ドラマ『セイレーンの懺悔』の原作小説、報道のタブーに切り込むミステリー
中山七里の小説『セイレーンの懺悔』が原作のドラマ、
同名タイトルの「セイレーンの懺悔」は、
2020年10月18日からWOWOWプライム「連続ドラマW」で放送されました。
放送は全4回。
ドラマ「セイレーンの懺悔」のレビュー
・「マスコミ、報道のあり方を問うというテーマの見応えがあるドラマ」
・「観るとズドーンと気が重くなるが、最後まで観ずにはいられなくドラマ」
・「面白く、録画していたのを一気に視聴!」
など、概ね高評価なドラマとなりました。
原作小説『セイレーンの懺悔』の主人公:入社2年目の女性報道記者、朝倉多香美。
ドラマ版の朝倉多香美を演じたのは新木優子さんです。
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ドラマ「セイレーンの懺悔」
「セイレーンの懺悔」
(WOWOWプライム「連続ドラマW」で全4回)
原作 | 中山七里『セイレーンの懺悔』 |
出演(役名) | 新木優子 (朝倉多香美:帝都テレビ入社2年目の報道記者) |
池内博之 (里谷太一:帝都テレビの報道記者、多香美の先輩) |
|
高嶋政伸 (宮藤賢次:警視庁捜査一課の警部補) |
|
高梨臨 (三島奈那子:帝都テレビのライバル局の報道記者) |
|
甲本雅裕 (東良伸弘:誘拐殺人事件の被害者・綾香の父親) |
|
濱田マリ (東良律子:誘拐殺人事件の被害者・綾香の母親) |
2020年10月18日から、
WOWOWプライム「連続ドラマW」で毎週日曜22時00分〜23時00分の枠で放送。
全4回、ラストとなる第4話は11月8日に放送されています。
原作小説『セイレーンの懺悔』の印象からすると、
主人公・朝倉多香美はピッタリ、里谷太一は見た目がカッコよすぎる、
宮藤賢次はもう少しシュッとしてても良さそう、
東良律子は「なんか分かる感じ」な配役といった印象です。
ドラマ「セイレーンの懺悔」はもう終わっていますので、
こちらをオススメとは言えませんけど(観ようと思えば観られますよ)、
もし、気になっていたドラマだけど見逃した方がいましたら、
中山七里の原作小説『セイレーンの懺悔』を読み進めてみてはいかがでしょうか?
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原作小説『セイレーンの懺悔』
『セイレーンの懺悔』中山七里
『セイレーンの懺悔』あらすじ
不祥事で番組存続の危機に陥った帝都テレビの報道番組、
「アフタヌーンJAPAN」。
入社2年目、配属2年目の報道記者・朝倉多香美は、
先輩記者である里谷太一と起死回生のスクープを狙っていた。
そんな中、
葛飾区で女子高生誘拐事件が発生する。
被害者は都内公立高校に通う16歳の少女・東良綾香。
身代金は1億円。
報道協定が敷かれた中、闇雲に報道するわけにもいかない事件を受けて、
朝倉多香美と里谷太一は、ある刑事を尾行することにした。
個人の検挙率は警視庁でも1、2を争う優秀な刑事、
宮藤賢次。
宮藤に張り付いていれば、事件の真相に迫れると考えた里谷は、
朝倉と共に宮藤を尾行。
そして、朝倉は、
廃工場で顔を焼かれた東良綾香の遺体を目撃する。
誘拐されたと思われた被害者は遺体となって発見され、
事件はさらに複雑な様相をさらけ出していく。
東良綾香がいじめられていたという証言、
その証言で浮かんできた少年少女のグループ。
グループの主犯格の少女は、小学生レイプ事件の犠牲者だった過去が・・・。
「アフタヌーンJAPAN」という報道番組のために事件を追い続ける事は正しいのか?
報道という世界は、不特定多数の鬱憤を晴らす事のみに存在しているのか?
朝倉多香美は苦悩しながら、
衝撃の真実に辿り着く・・。
〜『セイレーンの懺悔』〜
『セイレーンの懺悔』を読んだ方達の感想
ドラマ化されたので、ドラマを観る前に読もうと思い、一気に読みました。
マスコミの立場、ジャーナリズムとは何か考えさせられます。
そして、人の感情の陰の部分が描かれていて、本当に辛くなります。
「何事においても迷ったら原点に立ち返る事」
まさにその通りだと思います。
業界は違いますけど、私も胸に刻んでおく事にします。
マスコミを主人公にする事で、通常では考えが及ばない視点で話が進みます。
セイレーンの懺悔と名打つところが言い得て妙ですね。
今回はテレビ局のリポーター目線で話が進む殺人事件です。ミステリーよりも報道のあり方がメインテーマであるような印象ですね。
けれども、最後の最後は中山作品らしい「意外な人物が黒幕」で終わりました。さすがです!
相変わらずの2転どころか3転、4転ぐらいのどんでん返しです。一気に読めました。
最近、ニュースでも話されている報道被害の怖さを改めて考えさせられる作品でした。
報道する側も見る側も、扇情的にならないように気をつけなくてはいけませんね。
おじさんの感想
とりあえず文庫化されればノータイムで購入してしまう中山七里作品。
今作『セイレーンの懺悔』も最後まで一気に読み進めてしまいました。
個人的には、
いつものドンデン返しよりも印象深い胸糞の悪さ、それを感じましたね。
誘拐事件から殺人事件へ発展した真相、本当の犯人が分かった時のドンデン返し感、
その部分ももちろんありましたけど、
そのあとに朝倉が辿り着いた罪に問えない事実、
こっちの部分の印象が強く残って、結構胸糞が悪くなりました。
そして、朝倉多香美が報道記者として一皮剝ける瞬間に、
ちょっとだけ読者が救われる物語ではないかと思います。
ドンデン返しがちょっとだけあって、さらに、胸糞が悪くなる現実があって、
そこまでの強烈な経験を経てようやく、
ある女性記者が辿り着くマスコミという仕事のあり方、信念。
中山七里の『セイレーンの懺悔』、
ドラマ化されたのも頷ける濃い内容の物語でした。
最後に
ドラマにもなった中山七里の原作小説、
『セイレーンの懺悔』を紹介させて頂きました。
正直に言いますと、
ドラマを観る前にその原作を読む行為、
映画を観る前にその原作を読む行為、
という事を、個人的にはオススメしません。私はそれで1度大失敗をしていますので。
ですから、あくまでも個人的な考えとして、
ドラマ(映画)を先に観てしまって興味が湧いたら、原作に手を出してみる、それぐらいが丁度いいのではないかと思っています。
原作小説と映像化された作品を比べてしまうと、
どうしてもどちらかに評価が偏ってしまいがちですからね。
原作の方が面白い、映像化された作品の方が面白い、
そこを踏み込まなくても、どっちでも楽しめれば良いじゃないか、と、個人的には強く思っています。私は「ハンニバル」で失敗しましたから。
『セイレーンの懺悔』を読んでドラマを楽しむ、
「セイレーンの懺悔」を観た後に原作小説を楽しむ、
比べるのではなく、お互いの良い部分を素直に楽しんで欲しいなと。
ではまた。
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