映画『シチリアーノ 裏切りの美学』、巨大マフィアを裏切った男の実話【8月28日から】
今はまだ、コロナがなんとも言い難い状況。
少しずつ回復傾向にあると信じたい、
そんな現状ではございますが、映画の公開予定は着々と復活の兆しを見せています。
そんな中、妙に気になる映画がありましたので、
紹介させて頂きます。
日本で大々的に公開されるような大作ではないし、
あまり引きの強い内容とは言えませんけど、
この映画の基になった実話を調べてみると、起こった事実は凄まじいものがありましたから、
ある意味、もの凄い作品ではないかと。
『シチリアーノ 裏切りの美学』、
イタリアで実際に起きたマフィア関連のお話です。
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映画『シチリアーノ 裏切りの美学』あらすじ
『シチリアーノ 裏切りの美学』
コーザ・ノストラに忠誠を誓った男がなぜ政府に寝返ったのか?映画『シチリアーノ 裏切りの美学』予告編
監督 | マルコ・ベロッキオ |
出演(役名) | ピエルフランチェスコ・ファビアーノ(トンマーゾ・ブシェッタ) |
マリア・フェルナンダ・カンディド(クリスティーナ・ブシェッタ) | |
ファブリツィオ・フェラカーネ(ジョゼッぺ・”ピッポ”・カロ) | |
ルイジ・ロ・カーショ(サルヴァトーレ・”トトゥッチョ”・コントルノ) | |
ファウスト・ルッソ・アレシ(ジョヴァンニ・ファルコーネ) | |
ニコラ・カリ(サルヴァトーレ・”トト”・リイナ) | |
ジョバンニ・カルカーニョ(ガエターノ・バダラメンティ) | |
日本公開 | 2020年8月28日 |
『シチリアーノ 裏切りの美学』
☆2019年カンヌ国際映画祭正式出品作品
☆2020年アカデミー賞国際映画賞伊代表
☆2020年伊アカデミー賞最多6部門受賞
2020年8月28日(金)より、
ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ他、全国で順次公開。
『シチリアーノ 裏切りの美学』あらすじ
1980年代初頭、
イタリア・シチリアではマフィア間の抗争が激化の一途をたどっていた。
パレルモ派の大物トンマーゾ・ブシェッタは、
抗争の仲裁に失敗しブラジルへ逃亡することに。ブシェッタがブラジルで逃亡生活を送っている最中、
シチリアでは、コルレオーネ派の報復により次々と家族や仲間たちが殺害されてしまう。ブラジルで逮捕されたブシェッタはイタリアに引き渡され、
マフィア撲滅に生涯を捧げていたファルコーネ判事から、捜査への協力を要請される。麻薬と殺人が渦巻いていたイタリア犯罪組織「コーザ・ノストラ」に失望していたブシェッタは、
組織の犯罪を告白することを決意する。しかしそれは、
「コーザ・ノストラ」の絶対的な”血の掟”に反する行為。
裏切り者になり、マフィア全体の敵となったブシェッタが、
証言台の前へ・・・。〜『シチリアーノ 裏切りの美学』〜
イタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ81歳の最高傑作と評されている作品です。
イタリア、マフィアとくれば「ゴッドファーザー」を思い出してしまいますが、
「ゴッドファーザー」はフィクション(モデルとなった人物はいるのでは!?、ぐらいですね)。
あらすじにも書いたコルレオーネというのは地名です。
コルレオーネ出身のマフィアを総称して、コルレオーネ派と読んでいるようです。
「ゴッドファーザー」に出てくるコルレオーネファミリーは架空の人物。
今作『シチリアーノ 裏切りの美学』はほぼノンフィクション、
実話を基に製作された映画となっています。
主人公トンマーゾ・ブシェッタも実在した人物ですよ。
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巨大組織を敵にまわした男:トンマーゾ・ブシェッタについて
トンマーゾ・ブシェッタ(1928年7月13日〜2000年4月2日)。
「ブシェッタの簡単な年表」
年 | トンマーゾ・ブシェッタ |
1928年 | イタリア・パレルモに生まれる。17歳で結婚。 その後、マフィア組織の一員となる。 |
