リカシリーズ第6弾『リフレイン』、現実世界と「リカ」をリンクさせる最恐エピソード
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『リフレイン』、この言葉を英語にすると、
「refrain」・・(‥を)控える、断つ、やめる、我慢する
このような意味を持っている言葉と認識されていますが、
音楽用語では、
「メロディーや歌詞を繰り返す事」と定義されています。
どちらかというと、音楽用語の方が世間一般的な「refrain」となっていませんか?
ただ、リカシリーズ の『リフレイン』では、
「彼女」に対する、私たちへの警鐘になっているようです。
リカシリーズ第6弾『リフレイン』
✔︎ 「彼女」より目立つ行動は、極力、控えなければいけない
✔︎ 「彼女」を疑い調べる行動は、極力、やってはいけない
✔︎ 「彼女」の言葉が嘘だと分かっても、極力、暴いてはいけない
✔︎ 「彼女」に対抗しようなんて・・・絶対に考えてはいけない
「彼女」・・・「雨宮リカ」
リカが看護専門学校に通っていた頃に起きた大事件、
そこから読み取れる「リフレイン」という言葉の意味は、
「refrain」・・・(雨宮リカと関わるのを)絶対に控える
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リカシリーズ 第6弾『リフレイン』あらすじと感想
『リフレイン』五十嵐貴久
『リフレイン』
✔︎ 「1991年5月、青美看護専門学校:講堂火災発生」
犠牲者:124名(生徒、教師含め)
生存者:1名(女子生徒)
江東区にある青美看護専門学校は、1学年120名。
男女共学の2学年制、全日制で学ぶ専門学校。
青美看護専門学校に異変が起き始めたのは、1990年。
・1990年4月2日:入学式
1年生の女子生徒:115名、1年生の男子生徒:5名
・1990年5月12日
1年A組の女子生徒が、駅のホームから転落し轢死
⇨警察の見解「事故」
・1990年7月31日:1学期の終業式
2年生の男子生徒2名が言い争いをし、その後、1名が相手を刺殺。
犯人の生徒は校門から逃げ出したその瞬間、トラックに轢かれ即死。
⇨警察の見解「殺人及び、犯人が事故死」
・1990年9月2日:2学期の始業式前日
1年A組の女子生徒が校舎の屋上から飛び降り自殺
⇨警察の見解「遺書らしきものもあり、自殺」
・1990年9月29日の朝
1年A組の女子生徒2名が、寮の部屋で死亡しているのが発見される
⇨警察の見解「研修などの悩みにより心中自殺」
・1990年11月29日未明:梅ノ木病院で医療事故
青美看護専門学校の生徒が研修で訪れている梅ノ木病院で、
集中治療室に入院していた肺がん末期患者の男性が死亡しているのが発見される。
人工呼吸器が外れていたことにより死亡。
⇨警察と病院の見解「事故と事件、両方の可能性あり」
・1991年2月14日
女性の教頭先生が、旧式のエレベーターに挟まれ、上半身と下半身を腰から真っ二つに引き裂かれて死亡
⇨警察の見解「エレベーターの老朽化による事故」
・1991年5月14日:講堂火災発生
講堂に集まっていた2年生の全120名と、数人の教師が火災により死亡。
(生存者:1名)
⇨警察の見解「事故」
青美看護専門学校と関わりのある命が、
1990年の始業式から立て続けに失われていった。
事故か事件か、ハッキリとした事は分からないが、ただ1つ、
事実として分かっているのは、
1990年4月、青美看護専門学校に「雨宮リカ」入学
〜『リフレイン』〜
リカシリーズ第6弾『リフレイン』、
「雨宮リカ」に関する文献を読んでいるような気になる物語です。
証拠は何も無い、けど、
看護学校で同じ時を過ごした唯一の生き残りの女性の証言をもとに、
「雨宮リカ」の過去の1部分を覗き見したような・・・。
リカシリーズを読んできた私たちなら、
『リフレイン』で描かれている死の全てに「雨宮リカ」が関わっていると想像するのは、
簡単です。
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(現実世界とリンクさせるには、最恐のエピソード)
待望の、いや、
おぞましい物語をまた読むことになってしまった、と言った方がしっくりくる、
リカシリーズ第6弾『リフレイン』、
「雨宮リカ」の過去に触れる物語でした。
この『リフレイン』、
作りが非常に面白くて、普通の小説ではなく、
ある女性の書籍を本筋の流れとして、それに付随した資料や証言を加えながら、
本当にあった事件として描かれているんです。
例えばですね、
『リフレイン』の冒頭「はじめに」という部分で、
参考にした資料の一覧が紹介されているんですが、この部分、
普通の小説なら、本のラストに記載されているべき部分です。
「この小説はこんな資料を参考にしましたよ、助けてもらいましたよ」的に。
それを冒頭に持ってきて、
本当にあった事件を紐解いている感じを、読者に突きつけているんです。
そのせいで、私は検索してしまいました。
「青美看護専門学校火災事件」と。
結局、小説『リフレイン』が検索のトップページを占めているんですけどね。
そんな風に「本当にあった事件」と思いつつ読み進めてしまいますから、
それはそれは生々しく、
「雨宮リカ」が関わった「120人以上の命」に本当にゾッとしてしまいます。
今までのリカシリーズと比べると、残虐な描写は少なく、
スプラッター的な気持ち悪さはなりを潜めていますけど(多少はある)、
今回の物語の描き方が面白かったので、
