自衛隊ミステリー『インソムニア』、日本ミステリー文学新人賞を受賞した辻寛之のデビュー作

自衛隊ミステリー『インソムニア
第22回日本ミステリー文学新人賞を受賞した辻寛之のデビュー作です。

辻寛之『インソムニア

「insomnia(インソムニア)」・・眠れないこと、不眠症

アフリカに派遣されていた陸上自衛隊PKO部隊の7人を襲った現地武装勢力

その事件の真相を探ろうと行動する、ある自衛官の物語

2016年、17年に実際に起きた「自衛隊日報問題」、
帰国隊員たちのPTSDの問題から着想を得て、
自衛隊員の苦悩と悲劇を描いた辻寛之インソムニア

ラストで明かされた真実は衝撃的で・・・後味の悪さも・・・。

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自衛隊ミステリー『インソムニア』のあらすじと感想

 

インソムニア』辻寛之

インソムニア』あらすじ

2017年2月、
アフリカのある国に派遣された陸上自衛隊PKO部隊は、
行方不明になった移動診療車の捜索依頼を受け、
葛城一等陸尉を長とした部隊7人を派遣した。

そして、
部隊は行方不明となった車両を発見。
搭乗者の姿はなく、車両のバッテリーも抜かれた状態だった。

とその時、

葛城たちの部隊に猛スピードで迫り来る軍用ジープ2台の姿が!

現地の武装勢力と思われる部隊に、
葛城たちは襲われてしまう・・・。

・・・・・・。

2017年6月、
自衛隊のメンタルヘルス官・神谷啓介は、
アフリカで殉職した自衛官の追悼式に参加していた。

追悼式が終わり、殉職した自衛官の父親から、
アフリカで何があったのか、真実を教えて欲しいと懇願された神谷は、
悩みながらも調べることを約束。

その後、
アフリカで活動していた自衛官に、さらに犠牲者が増えていたことを神谷は知る。

「アフリカで殉職した自衛官と同じ部隊にいた女性自衛官が、帰国後に自殺!」

2017年2月にアフリカのある国で行われた、
行方不明車両の捜索に関わった部隊7人のうち、1人は現地で殉職、
もう1人が帰国後に自殺。

一体彼らに何が起こっていたのか・・・。

神谷啓介はメンタルヘルス官として、
残りの5人に話を聞くこととなった。

隠蔽された真実が眠っている・・・?

インソムニア

 

 

『インソムニア』を読んだ方達の感想

男性の声
男性の声
『インソムニア』を読んだ感想

5

本当に真実を知ることが幸せなのかと最後まで考えさせられましたが、どんでん返し的なそれぞれの真実に唖然。
小出しされる真実、ストーリー展開、この国の病巣を抉り出す会話、その筆力、取材力に感服しました。



 

男性の声
男性の声
『インソムニア』を読んだ感想

3

いかにもありそうな設定で、誰も彼もが本当のことを隠します。これは舞台が自衛隊の派遣先での出来事で、隠蔽は個人から国家レベルまでそれぞれの思惑で行われ、何が本当で嘘なのか最後まで二転三転します。
世の中には不都合な真実が多すぎる、そんな一例を見た気がしました。



 

男性の声
男性の声
『インソムニア』を読んだ感想

4

インソムニア、不眠症のことを言うらしいですね。
自衛隊の駆け付け警護を題材にした社会派小説。
ミステリー要素はあまり強くありませんが、グイグイ引き込まれていく展開は圧巻。次作にも期待したいです。



 

男性の声
男性の声
『インソムニア』を読んだ感想

5

非常に重たい内容ながら、真相が徐々に明らかにされていく手法が秀逸です!今後の作品にも期待できる大物のデビューですね。



 

おじさんの感想

おじさんの声
おじさんの声
『インソムニア』を読んだ感想

 

(真実を知るべきか、知らないでおくべきか・・・)

8

 

