新シリーズ?米澤穂信『本と鍵の季節』あらすじ/感想、高校生コンビの連作短編集

米澤穂信といえば、
「古典部シリーズ」や「小市民シリーズ」に代表される、
高校生を主人公とした青春ミステリーが非常に有名です。

その「古典部シリーズ」、「小市民シリーズ」に続いて、
新たなシリーズ誕生の予感を感じさせてくれるのが、

今作本と鍵の季節

本と鍵の季節』(文庫)

✅ 2021年6月に発売された米澤穂信の文庫最新刊

✅ 2人の男子高校生コンビが主人公の全6話からなる連作短編集

✅ 「古典部シリーズ」「小市民シリーズ」ファンなら必読

新シリーズ誕生の予感がプンプンしますので、
ファンなら読んでおいて損の無い小説ですね。

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米澤穂信『本と鍵の季節』あらすじ/感想

本と鍵の季節』米澤穂信

本と鍵の季節

6話を収録した連作短編集
「913」(ページ:9〜)
「ロックオンロッカー」(ページ:75〜)
「金曜に彼は何をしたのか」(ページ:121〜)
「ない本」(ページ:185〜)
「昔話を聞かせておくれよ」(ページ:235〜)
「友よ知るなかれ」(ページ:323〜)

・2012年から「小説すばる」に断続的に掲載された5つの短編と、書き下ろしのエピソード「友よ知るなかれ」が追加され、2018年に単行本として発売された連作短編集

2021年6月25日文庫発売

2021年7月26日現在
Amazonレビュー数 145個の評価
カスタマーレビュー
4.5

 

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あらすじ

本と鍵の季節』あらすじ

913

受験準備のため3年生は委員を引退。
2年生の図書委員、堀川次郎松倉詩門は、そんな静けさの増した図書室にいた。
と、彼らのもとにやってきたのが、
このあいだ図書委員を引退した3年生の浦上麻里先輩。
「おじいちゃんが金庫に鍵をかけたまま死んじゃったの。その金庫の番号を探り当てて欲しい!」
以前、2人が暗号を解読したことを覚えていた先輩からの依頼。
次の日曜日、2人は先輩の家へ

ロックオンロッカー

高校2年の夏が始まった頃、2人はある出来事の傍観者となった。
目撃者ではなく、傍観者・・・。
松倉の通っていた床屋が店を閉めていて、困っていると知った堀川は、
今なら、自分が通っている美容院の割引を2人で利用できると気づき、どちらにも利益になると踏んで、
2人揃って堀川行きつけの美容院へ。

その美容院で偶然にも、店長の「ある一言」が2人を傍観者にしてしまう。
推理に推理を重ねていると・・・答えが目の前に。

金曜に彼は何をしたのか

ある週明けの月曜日、朝からどことなく騒然としている学校。
どうも、先週の金曜日に学校の窓が割られ、テスト問題を盗もうとした侵入者がいたらしい。
その犯人だと疑われているのが、
図書委員の後輩の兄・・・、堀川と松倉と同じ2年生。
「素行の悪さはあるにせよ、兄がテスト問題を盗もうとしたとは信じられない」
兄の無実を証明してください!
後輩から頼まれた2人はそのままその足で、
後輩の家に向かった。

ない本

詳しいことはよく分からないが、3年生の男子が自殺したらしい。
堀川と松倉はいつものように、放課後の図書室で作業を続けていた。
そこへ、3年生の男子がやってくる。
「本を探しているんだ。香田の話は聞いているだろう、自殺した。香田はよく図書室から本を借りて読んでいた。その、香田が読んでいた最後の本を探しているんだ。」
しかし、図書本を誰が借りたのかという個人情報を教えるわけにはいかない。
自殺した香田が最後に読んでいた本、
とりあえず2人は、3年生男子の話を聞いてみることに。

昔話を聞かせておくれよ

堀川が奇妙な場所に放り込まれたのは、
松倉の「昔話でもしようぜ」という、普通だけど妙に聞こえる言葉からだった。
お互いに昔のエピソードを聞かせて、それで終わるならまだしも、
結局のところ、
足を使って調べものをし、重要な証拠品多数を見つけ、奇妙な場所まで来てしまう。
友達の昔話を聞くだけだったら容易いけど、
過去を紐解くような発見ばかりをしてしまうと・・・。
後戻りできないぐらい、嫌な場所まで来てしまった・・・。

友よ知るなかれ

は、松倉の昔話から知り得た情報、その詳細を調べるために、
土曜の朝から公共の図書館に来ている。もちろん、松倉抜きでだ。
松倉に隠れて、友達の内臓をえぐるような真似をしている自分を、誰にも知られたくない。
松倉に知られるのは避けたい。だから1人で来た・・・。
けど、そう自分本位で事が進むはずもなかった。
に知られたくなかった松倉と、
松倉に何を調べているのか知られたくなかったは、
結局、図書館で向き合うことに。