1949年 | 妻と2人の子供を連れてアルゼンチンへ移住。3番目の息子が生まれる。 1950年にブラジルへ移る。 |
1952年 | イタリアへ帰国、 ラ・バルベーラ・ファミリーの一員として本格的にマフィア活動開始。 |
1958年 | ローマでタバコの密売と犯罪関与の罪で初逮捕。 その後も、麻薬密売、武器不法所持、強盗、恐喝、殺人、死体遺棄などで逮捕されるが、証拠不十分で釈放。 |
1960年代 | 第1次マフィア戦争が勃発。 ラ・バルベーラ・ファミリーを裏切り、半目していたグレコ・ファミリーに加担し勝利。 その後、警察が本格的にマフィア弾圧に乗り出し、150人以上が逮捕され、ブシェッタにも逮捕状が出たが、妻を捨て愛人とアメリカへ逃亡。 |
1965年 | アメリカに渡ったブシェッタは、表向きはピザ屋、裏では麻薬取引をしていたと言われている。 密入国がバレて国外追放、再びブラジルへ。 |
1971年 | 不法入国でブラジルのリオデジャネイロへ。20歳のクリスティーナと出会い結婚。この頃はトンマーゾ・ロベルト・フェリーチェという偽名を使っていた。 イタリア、カナダ、アメリカへ頻繁に出入国し、麻薬取引を行なっていたと言われている。 |
1972年 | イタリアへの麻薬密輸で逮捕され、8年の刑を宣告されるが、ブラジルからイタリアへ身柄を引き渡される。 イタリアで8年間服役。 |
1980年 | 仮釈放されるも、刑務所には戻らずに逃亡。 この頃に、麻薬取引をめぐり2つの組織が険悪となっていた。 |
1981年 | 第2次マフィア戦争が勃発。 2つの組織の仲裁に立とうとしたブシェッタだったが失敗。 1981年に再度ブラジルへ逃亡。 ブラジルにいる間に、知り合いのマフィアがこぞって殺され、反撃の計画を練っていた。 しかし、計画が察知され1982年、 息子2人が誘拐、兄などの肉親が殺されるという事件が続き、計画を断念。 |
1983年 | ブラジルのサンパウロで麻薬の国際取引で逮捕。 刑務所内で息子2人が殺されたことを知る。 |
1984年 | イタリア政府に身柄を引き渡され、犯罪組織について、 ジョヴァンニ・ファルコーネ判事に告白。 起訴457人、有罪360人という歴史的大裁判が始まる。 |
2000年 | 裁判後、4年の実刑を受け服役したブシェッタは、 麻薬密輸の証人としてアメリカに貸し出され、マフィアの報復を回避するために整形手術などをしながら逃げ続け、 2000年に病死。 |
参照元:wikipediaートンマーゾ・ブシェッタ |
もっと細かい情報はwikiに載っていますので、
知りたい方は上のリンクから飛んでみてください。
こうして読んでみると、
波乱万丈の人生を歩んだのはハッキリとしておりますけど、
決して真っ当な人間とは言えません。普通に犯罪を重ねていた方ですし、
麻薬取引にも普通に加担していますからね。
(ブシェッタ自身は、麻薬を扱ったことは1度もないと否定しています)
ただ、ブシェッタを突き動かしたのは、
2人の息子が殺された事実と、「コーザ・ノストラ」が変わってしまった現実、
この2点のみだったのかも・・・。
「コーザ・ノストラ」を敵に回すほど、ブシェッタを突き動かした何か、
『シチリアーノ 裏切りの美学』で知ることができそうですね。
イタリアの巨大マフィア「コーザ・ノストラ」について
「コーザ・ノストラ」または「コーサ・ノストラ(La Cosa Nostra)」。
イタリア語で「我らのもの」を意味する言葉です。
秘密結社的犯罪集団。
正確には「マフィア」と「コーザ・ノストラ」は区別されるようですが、
一般的に「マフィア」として総称されています。
ボスを頂点としてピラミッド型の構造を持ち、忠誠心と暴力による恐怖支配で組織を維持。
秘密結社でもありますから、
組織について何も喋るな!という”血の掟”が存在しています。
1. 新規入会者は人気の無い場所へ呼び出される。
2. そこには3人のマフィアがおり、入会の意思を確認される。
3. 同意すると、沈黙の掟などの「名誉ある男」として守るべき掟が伝えられる。
4. 次に、どちらの手で銃を持つかと尋ねられる。
5. 差し出した手の指にピンを刺し、聖母マリアが描かれた紙に指先から出た血をつける。
6. その後、その紙を両手で包むように持ち、その紙に火がつけられる。
