”胸糞映画”『冷たい熱帯魚』を観た後、急に気付いた「セブン」の凄さ
![](https://savicevicjenio.com/wp-content/uploads/2021/07/a-3953806_640.jpg)
”胸糞映画”、”後味の悪い映画”などと検索をすると、
必ずヒットする日本映画、
園子温監督作『冷たい熱帯魚』。
いつか観ようと思いつつ、先延ばしにしていましたが、
先日、ようやく初視聴しました。
『冷たい熱帯魚』
✔︎ 日本で超有名な”胸糞映画”の代表格
✔︎ 物語のベースは実際に起きた事件
✔︎ グロさが半端ない『冷たい熱帯魚』を視聴後、急に気付いた「セブン」の凄さ
物語の内容や、
視覚から飛び込んでくるグロによって、超が付くインパクトを残す”胸糞映画”、
『冷たい熱帯魚』。
その視聴後に、
急に「セブン」の凄さを再確認してしまいましたので、
ちょっと紹介させていただきます。
スポンサーリンク
”胸糞映画”『冷たい熱帯魚』あらすじと感想
『冷たい熱帯魚』
『冷たい熱帯魚』英語字幕付きトレイラー
・監督
園子温
・脚本
園子温、高橋ヨシキ
・キャスト(役名)
でんでん
(村田幸雄/大型熱帯魚店「アマゾンゴールド」の店長)
黒沢あすか
(村田愛子/幸雄の妻)
吹越満
(社本信行/熱帯魚店「社本熱帯魚店」の店長)
神楽坂恵
(社本妙子/信行の再婚相手)
梶原ひかり
(社本美津子/信行の長女)
渡辺哲
(筒井高康/幸雄の顧問弁護士)
・2011年1月29日公開
・『冷たい熱帯魚』は、実際に起きた事件がベースになっている
✔︎ 「埼玉愛犬家連続殺人事件」
1993年、埼玉県越谷市周辺で発生した殺人事件。
マスコミ報道が先行し、被害者の映像が連日映し出された上、
完全犯罪を目論んだ残忍な結末が明らかになるなど、異常性の高い事件だった
史実を描いているわけではなくて、
あくまでも「実際に起きた事件をベースにした」映画『冷たい熱帯魚』。
ただですね、
「埼玉愛犬家連続殺人事件」のページを読んでみると、
まぁまぁ一致する部分がありまして・・・。
「ボディを透明にする」
これ、実話です・・・。
スポンサーリンク
映画賞
『冷たい熱帯魚』を視聴した後、
wikiで調べてみたら、日本の映画賞を結構な数、受賞していました。
視聴後だったから驚きましたね。
あのグロさを・・・。
『冷たい熱帯魚』の映画賞
・「第35回日本アカデミー賞」
⇨最優秀助演男優賞 受賞(でんでん)
・「第36回報知映画賞」
⇨監督賞 受賞(園子温)
⇨最優秀男優賞 受賞(でんでん)
・「第54回ブルーリボン賞」
⇨作品賞 受賞(『冷たい熱帯魚』)
・「第21回東京スポーツ映画大賞」
⇨作品賞 受賞(『冷たい熱帯魚』)
⇨監督賞 受賞(園子温)
⇨助演男優賞 受賞(でんでん)
・「第66回毎日映画コンクール」
⇨男優助演賞 受賞(でんでん)
・「第85回キネマ旬報ベスト・テン」
⇨日本映画監督賞 受賞(園子温)
⇨助演男優賞 受賞(でんでん)
・「第33回ヨコハマ映画祭」
⇨監督賞 受賞(園子温)
⇨助演男優賞 受賞(でんでん)
⇨助演女優賞 受賞(黒沢あすか、神楽坂恵)
・「第54回三浦賞:日本映画撮影協会)
⇨三浦賞 受賞(木村信也:撮影担当)
正直に言いますと、
ここまでグロい映画は、賞レースとは無縁だと思っていました。
「有名になってはいけない映画」ではないかと。
物語の強烈なインパクトと、
俳優陣たちの強烈な演技力が、日本の映画賞に認めさせた感じを受けますね。
「この年に、この映画を無視できないでしょう」的に。
『冷たい熱帯魚』、本当に強烈でした。
スポンサーリンク
あらすじ
『冷たい熱帯魚』あらすじ