「この都市伝説、本当にあったんじゃね?!」
と、「雨宮リカ」という存在を現実世界と結びつけるには、
リカシリーズで最強(最恐)かもしれません。
ちなみに、
『リフレイン』の中に度々出てくる、
ポーラ・ネグリの”マヅルカ”という曲ですが、五十嵐さんのおっしゃる通り、
YouTubeで”マヅルカ”と検索すると即出てきます。
一応、聞いてみたところ、
「この曲を聴きながら読み進めれば、ますます陰鬱になり、不快な気分になりますよ」
と、五十嵐さんが巻末で仰っていた意味が理解できます。
個人的にですけど、
私はオススメしません、絶対に。
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リカシリーズの時系列
今までに7冊、
リカシリーズは発表されてきました。
1発目は、
第2回ホラーサスペンス大賞の大賞を受賞した「リカ」(2002年)ですが、
物語の時系列でいうと、順番が異なります。
時系列 | タイトル(発行年) |
1 | 「リバース」(2016年) |
2 | 「リセット」(2022年) |
3 | 『リフレイン』(2021年) |
4 | 「リハーサル」(2019年) |
5 | 「リカ」(2002年) |
6 | 「リターン」(2013年) |
7 | 「リメンバー」(2019年) |
1発目の「リカ」を軸とすると、
今作『リフレイン』はいわば「雨宮リカの昔話」なんですね。
看護学校時代、女学生だった頃のお話です。
この順番で読み進めると、
リカシリーズの時系列が順番通りとなって、分かりやすい、となるかもしれませんけど、
個人的にはあまりオススメしません。
できたら最初はやはり、
「リカという存在」そのものを知っておいた方がよろしいかと。
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シリーズを読む順番、個人的なオススメ
個人的には、
「リカ」(2002年)から読み進めることをオススメします。
順番 | タイトル |
1 | 「リカ」 (最恐の女リカ:狂気を知ってください) |
2 | 「リバース」 (最恐の女リカ:誕生に触れてください) |
3 | 「リハーサル」 (最恐の女リカ:覚醒した様子を確認してください) |
4 | 「リターン」 (最恐の女リカ:永遠の狂気に絶望してください) |
5 | 「リメンバー」 (最恐の女リカ:記憶を消せるか試してください) |
6 | 『リフレイン』 (最恐の女リカ:証言を辿ってみてください) |
7 | 『リセット』 (最恐の女リカ:に恋をした男子高校生は・・) |
今作『リフレイン』は昔話ですけども、
「雨宮リカ」に慣れている状態で読み進めた方がよろしいかと。
単純に、
「雨宮リカ」という存在をより知っておいた方が、
想像するのが簡単になって、物語に入り込みやすいんですよね。
「リカならやりかねない」、そんな風にリカを理解していますので。
リカシリーズを読み進めてきた私達なら間違いなく、
瞬時に「死亡フラグ」に対応してしまいます。
「あっ、この人、終わった・・・」
分かりやすくなった反面、
面白みに欠けると思ってしまう方もいるでしょうけど、ご安心を。
「雨宮リカの行動は読者の斜め上、遥か上空」に位置しておりますからね。
個人的には、
リカシリーズを読む順番のオススメはこんな感じです。
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ドラマ化
「最恐の女リカ」を映像化するなんて、
なかなか思い切った事をするもんですね。私は一切観ておりませんが・・・。
東海テレビ放送(THK)の制作、
フジテレビ系列、連続テレビドラマ枠「オトナの土ドラ」にて放送。
リカシリーズ :ドラマ |
「リカ」 (2019年10月5日〜11月30日:全8話) (主演:高岡早紀、原作:リハーサル/リカ) |
「リカ〜リバース〜」 (2021年3月20日〜4月3日:全3話) (主演:高岡早紀、原作:リバース/リカ) |
2019年版の「リカ」の前に、
2003年「土曜ワイド劇場」で「リカ」が単発ドラマとして放送。
その時の主演は阿部寛と浅野ゆう子。
雨宮リカ役を浅野ゆう子さんが演じていたようです。
そして2019年版からは、
雨宮リカ役を高岡早紀さんが演じています。
観ていないのでなんとも言い難いんですけど、
どちらも綺麗過ぎる気が・・・。
高岡早紀さんの雨宮リカは評判がよろしいようですので、
気になる方はドラマを視聴してみてください。
そしてまた、リカシリーズに新たな物語が追加されました。
『リフレイン』
映像化、ドラマ化する日がそのうちやって来そうです。
【映画化されたリカシリーズ】
⇨⇨映画『リカ』が6月18日から公開、原作「リターン」で描く”純愛モンスター”
最後に
リカシリーズ第6弾『リフレイン』を紹介させていただきました。
今作は今までの趣向とは少し違った作りをしていたので、
個人的には非常に面白く感じましたね。
同時に怖さもしっかり。
家政婦目線で描かれていた「リバース」とも違いますし、
なんかこう、現実感がより増したような感じを受けてしまう物語でした。
ドギツイ凄惨さを求めている読者には、物足りなさがあるかもしれませんけど、
「雨宮リカ、と、その他大勢」で世界が構成されているんじゃないか、
そんな絶望感はシッカリと味わえる物語です。
リカシリーズ第6弾『リフレイン』、
(雨宮リカと関わるのを)絶対に控える、その約束事を守りつつ読み進めてみてください。
ではまた。