伊坂幸太郎『フーガはユーガ』あらすじ/感想、文庫で読む双子の兄弟の物語
2021年10月15日に発売された、
伊坂幸太郎の文庫化最新作『フーガはユーガ』。
伊坂幸太郎『フーガはユーガ』
✅ 双子の兄弟が繰り広げる、不思議で切ない「闘いと再生」の物語
✅ 2019年「本屋大賞」ノミネート作品
✅ 読後、なんだか分かりませんが「ニヤリ」と暖かい気持ちに
伊坂幸太郎の描く物語に、裏切られた事が1度も無いので、
今回も安心しきって文庫を手に取りました。
そして、今回も間違いなかった。
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伊坂幸太郎『フーガはユーガ』あらすじ/感想
『フーガはユーガ』伊坂幸太郎
- 大賞「そして、バトンは渡された」:瀬尾まいこ
- 2位「ひと」:小野寺史宜
- 3位「ベルリンは晴れているか」:深緑野分
- 4位「熱帯」:森見登美彦
- 5位「ある男」:平野啓一郎
- 6位「さざなみのよる」:木皿泉
- 7位「愛なき世界」:三浦しをん
- 8位「ひとつむぎの手」:知念実希人
- 9位「火のないところに煙は」:芹沢央
- 10位『フーガはユーガ』:伊坂幸太郎
新刊書の書店で働く書店員さんたちが、
”面白かった”、”お客様にも薦めたい”、”自分の店でも売りたい”と思った本を選び投票する、
「本屋大賞」。
2019年の10位に選ばれたのが、
伊坂幸太郎の『フーガはユーガ』。
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あらすじ
『フーガはユーガ』あらすじ
”僕たちは双子で、僕たちは不運で、
だけど僕たちは、手強い”
仙台市内のファミリーレストランで向かい合う2人の若い男。
1人はテレビディレクターの高杉という男。
もう1人は、常盤優我という青年。
優我は淡々と語り始める。
「僕には双子の弟:風我という兄弟がいて、2人でなんとか生きてきました」
「暴力を振るう父親と、何もしてくれなかった母親の元で育ちました」
「僕たちは小学生時代、僕たちに備わっているある不思議な能力に気付いんたんです」
優我が語ったある不思議な能力”アレ”。
”アレ”は毎年、誕生日の1日だけ、
午前10時10分から2時間ごとに双子の兄弟:風我と優我の体に起こる、
不思議な現象。
その”アレ”を駆使して、
様々な困難に立ち向かってきたと話す優我。
どうしても信じきれずに半信半疑な高杉。
しかし、やがて、
高杉は最悪の状態で”アレ”を体験する事に、
何が起きたのか信じられないまま・・・。
”僕たちは双子で、僕たちは不運で、
だけど僕たちは、手強い”
〜『フーガはユーガ』〜
おじさんの感想
「AX アックス」「ホワイトラビット」以来、
久しぶりに読んだ伊坂幸太郎の最新作(文庫ですけど)、
『フーガはユーガ』。
タイトルだけだと、
一体何が書いてあるのか全く想像できませんが、
読み進めて即、「風我は優我」とタイトルを変換できて、なるほどと思えてしまいました。
そして、「風我は優我」だけを描いているわけではないと、
読後にさらに気付かされ、結局、
良いタイトルだな〜、
なんて気持ちに。
文庫に付いている”初回限定しおり”にですね、
「Whoが?」「Youが」
という文がタイトルと一緒に表示されているんです。
『フーガはユーガ』は、
「風我は優我」であり 「風我=優我」、
「Whoが?Youが」なんだなと妙に納得、気持ちの良い読後感を提供していただきました。
ある場面で「ただ、見ることはできた」という1文に、
少し涙腺が緩む感覚を感じながら、少し寂しくなり・・・。
おじさんがラストの1文で「ニヤリ」とする姿は気持ち悪い、
重々承知しておりますけど、抑えきれなかった不思議な安心感。
ちょっと泣きそうになって少し寂しく、読み終えた時に感じる安心感、
そして、満足感。
今回も大変楽しませてもらった伊坂幸太郎の小説、
『フーガはユーガ』。
一気読みしてしまうでしょうから、ご注意を。
(ちなみに、私が購入したのは青バージョン)
伊坂幸太郎の受賞歴
伊坂幸太郎(1971年5月25日〜)は、
千葉県松戸市出身の小説家です。
主な受賞歴は、
- 2020年:第33回柴田錬三郎賞
⇨「逆ソクラテス」 - 2017年:第6回静岡書店大賞 小説部門
⇨「AX アックス」 - 2014年:第7回大学読書大賞
⇨「マリアビートル」 - 2008年:第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞
⇨「ゴールデンスランバー」 - 2004年:第57回日本推理作家協会賞 短編部門
⇨「死神の精度」 - 2004年:第25回吉川英治文学新人賞
⇨「アヒルと鴨のコインロッカー」 - 2000年:第5回新潮ミステリー倶楽部賞
⇨「オーデュボンの祈り」 - 1996年:第13回サントリーミステリー大賞佳作
⇨「悪党たちが目にしみる」
⇨大幅改訂後に「陽気なギャングが地球を回す」として祥伝社から出版
受賞しているから面白い、受賞していないから面白くない、
ということは一切ございません。関係ないですね。一応、情報として。
一応ついでに、歴代の本屋大賞だと、
- 2021年:本屋大賞4位:得点248.0点
⇨「逆ソクラテス」 - 2019年:本屋大賞10位:得点136.5点
⇨『フーガはユーガ』 - 2018年:本屋大賞5位:得点221.5点
⇨「AX アックス」 - 2015年:本屋大賞8位:得点155.0点
⇨「キャプテンサンダーボルト」 - 2015年:本屋大賞9位:得点131.0点
⇨「アイネクライネナハトムジーク」 - 2009年:本屋大賞10位:得点135点
⇨「モダンタイムス」 - 2008年:本屋大賞 大賞:得点509.5点
⇨「ゴールデンスランバー」 - 2007年:本屋大賞4位:得点228点
⇨「終末のフール」 - 2006年:本屋大賞3位:得点190点
⇨「死神の精度」 - 2006年:本屋大賞10位:得点103点
⇨「魔王」 - 2005年:本屋大賞5位:得点155点
⇨「チルドレン」 - 2004年:本屋大賞3位:得点111点
⇨「アヒルと鴨のコインロッカー」 - 2004年:本屋大賞5位:得点99点
⇨「重力ピエロ」
これから伊坂幸太郎の小説を初めて読み進めるというなら、
この本屋大賞を遡って読み進めるのも、1つの手ではないかと思います。
悩まずに済みますからね。
ほとんど文庫化されていますし、低額で楽しめますよ。
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最後に
伊坂幸太郎の文庫化最新作、
『フーガはユーガ』を紹介させていただきました。
ファンタジー系のあり得ない話、かもしれませんけど、
なぜか、”双子ならあり得るのかも”、
なんて気にさせてくれる不思議な物語でした。
間違いのない読後感を味わえる1冊だと思いますよ。
伊坂幸太郎のファンなら既に読んでいるでしょうけど、
ファンじゃない方にもおすすめしたい物語『フーガはユーガ』。
是非1度。
ではまた。