海堂尊『氷獄』のあらすじと感想、バチスタシリーズのスピンオフ的短編集
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「チーム・バチスタの栄光」で、
第4回「このミステリーがすごい!」大賞の大賞を受賞、
作家デビューした海堂尊。
(受賞時のタイトルは「チーム・バチスタの崩壊」)
その海堂尊が生み出したバチスタシリーズのスピンオフ的な短編集、
『氷獄』を紹介させていただきます。
『氷獄』
✅ 4つの物語で構成されている短編集
✅ シリーズファンなら、懐かしい気持ちが込み上げてくる登場人物多数
✅ ニヤついて読み進める可能性があるので、ご注意
バチスタシリーズのスピンオフ的、
桜宮サーガのスピンオフ的というのか分かりませんけど、
久しぶりに読んだ海堂尊の『氷獄』はとにかく、飽きずにラストまで一気にいけますね。
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海堂尊『氷獄』のあらすじと感想
『氷獄』海堂尊
- 「双生」1994年 春
⇨5〜33ページ - 「星宿」2007年 冬
⇨35〜77ページ - 「黎明」2012年 春
⇨79〜133ページ - 「氷獄」2008年〜2019年
⇨135〜301ページ
4つ目のエピソード「氷獄」は少し長いですが、
構成はこのような形になっています。
どのエピソードにも懐かしい登場人物が出てきますので、
ラストまで楽しめる短編集だと思いますよ。
少し内容を紹介します。
あらすじ
「双生」1994年 春
- 主な登場人物
⇨桜宮小百合(碧翠院院長:巌雄の娘、すみれの双子の姉、東城大で研修中)
⇨桜宮すみれ(小百合の双子の妹、東城大で研修中)
⇨田口公平(不定愁訴外来責任者、愚痴外来の”グッチー”) - 簡単なあらすじ
・研修生の2人、双子の姉妹医師と共に患者に向き合っていた田口公平。
桜宮小百合、すみれの双子姉妹医師の指導医を押し付けられた感は否めない。研修期間は6ヶ月。
研修期間中に何もなければ御の字、だが、のちに「爆弾娘」の異名を付けられるすみれ、
無風ではいられない。
「星宿」2007年 冬
- 主な登場人物
⇨如月翔子(オレンジ新棟2階小児病棟の主任)
⇨猫田麻里(オレンジ新棟1階2階の師長を兼任、”眠り猫”なのに”千里眼”)
⇨城崎(一昔前は水落冴子のマネージャー、今は便利屋として活動中)
⇨村本亮(小児病棟に入院している中学生、髄膜腫を患っている)
⇨田口公平、白鳥圭輔、高階権太(3羽ガラスそろい踏み)
⇨そして、もう1人・・・ - 簡単なあらすじ
・小児病棟に入院、手術に踏み切れない中学生:亮が、七夕の短冊に書いた願い「南十字星を見たい」。
この願いを叶え、なんとか手術に前向きになって欲しい、そんな想いで病棟主任の如月翔子は、数々の人間を巻き込んでいく。
便利屋の城崎、猫田師長、さらに田口を巻き込んだことで、白鳥と高階院長までも・・・。
「南十字星を見たい」と願った亮、なんとかすると走り続ける翔子。
- 主な登場人物
⇨千草(ステージⅣの膵臓癌が発覚、回復は見込めない状態、ホスピス棟に入所)
⇨章雄(千草の夫、妻の状況をなかなか受け入れられず、治療を、と願っている)
⇨田口公平(千草の主治医)
⇨黒沼(ホスピス棟の看護師長、ホスピス棟は治療をする場所ではないという信念の持ち主)
⇨若月(ホスピス棟の看護師)
⇨山岡(ホスピス棟に入所している老婦人、子宮癌の末期と診断されている)
⇨高階権太(東城大学医学部付属病院院長、”腹黒ダヌキ”と呼ばれている) - 簡単なあらすじ
・ホスピス棟に入所することになった、膵臓癌末期の千草。
夫の章雄は、なんとか治療をしてやりたいと思っているが、ホスピス棟の看護師長黒沼はその考え自体を否定。
”ホスピスというのは、死を迎える覚悟を作る場所”だと。
それでも諦めきれない章雄は、ホスピス棟に入所している山岡から、若月看護師にたどり着き、千草の体のためにと動き出す。
- 主な登場人物
⇨氷室貢一郎(東京拘置所に収監されている未決囚、弁護人を拒否している)
⇨日高正義(2008年、氷室の国選弁護人になろうと奮闘した弁護士、極度のへそ曲がり)
⇨鹿野(鹿野法律事務所の弁護士、日高を所属させる)
⇨久馬久(久馬法律事務所の代表、”冤罪被害者を救う会”の会頭)
⇨久馬篤子(久の妻であり弁護士、氷室に国選弁護人を断られた経緯の持ち主)
⇨別宮葉子(桜宮市を本拠地とした時風新報という地方紙の女性記者)
⇨田口公平(不定愁訴外来の責任者、バチスタ事件と深い関わりがある”グッチー”)
⇨藤原真琴(不定愁訴外来唯一のベテラン看護師、”影の実力者”と噂される)