小さな熱帯魚店を営んでいる社本信行。
死別した前妻の娘:美津子、今の若い妻:妙子、
この折り合いの悪い2人に挟まれながら、
波風を立てないよう静かに暮らしていた。
しかし、信行の日常は、
妙な男との出会いによって、
底知れない闇の中へ突き落とされてしまう・・・。
ある日、
スーパーで万引きをした美津子を引き取りに出向いたところ、
どうしても許してくれそうもないスーパーの店長をなだめ、
「今回だけは」と、
社本家族を助けてくれた妙な男。
村田幸雄、
大型熱帯魚店「アマゾンゴールド」の店長。
非常に気さくで、おしゃべり好きな親しみやすいおじさん、
そんな印象の村田は、
社本家族と密な交流をスタートさせる。
社本の娘:美津子を自分の店でアルバイトさせ、
社本の妻:妙子の悩みを聞き、
社本信行を、
”闇深き深淵のビジネスパートナー”として、
完全に取り込んでいく。
信行が村田の本性に気付いた時、
もう、全てが終わっていた・・・。
〜『冷たい熱帯魚』〜
おすすめはしませんが・・ |
U-NEXT 『冷たい熱帯魚』、 今なら視聴可能 |
Netflix 『冷たい熱帯魚』、 定額料金で視聴可能 |
おじさんの感想
![おじさんの声](https://savicevicjenio.com/wp-content/uploads/2019/02/IMG_0209-264x300.jpg)
![おじさんの声](https://savicevicjenio.com/wp-content/uploads/2019/02/IMG_0209-264x300.jpg)
(グロ度は10、人に勧められるような作品ではないので)
(”胸糞映画”的には満点ですけど・・・)
視聴する前、ジャケットのドアップ顔の印象から、
「白竜さん主演の映画」とばかり思っていたんですけど、
視聴を決めた瞬間にNetflixのページでキャスト陣を確認。
間違いだったと気付いたところから、視聴をスタート。
園子温監督作『冷たい熱帯魚』、まず思ったのは、
「これ、映画館で上映したの?」
でした。
大きなスクリーンであのグロさを観せ付けられた観客を思うと、
背中をさすってあげたくなるぐらいです。
「大丈夫ですよ、あくまでも映画ですから」と。
ただ、色々調べてしまった今は、少し言葉が変わりまして、
「大丈夫です、恐ろしいシーンに実話が入り込んでいる映画ですけど、
時間が解決してくれますよ」
そんな投げやりな言葉しか・・・。
本当に強烈なインパクトを残してくれた『冷たい熱帯魚』。
個人的に、もう2度と観ることはありませんが、
”胸糞映画”、”後味の悪い映画”と検索して常にヒットするその理由、
イヤと言うほど理解できました。
Netflixが普通に配信しているのもビックリ。
是非、小さなお子さんがいる家庭では、
お子さんが間違って再生しないよう、細心の注意を払っていただきたいですね。
「強烈グロ、エロ、胸糞」の3大要素ギッシリですから。
おじさんでもキツかった・・・。
(でんでんさんの強烈さは異常ですよ)
でもなぜか、
ちょっとだけ感謝しているんです、『冷たい熱帯魚』に。
視覚的なグロさ満載の”胸糞映画”、
”後味の悪い映画”の常連を視聴したことにより、
今になって、
大好きな映画「セブン」の凄さを、さらにもう1つ気付けたんですよ。
「セブン」
実は、視覚的グロさ、ほぼゼロなんですよね。
「〇〇シーンゼロ」と言い換えても良さげです。
おすすめはしませんが・・ |
U-NEXT 『冷たい熱帯魚』、 今なら視聴可能 |
Netflix 『冷たい熱帯魚』、 定額料金で視聴可能 |
急に気付いた「セブン」の凄さ
「セブン」
Se7en(1995)Official Trailer