 

『本と鍵の季節』を読んだ方達の感想

男性の声
男性の声
2人の高2男子の短編集。伏線がとても論理的に回収されていく様は読んでいて気持ち良かったです。
また、章によってはほろ苦さが残る話もありましたが、主人公達の掛け合いのテンポが良く読後感は悪くなかったですね。
どの章も面白かったんですけど、個人的には「ない本」がグッときました。面白かったです。オススメですよ。

 

男性の声
男性の声
タイプの異なる優秀な2人の高校生の推理小説短編集。
これが高校生?という突っ込みはさて置き、話の流れとオチは読みやすくて面白かったですね。
その先を描かず読者に委ねるのも良かったです。

 

女性の声
女性の声
古典部シリーズのような青春感を予想しながら手に取ってみたら、案外シリアス寄りの短編集でした。
ちょっとした推理を得意とし、皮肉屋な図書委員2人が学校という日常の外側にあるちょっとした謎を明かしていくミステリー。
爽快感というよりも、少しの苦味を残しているところが却って青春なのかもしれませんね。

 

女性の声
女性の声
皆クール過ぎて、高校生っていうのが現実味ないような気がしちゃいましたけど、話は面白かったです。
でもやっぱり、学生シリーズじゃない方が私は好みですね。

 

おじさんの感想

おじさんの声
おじさんの声
『本と鍵の季節』の感想

 

久しぶりに読んだ米澤穂信の小説、
本と鍵の季節

 

男子高校生2人のコンビが主人公だったので、
「古典部シリーズ」を連想しながら読み進めましたけど、
正直、
私の感想は全くの別物、でした。

 

「古典部シリーズ」ファン必読!、「小市民シリーズ」ファン必読!
なんて冒頭に書きましたが、
もしかすると、
ガッカリしてしまう方もいるかもしれません。

 

というのもですね、
私個人は、全6話のエピソード、そのどれ1つとして明るい読後感を覚えたエピソードはありませんでした。
イヤな感情に支配されているわけではなく、
溜め息をつきながら本を閉じるような感じで・・・。

 

爽やかな読後感には一切なりませんでしたね。
強いて言えば、「ロックオンロッカー」ぐらいでしょうか、
楽しく読み終わったのは。

 

あとは結構引っかかる話が多くて、
そのきっかけとなったのが「金曜に彼は何をしたのか」からです。
松倉に対する見方がガラッと変わってしまいました。

 

とは言え、ラストまでグイグイ読み進めたのも事実。

 

思いの外考えさせられたエピソードが多く、
ちょっと面食らってしまいましたけど、
短編集とは思えない読み応えのある小説、これは間違いありません。

 

あとは、読後に何を感じるのか、それは人それぞれですので、
自分がどう感じるのか確かめたい方は、
米澤穂信本と鍵の季節、読み進めてみてください。

 

米澤穂信のおすすめ文庫本

米澤穂信(1978年〜)は、
岐阜県出身の小説家、推理作家です。

まだ米澤穂信の小説を読んだ事がないなら、
ここからスタートさせてみてはいかがでしょうか?

「氷菓」<古典部シリーズ>

✅ 「古典部シリーズ」の1作目、
第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門激励賞を受賞、
米澤穂信のデビュー作から、読み進めるのをおすすめします。

 

「インシテミル」

✅ 「古典部シリーズ」を想像すると、「まさかこれが米澤作品?」と、
疑ってしまうほどの小説。
クローズド・サークルを舞台とした殺人ゲーム・・・。
藤原竜也さん主演で映画化もされています。
「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」

 

「王とサーカス」

✅ ミステリーランキング3冠に輝いたミステリー
2015年「週刊文春ミステリーベスト10」(文藝春秋)
2016年「ミステリが読みたい!」(早川書房)
2016年「このミステリーがすごい!」(宝島社)
それぞれ堂々の1位を獲得

 

 

最後に

 

高校生コンビの連作短編集、
米澤穂信本と鍵の季節を紹介させていただきました。

個人的には爽快感抜群、とはいきませんでしたけど、
読み応えは十二分にあった小説です。

それと、
文庫本のラストには、
堀川と松倉の第2弾が刊行予定となっているらしいと書かれていました。

シリーズ化決定!、と言ってもよろしいかと。

「古典部シリーズ」「小市民シリーズ」、
そして「図書委員シリーズ」と、
高校生を主人公にした新たなシリーズの幕開けとして、
本と鍵の季節を機会がありましたら、読み進めてみてください。

ではまた。

 

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