなんですけどね。

興味が湧いてしまった方だけ、「シャドウ」を読んでみてください。
楽しめるか・も・?

 

第162回直木賞に関する記事です

 

▶︎▶︎第162回芥川賞・直木賞の候補作が決定!10人中7人が初候補

 

最後に

 

道尾秀介」の「小説」を初めて紹介しました。

今になって、なぜ、

向日葵の咲かない夏」を紹介しなかったのかと、少し反省しております。

勢いで書き始めて、色々調べながら書いている時に、
「あっ!」

そんな感じでした。時すでに遅し、でしたね。

 

いつかまた、「道尾秀介」の「小説」を紹介したいと思います。

今度は反省しないようにキッチリと。

 

ではまた。

 

 

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