・監督
デヴィッド・フィンチャー
・キャスト(役名)
ブラッド・ピット
(デビッド・ミルズ刑事/着任してきた新人刑事)
モーガン・フリーマン
(ウィリアム・サマセット刑事/退職まで1週間となったベテラン刑事)
グウィネス・パルトロー
(トレイシー・ミルズ/ミルズの妻)
R・リー・アーメイ
(警部/ミルズとサマセットの上司)
〇〇〇〇〇〇
(ジョン・ドゥ/「七つの大罪」を償わせる名もなき男)
・日本公開1996年1月27日
園子温監督作『冷たい熱帯魚』と同様に、
”胸糞映画”、”後味の悪い映画”と検索した時の常連、
サイコ・サスペンスの名作「セブン」。
今更説明をする必要がない映画です。
『冷たい熱帯魚』を視聴したことにより、
「セブン」の凄さをまた確認できましたので、紹介させていただきます。
気付いている人にとっては、「別に」って感じでしょうけど。
では早速。
(ここから下、完全なネタバレになりますので、ご注意ください)
スポンサーリンク
「〇〇シーン」ほぼゼロのサイコ・サスペンス
犯人”ジョン・ドゥ”役のケヴィン・スペイシー、
彼の怪演が強烈に輝いている「セブン」。
「殺害シーン」(「殺戮シーン」と言っても)が、
ほぼ、視覚的に描かれておりません!
死体となった犠牲者は視覚的に確認できますけど(もちろん、そこはグロい)、
「何をされたのか?」
この部分は、言葉と状況証拠だけで視聴者に想像させているんですね。
物語の順番通りに書かせていただくと、
発見その1:「大食」
✔︎ 強烈に太った死体が、スパゲッティーに顔を埋めたまま発見される
(視覚的に確認できる)
✔︎ 殺害方法:状況証拠と犯人からのメーセージのみ
(殺害シーンなし)
発見その2:「強欲」
✔︎ 悪どく稼いでいた弁護士の死体が発見される
(視覚的に確認できる:写真)
✔︎ 殺害方法:状況証拠と犯人からのメッセージのみ
(殺害シーンなし)
発見その3:「怠惰」
✔︎ 1年間、ありとあらゆる薬を投与され、生かされ続けた男が発見される
(視覚的に確認できる)
✔︎ 殺害方法:状況証拠と犯人からのメッセージのみ
(厳密に言えば死亡していない、発見というシーンのみ)
ここで、
ミルズとサマセットが”ジョン・ドゥ”の家を発見、
”ジョン・ドゥ”は計画を変更することに。
発見その4:「肉欲」
✔︎ 娼婦の死体と、実行した男が発見される
(視覚的に確認できる)
✔︎ 殺害方法:実行させられた男の証言、状況証拠と犯人からのメッセージのみ
(殺害シーンなし)
発見その5:「高慢」
✔︎ 女性モデルの死体が発見される
(視覚的に確認できる)
✔︎ 殺害方法:状況証拠と犯人からのメッセージのみ
(殺害シーンなし)
ここでまた波乱が。
”ジョン・ドゥ”が自首・・・。
(ラストシーンに繋がります。ネタバレですので、ご注意を)
発見その6:「嫉妬(ねたみ)」
✔︎ 平凡な家庭をねたんだ”ジョン・ドゥ”自身が罪人だと、ミルズに気付かせる
(視覚的に確認できる)
✔︎ ミルズによって・・・
(ここで初めて、「セブン」唯一の殺害シーンが描かれる)
発見その7:「怒り(リベンジ)」
✔︎ ”ジョン・ドゥ”への報復、
「怒り」の罪を背負ったミルズ、彼のこの先の人生、救いは・・・
(視覚的に確認できる)
✔︎ 全てを失ったミルズ
(・・・・・・・)
映画「セブン」の中で、最も有名なのが、
「嫉妬」と「怒り」のラストシーンです。
そのラストシーンへ至るまで、
「セブン」では「殺害シーン」というものが、ほとんど視覚的に確認できません。
状況証拠と言葉の数々、
犯人からのメッセージのみを並べて、視聴者に想像させるんですね。
なかなか無いと思うんですよ、