7. そして紙を持ったまま、
「私が誓いを破る事があれば聖人の貴方のように我が身も燃え尽きる」と唱え誓いを立てる。
このような儀式を終えて初めて、「名誉ある男達」の正式な一員となる。
参照元:wikipedia-コーサ・ノストラ
これだけの厳格な儀式を通らないと、正式な一員になれない「コーザ・ノストラ」。
なのにブシェッタは、この絶対的な”血の掟”を反故にします。
命がけで。
これは余談ですけど、
この「コーザ・ノストラ」には、
最高幹部”ラッキー”チャールズ・ルチアーノ(1897年11月24日〜1962年1月26日)、
幹部ヴィト・ジェノヴェーゼ(1897年11月2日〜1969年2月14日)などが名を連ねています。
この2人は映画「ゴッドファーザー」のモデルとなったと言われている人物です。
マーロン・ブランド扮するヴィトー・コルレオーネを形成したモデル。
(他にも複数人がモデルとなったとされています)
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判事ジョヴァンニ・ファルコーネについて
ジョヴァンニ・ファルコーネ(1939年5月18日〜1992年5月23日)は、
イタリアの裁判官です。
マフィア撲滅運動に生涯を捧げた方。
・1984年、マフィアに関する情報提供者となったブシェッタを事情聴取。
・1986年2月、パレルモで裁判が開廷。
・1987年12月、裁判が結審し、456人の被告のうち342人が有罪判決。
その後もマフィアの取り締まりを精力的に行なったファルコーネは、マフィアから恨まれる存在に。
・1989年、ファルコーネを狙った爆弾テロ未遂事件が発生。
そして、
・1992年6月22日、
パレルモ市街へ向かう高速道路を妻と車で移動、護衛車2台がついた計3台の車列が走行していた。
その車列がある地点に到達した時、高速道路の下を通る排水溝に仕掛けられていたTNT爆弾500kgが、リモートコントロールにより爆発。
車は3台とも大破、護衛していた3人の警察官、ファルコーネと妻、計5名が死亡。負傷者23名。
ファルコーネは暗殺されました。
参照元:wikipedia-ジョヴァンニ・ファルコーネ
マフィアと戦い続けたファルコーネは暗殺されてしまいます。
のちの証言で、18人のマフィア構成員によって計画された犯行だと・・・。
警官もろともですから、いかに残虐的な行為を犯したのか、一目瞭然ですね。
ブシェッタが命をかけて裏切った組織、関わった全ての人が命がけです。
『シチリアーノ 裏切りの美学』の予告動画を観てみると、
暗殺場面ではないかというシーンが存在していました(違うかもしれません)。
ファルコーネが亡くなったのは1992年、ブシェッタが亡くなったのは2000年ですから、
ブシェッタの歩んだ2000年までを描いているのかなと(想像です)。
実話を基に作られている映画、確実に重たい作品だとは思いますが、
見応えは十分にあるはずです。
『シチリアーノ 裏切りの美学』、
2020年8月28日から日本で公開予定となっています。
最後に
実際にイタリアで起こったマフィア関連の事件を基に作られた作品、
巨匠マルコ・ベロッキオ監督作、
『シチリアーノ 裏切りの美学』を紹介させて頂きました。
紹介しておいてすいませんが、
私はマルコ・ベロッキオを全く知りません。調べたんですけど、知っている作品は皆無。
『シチリアーノ 裏切りの美学』の記事を見つけて、予告動画を視聴、
ストーリーが凄そうでしたから、登場人物を調べて、
凄い話だなと改めて記事にした、
そんな感じなんですよね。
「ゴッドファーザー」好きのおじさんですので、
イタリア、マフィアのキーワードだとついつい興味が湧いてしまいます。
私の地元の映画館で公開されるかどうかは分かりません。
もし機会が合えば、観られる環境が整っていれば是非、映画館で視聴したい作品です。
『シチリアーノ 裏切りの美学』は、
2020年8月28日から、ヒューマントラストシネマ有楽町、
新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ他で、順次公開予定となっています。
ではまた。
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