ピエール・ルメートル『監禁面接』、57歳男性が逆転を夢見る再就職サスペンス
「その女アレックス」で有名なフランスの小説家ピエール・ルメートル。
その彼が「その女アレックス」よりも前に発表していた小説が、
『監禁面接』
✅ アラン・デランブル/57歳、男性、リストラされ失業中、アルバイトをしている
✅ 娘2人は自立し、妻のニコルと2人暮らし
✅ アランは再就職に希望を見出すも、待っていたのは怒涛のサスペンス
ピエール・ルメートルのサスペンスものですので、
後味の悪さを伴ったおぞましいお話かと思いましたけど、
あくまで再就職サスペンスです。
残虐なシーンはほぼありませんから、
構えずに読み進められる物語ではないかと。
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ピエール・ルメートル『監禁面接』のあらすじと感想
『監禁面接』ピエール・ルメートル
『監禁面接』あらすじ
4年前にリストラされ職を失い、
今はアルバイトをして生活をしているアラン・デランブル。
57歳・妻と2人暮らし。
娘2人は自立していたが、生活は上向かず、
妻のニコルも働きながら家計を助けていた。
そんなある日、アルバイト先で一悶着を起こしたアラン。
いよいよアルバイト先すら失う可能性が高くなってしまう。
ささやかになんとかキープしていた生活が、
音もなく崩れ去りそうな予感がしてきたその矢先、
アランに朗報が訪れた。
フランスでも有名な一流企業の最終試験に残ったと・・・。
しかし、
その最終試験というのが、
「就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ」
という、擬似テロ行為を行えというもの。
4年前から失業中、食いつないでいたアルバイト先も失いそう、
愛する妻と2人の娘に恥ずかしい思いはさせられない。
アラン・デランブル/57歳
訳の分からない最終試験だとしても、
必ず受かってみせるという意気込みで挑むしかない・・・。
元の生活を取り戻す!
〜『監禁面接』〜
「その女アレックス」を生み出したピエール・ルメートルが描く、
再就職サスペンス『監禁面接』。
57歳のアランが自分の全てを賭けて挑んだ再就職、
愛する家族のために全力を尽くしたそのあと、彼を待っていた現実とは一体・・・。
『監禁面接』を読んだ方達の感想
ルメートル氏のことだから、ただでは終わらないだろう!その通りの展開でした。
結末は想像通りでしたが、そこに行き着くまでの過程で、色々なことが起こります。
主人公が得たものと失ったもの。
幸せっていうのは人それぞれだと改めて思いましたね。
57歳の男の再就職サスペンスは異様なものでした。確かに、前作までの残酷描写は影を潜めていて、目を覆いたくなることはありませんでしたが、導入部が長いのと、妻の気持ちに寄り添ったらこんな展開にはならないだろうと思われて、無理っぽく感じてしまいました。
単純に面白がれる話だと思っていたけど、自分の就活時代を思い出し、割と身に詰まらされてちょっと辛かったです。
この発想は凄い・・・。
読後、悲しい気持ちにさせる小説です。自分が求めたものが他の人たちにとっても同じく価値のあるものであるとは、必ずしも言えません。
アランがあまりにも哀れです・・・。
おじさんの感想
ピエール・ルメートルの『監禁面接』、
文庫本になって積まれていましたので、即購入して読み始めました。
ピエール・ルメートルが2010年にフランスで発表した小説です。
この『監禁面接』を単純に分けると3部作となっていて、
1部が準備編、
2部が実行編、
3部がその後の後始末編、といった感じです。
1部の準備編はちょっと退屈なお話が続くんですけど、
2部から異様な場面が連続して、
3部でさらに大ごとになり、結果、アランが辿り着いた着地点をどう思いますか?
と、最終的に読者がその結果を知って、意見が分かれる物語ではないかと。
私個人としては面白い物語だったと思っています。
もしかすると、私がただ単に、
最終的に全てが丸く収まるハッピーエンド的な物語を好んでいないから、
かもしれませんけどね。
ちょっとシコリが残るようなラストを好む傾向・・・。
ピエール・ルメートルの『監禁面接』、
57歳のアランが、家族のためと信じ切って奮闘し走り続けた物語、
その着地点に何を思うのか・・・。
じっくりと読み進めてみてください。
ピエール・ルメートルについて
ピエール・ルメートル(1951年4月19日〜)は、
フランスの小説家、推理作家、脚本家です。
主な作品は、
刊行年(フランス) | タイトル |
2006年 | 「悲しみのイレーヌ」 (カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ:第1作目) |
2009年 | 「死のドレスを花婿に」 |
2010年 | 『監禁面接』 |
2011年 | 「その女アレックス」 (カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ:第2作目) |
「わが母なるロージー」 (カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ:番外編) |
|
2012年 | 「傷だらけのカミーユ」 (カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ:第3作目) |
2013年 | 「天国でまた会おう」 (世界大戦3部作:1作目) |
2018年 | 「炎の色」 (世界大戦3部作:2作目) |
上に挙げた小説は全て、日本でもすでに発売されています。
その中でも有名なのが、
カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの2作目「その女アレックス」。
文庫版は日本で60万部を超えるヒット作となりました。
個人的に、
カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズで1番のおすすめは、
第1作目の「悲しみのイレーヌ」。
メチャクチャ後味の悪い小説ですけど、強烈な物語として印象深くなっています。
ピエール・ルメートル作品を1冊も読んだことがない方へ、
1発目に何をおすすめしたら良いのか結構悩みますが、
やはり最初はインパクトが強くないとその後、続かない気がしますので、
是非「悲しみのイレーヌ」から入っていただけると・・・、キツイお話ですけどね。
そしてカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズを読み終えた後、
再就職サスペンス『監禁面接』へ、良い流れだと思います。
最後に
ピエール・ルメートルの再就職サスペンス、
57歳のアランが家族のためと信じ切って奮闘し走り続けた物語、
『監禁面接』を紹介させていただきました。
この文庫本を購入した際、
帯に書かれている文字を見てビックリしましたね。
「Netflixでドラマ配信中」
なんと、『監禁面接』がドラマになっているんですよ。
で、ちょっと調べてみたら、さらに驚きました。
主演、
エリック・カントナ。
主演のエリック・カントナ、サッカー界では名の通った有名人です。
往年の名選手と言えるフランス人FWなんですね。
イングランドのマンチェスター・ユナイテッドで大活躍した方。
ということで、
近いうちに必ずドラマ版『監禁面接』を視聴して記事にさせていただこうと。
ついでにエリック・カントナについても。
⇨⇨ドラマ『監禁面接』の記事はこちら
ではまた。
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