⇨白鳥圭輔(”ロジカル・モンスター”、”火喰い鳥”などと呼ばれる厚生労働省の問題児)
⇨斑鳩芳生(”サイレント・マッドドック”の異名を持つ警視正)
⇨彦根新吾(銀縁眼鏡の”医療界のスカラムーシュ”) - 簡単なあらすじ
・2008年、バチスタ事件で東京拘置所に収監されている氷室。
国選弁護人をことごとく断っていたが、日高正義を面白いと感じ、国選弁護人として迎え入れた。
氷室には、生き永らえる気がサラサラ無い。
しかし、氷室の国選弁護人となった日高には、許せない事実が存在していた。
様々な人物と出会い、様々な事実を知った日高。
隠蔽体質の検察側を相手に、氷室と日高のバチスタ裁判が始まる。
そして、判決・・・。
おじさんの感想
![おじさんの声](https://savicevicjenio.com/wp-content/uploads/2019/02/IMG_0209-264x300.jpg)
![おじさんの声](https://savicevicjenio.com/wp-content/uploads/2019/02/IMG_0209-264x300.jpg)
久しぶりに読んだ海堂尊の小説。
異様に懐かしい気持ちにさせられる短編集『氷獄』。
1つ1つの物語、中心となっている話に軽いものは1つもないんですけど、
なぜかニヤニヤしながら読み進めてしまう、
そんな短編集となっています。
田口・白鳥コンビが登場しただけでもテンションが上がるように、
私たちファンは躾けられてしまっております。
それなのに、あれだけ懐かしいメンツが次々出てきてしまうと・・・。
お得感が半端ない小説といった感じですね。
個人的に絶対読んで欲しい短編は「星宿」。
私が”眠り猫”こと猫田師長のファンということもありますが、
ずっとウキウキ・ニヤニヤしながら読み進めてしまいました。軽い話ではないんですけど。
そしてもう1人、「星宿」に登場する人物に、
少し涙腺が緩む感じも。
「氷獄」での彦根登場もテンションの上がるシーンでしたが、
私は断然「星宿」の彼が1番。
便利屋メンバーとして登場する彼の役割の中で、今回のそれが最高でした。
ですが、色々な意見があると思います。
様々なファンがいて、様々な読み方をするのが当たり前ですから、
どれが1番とか、この短編が最高というのは、
完全な主観です。
短編じゃなくて長編が読みたかったというファンもいるでしょうし。
次の長編へ向けてのアイドリング、
というと怒られてしまうかもしれませんけど、間違いなくファンなら読んでおくべき短編集ではないかと。
海堂尊『氷獄』、
次作を待つ間に読み進めておく最高の1冊です。
『氷獄』を読む前に少しだけ
海堂尊の『氷獄』、
いきなりここから読む人はいないと思います。
ほとんどの人が、バチスタシリーズ、桜宮サーガと呼ばれる作品群をほぼ読んだ状態で、
この『氷獄』を読み進めているはずです。
読む前、ではなく読みながらでも良いんですけど、
少し思い出しておくと、さらに楽しめると思いますから、
少し紹介させていただきます。
(主観ですよ)
少し思い出しておくと | wikiページ |
バチスタ・スキャンダルとは? | 「チーム・バチスタの栄光」 |
オレンジ新棟関連 如月、猫田、入院患者の子供達 |
「ナイチンゲールの沈黙」 |
「ジェネラルルージュの凱旋」 | |
双子の姉妹医師 | 「螺鈿迷宮」 |
彦根新吾・斑鳩芳生 | 「イノセント・ゲリラの祝祭」 |
別に、物語の内容を思い出して欲しいという訳ではなくて、
ただ単に、登場人物たちがどのような人間なのか、
それだけを軽く読んでおけば、『氷獄』でさらに懐かしい気持ちになれるのでは、
と思っています。
wikiの登場人物欄をサラッと確認しておくと、
バチスタシリーズ、桜宮サーガのファンならパッと思い出せますから、
おすすめです。
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最後に
久しぶりに読んだ海堂尊の小説、
異様に懐かしい気持ちになる短編集『氷獄』を紹介させていただきました。
今作、田口・白鳥は脇役です。
存在感は異常ですけど、脇役。
その他の懐かしい人物も、
主役はいますが、ほぼ脇を固める存在として登場します。
脇役なのにあの存在感・・・、
ここら辺がバチスタシリーズ、桜宮サーガの強みでしょうね。
誰が登場してもファンのテンションが上がってしまいますから。
そして、
2020年7月に新作「コロナの黙示録」が発売、
桜宮市に新型コロナが襲来し、田口・白鳥コンビと、
”北の将軍:速水”が参戦する物語ですって・・・、早く文庫化してください!!
と、ムカつくぐらい期待感を煽られた状態で終わります。
ではまた。