サイコ・サスペンスのカテゴリー、
”胸糞映画”、”後味の悪い映画”のカテゴリーで、
目に観えるシーンとして描かれている殺人が、全編通して1つだけという作品。
死体のグロさはあるにしろ、
視覚的なグロさに一切頼っていない名作「セブン」、
今になってそう気付かせてくれたのが『冷たい熱帯魚』です。
視聴の際はお気をつけて |
U-NEXT 『冷たい熱帯魚』「セブン」、 今なら視聴可能 |
Netflix 『冷たい熱帯魚』「セブン」、 定額料金で視聴可能 |
アイテム1つで想像させる恐怖
これはちょっと強引な解釈になってしまいますけど、
「七つの大罪」それぞれを、
1つのアイテムで想像を助長しているのではないかと。
順番通りに書いていくと、
発見その1:「大食」
✔︎ アイテム:レシートが2枚
(”ジョン・ドゥ”は、2度も買い物に出かけている。時間のかかる方法をあえて実行)
✔︎ 銃を突きつけ、胃が破れるほど食わせ続けた”ジョン・ドゥ”を想像
発見その2:「強欲」
✔︎ アイテム:天秤
(弁護士に肉包丁を持たせ、1ポンドきっかりの肉を切るように迫る)
✔︎ ”ジョン・ドゥ”が弁護士にじっくりと、どこの肉を切るかと迫っている姿を想像
発見その3:「怠惰」
✔︎ アイテム:写真の束
(1年間という長い間、薬漬けにされたビクターの履歴)
✔︎ ”ジョン・ドゥ”が行おうとしている行為、その想いの深さを想像
ここで”ジョン・ドゥ”の家が発見される。
発見その4:「肉欲」
✔︎ アイテム:禍々しい器具
(銃を突きつけ、ある男に、禍々しい器具をつけて娼婦と性交渉するように強要)
✔︎ 「七つの大罪」完遂のため、スピードを速めた”ジョン・ドゥ”
発見その5:「高慢」
✔︎ アイテム:睡眠薬と電話
(女性モデルの顔を傷つけ、醜い顔で生きるか、それとも死か、と選ばせた)
✔︎ ”ジョン・ドゥ”の「七つの大罪」、ここからクライマックスへ
で、”ジョン・ドゥ”自首。
発見その6:「嫉妬(ねたみ)」
✔︎ アイテム:ダンボール箱
(”ジョン・ドゥ”が自分自身を罪人にするため、犠牲となったトレーシー)
✔︎ 完全勝利となった”ジョン・ドゥ”
発見その7:「怒り(リベンジ)」
✔︎ アイテム:サマセットの言葉
(ヘミングウェイの言葉「人生は素晴らしい、戦う価値がある」、後者にのみ賛成)
✔︎ 画面はブラックアウトして、「セブン」は終わる
ざっと思いついたアイテムを書いていくと、
こんな感じになりました。
強引な解釈で申し訳ありません。
ただ、
やはり「セブン」は完全なサイコ・サスペンスの名作。
”胸糞映画”、”後味の悪い映画”の中でも一際輝く、
「殺害シーン」のほぼない、視聴者の想像力を掻き立てる強烈なパワーを擁した映画、
こう再認識させられました。
ほぼ、言葉と状況証拠だけですから。
視覚的グロさよりも、想像させられるグロさでグイグイ引っ張られる映画ですね。
視聴の際はお気をつけて |
U-NEXT 『冷たい熱帯魚』「セブン」、 今なら視聴可能 |
Netflix 『冷たい熱帯魚』「セブン」、 定額料金で視聴可能 |
最後に
一応、断っておきますと、
別にですね、
『冷たい熱帯魚』と「セブン」を比べて、
「セブン」が上と言いたいわけではありません。
タイプの違う”胸糞映画”、
観せ方の異なった”後味の悪い映画”、と思っただけです。
『冷たい熱帯魚』を観ていなければ、
この記事も生まれていませんし、新たな発見に気付けず、そのままだったでしょうから、
感謝しているぐらいです。
2度と観ませんけど。
・・・・・・。
「セブン」を何十回と観てきたのに、
今更になって思い至った新たな魅力、そこが少し恥ずかしいです・・・。
ではまた。