高野和明の傑作スリラー「グレイヴディッカー」、東京中を逃げまくる!
「逃げろ!逃げまくれ!」
私はこの「小説」を読み進めていくうちに、
ある古い映画を思い出していました。
「逃亡者」
リチャード・キンブル(ハリソン・フォード)が妻殺しの濡れ衣を着せられ、
護送車から逃げ出し、妻殺しの真犯人を逃げながら追う、
そんなサスペンス映画を思い出しながら、読み進めていました。
キンブルと状況は全く違いますけど、
この「小説」の主人公も逃げまくります。
東京中をあの手この手で逃げまくる、
悪党面の逃亡者、
彼の目的は1つ、
逃げまくって、1つの命を救う事。
高野和明の傑作スリラー「グレイヴディッカー」
「グレイヴディッガー」高野和明
ネタバレをせずに、紹介します
主人公は悪党面の32歳、東京中を逃げまくる事になる男です。
・八神俊彦(やがみとしひこ)
若い頃から悪党だった八神。警察の少年課にもお世話になった事がある筋金入り。
憎めないキャラですが、悪党面なのは間違いありません。
八神はある決心をします。
改心しよう。
骨髄ドナー登録をして、他人の命を救おうとしていました。
そしてとうとう、八神は改心できるチャンスを掴みます。
骨髄を提供する事が決まり、人の命を救える、八神は本気です。
骨髄を提供するための入院が明日に迫っていた八神に、
恐ろしい災難が待っていました。
連続猟奇殺人事件が発生。
最初の犠牲者は八神の知り合い。
残念ながら重要参考人として八神は警察に追われる事に。
ここから八神の逃亡劇は幕を開けます。
警察が追いかけてくるのは想定内ですけど、
警察とは関係の無い組織の人間たちまでもが、
必死になって八神を追いかけて来ます。
八神はただ改心したかっただけなんです。
自分の骨髄を提供して、骨髄を必要としている他人を助けようとしていた、
それだけなんです。
それなのに、
連続猟奇殺人事件に巻き込まれ、挙句に、
警察と妙な組織、両方に追われる羽目に。そして、もう1人。
墓掘人(グレイヴディッガー)なる存在が・・・。
ある意味、
東京一の人気者になった八神、
そんな八神包囲網をくぐり抜けて、
無事に入院する事は出来るでしょうか?
1つの命を救う事が出来るでしょうか?
八神俊彦という男の逃亡劇、
「グレイヴディッガー」
映画を観ているように読み進められる傑作スリラー、
悪党として経験値の高い八神、
逃げるセンスは抜群です。
「グレイヴディッガー」を読んだ方達のレビューを、紹介します
・「グレイヴディッガー」を読んだAさんのレビュー
★★★★★映画化希望★★★★★
・「グレイヴディッガー」を読んだBさんのレビュー
これは面白かったです。
公安警察、骨髄移植、魔女狩り、連続殺人、ページをめくるのが止まらずに寝不足ですね。
八神の逃走劇が最高に良かったです。
どーしても憎めない人柄。移植の為に死ぬ気で走るのを心の中で応援していました。
無事に小さな命を救えたと信じたいです。
・「グレイヴディッガー」を読んだCさんのレビュー
かなりハチャメチャな展開だったけど一気に読めてすごく面白かったです。
八神の外見の悪さと内面の優しさの対比が、コミカルで陰惨な事件の衝撃を軽くしてくれました。
それにしても、公安の闇が深過ぎて怖過ぎますね。
・「グレイヴディッガー」を読んだおじさん
最高に楽しめる、エンターテイメント性の高い「小説」です。
八神俊彦が東京中を逃げ回る逃亡劇、
一気に読み終わってしまいますよ。
もしかすると、
私と同じように映画「逃亡者」を思い出しながら読み進める人、
伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」を思い出してしまう人、
様々な逃亡劇を思い出しながら、
「グレイヴディッガー」を読み進めてしまうかもしれません。
そして、
物語の終焉で八神の行動を頭の中に想像して、
ホロっと涙が・・・。
八神俊彦という悪党が命がけで逃げる逃走劇、
1つの命を救う事だけをひたすらに、命がけで。
高野和明が贈る逃走劇「グレイヴディッガー」、
スピーディーな展開で飽きる事なく、最後まで楽しめる「小説」です。
物語の終焉に待っているホロっとまでが、八神の逃走劇です。
高野和明について
高野和明(1964年10月26日〜)は、
東京都生まれの小説家、脚本家です。
主な小説は、
出版年 | 出版元 | タイトル |
2004年 | 講談社文庫 | 13階段 |
2005年 | グレイヴディッガー | |
2006年 | K・Nの悲劇 | |
2007年 | 文春文庫 | 幽霊人命救助隊 |
2011年 | 角川文庫 | 夢のカルテ |
2010年 | 講談社文庫 | 6時間後に君は死ぬ |
2013年 | 角川文庫 上下巻 | ジェノサイド |
つい先日まで、
読んだ事のある高野和明の「小説」は2冊だけでした。
「13階段」と「ジェノサイド」だけだったんですけど、
今回、
ようやく3冊目を読み終わったので、「グレイヴディッガー」を紹介させて頂きました。
「ジェノサイド」を紹介しようと思っていましたが、
「グレイヴディッガー」が異様に面白かったので、こちらを先に。
すっかり八神の逃走劇にハマってしまいましたね。
映画「逃亡者」もそうですけど、
逃げている男は何も悪いことはしていないんです。
逃げざる負えない状況に追い込まれているだけで。
不可抗力なんですね。
逃げて逃げて、逃げまくって、真実を追いつつ逃げまくった先に、
何が待ち受けているのか、
これを楽しむのが逃走劇です。深く考える必要はありません。
楽しんでしまえばいい、
そんな八神の逃走劇「グレイヴディッガー」、
ラストのホロっとがまた・・・憎めない男です。
最後に
高野和明の「小説」を紹介したのは2冊目です。
「グレイヴディッガー」を読んだキッカケは、
このブログで紹介させて頂いた「13階段」でした。
「13階段」の記事を書きながら、高野和明を調べている時、
目にしたのが「グレイヴディッガー」、
ブログをやっていて良かった、そう思った瞬間でした。
これがもし、
ツマラナイ「小説」だったら、こんな想いになっていません。
むしろ、記事にしておりません。闇に葬っているところでした。
「グレイヴディッガー」が面白くて良かった〜、と、
本気で思っています。助かったなと。
また助けて頂きたいと思っています。
ではまた。
その他オススメ「小説」、読み応え十分です
その他、オススメ「小説」を載せておきます。
読み応え十分、
暑い夏を少しでも和らげるように、「小説」を楽しんでください。
背筋が凍る系の「小説」も混じっておりますし。
暑すぎて不快な夏、
一気読みで乗り越えてください。
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