クリストファー・ノーラン監督作、
アル・パチーノ主演の「インソムニア」が好きだったので、
何も考えずにタイトルだけで手に取った小説、
辻寛之自衛隊ミステリー『インソムニア

 

今までに読んだことのある自衛隊ものと同様、重い内容のちょっと痛ましいお話でした。

 

遠く離れたアフリカの地で、自衛隊の部隊7人が現地武装勢力に襲われ、
1人がその場で殉職、帰国後にもう1人が自殺。
7人中2人が死亡している状態でスタートする自衛隊ミステリー

 

アフリカで一体何が起こっていたのか、
本当の真実とは一体何なのか、
残された5人の証言から紐解いていく物語となっています。

 

ラストで明かされた本当に起こっていた出来事、
胸糞悪くなる後味の悪い出来事だったんですけど、
その事実を公にするのが正解なのか、犠牲となった自衛官のことを思い、隠しておいた方が良いのではないか・・・、
そんな風に考えさせられてしまいました。

 

結局、正解なんてないんでしょうね・・・。

 

インソムニアを読み終わった時、
私が思ったのは、
「事実が事実だとしても、エグい事実だとしたら、知らない方が精神衛生上、助かる」
何でもかんでも公にしろ!的な思いにはなれませんでした。

 

辻寛之自衛隊ミステリー『インソムニア
重い内容のエグい事実を含んだ物語です。
読後の感想は賛否が分かれると思いますけど、読み応えは強烈ですよ。

 

日本ミステリー文学新人賞

第22回日本ミステリー文学新人賞を受賞してデビューとなった、
辻寛之インソムニア

日本ミステリー文学新人賞は、光文文化財団が主催する公募新人文学賞です。

日本ミステリー文学新人賞

賞の目的「新しい才能と野心にあふれた新人作家の発掘」

400字詰め原稿用紙換算で350〜600枚、広義のミステリー作品を募集

正賞としてシエラザード像

副賞として賞金500万円

 

歴代日本ミステリー文学新人賞の受賞は以下の通りです。

日本ミステリー文学新人賞
回(年度) 受賞作(著者)
第1回(1997年度) 「クライシスF」
(井谷昌喜)
第2回(1998年度) 「パレスチナから来た少女」
(大石直紀)
第3回(1999年度) 「サイレント・ナイト」
(高野裕美子)
第4回(2000年度) 該当作なし
第5回(2001年度) 「太閤暗殺」
(岡田秀文)
第6回(2002年度) 「アリスの夜」
(三上洸)
第7回(2003年度) 該当作なし
第8回(2004年度) 「ユグノーの呪い」
(新井政彦)
第9回(2005年度) 該当作なし
第10回(2006年度) 「水上のパッサカリア」
(海野碧)
第11回(2007年度) 「霧のソレア」
(緒川怜)
第12回(2008年度) 「プラ・バロック」
(結城充考)
第13回(2009年度) 「ラガド 煉獄の教室」
(両角長彦)
第14回(2010年度) 「煙が目にしみる」
(石川渓月)
「大絵画展」
(望月諒子)
第15回(2011年度) 「クリーピー」
(前川裕)
「茉莉花(サンパギータ)」
(川中大樹)
第16回(2012年度) 「ロスト・ケア」
(葉真中顕)
第17回(2013年度) 「代理処罰」
(嶋中潤)
第18回(2014年度) 「十二月八日の幻影」
(直原冬明)
第19回(2015年度) 「星宿る虫」
(嶺里俊介)
第20回(2016年度) 「木足の猿」
(戸南浩平)
第21回(2017年度) 「沸点桜(ボイルドフラワー)」
(北原真里)
第22回(2018年度) インソムニア
(辻寛之)
第23回(2019年度) 「暗黒残酷監獄」
(城戸喜由)
第24回(2020年度) 「オリンピックに駿馬は狂騒(くる)う」
(茜灯里)

1997年度からスタートしている日本ミステリー文学新人賞
そこまで歴史の古い文学賞ではありませんが、
新人作家さんを知る良い機会になる賞と言えそうですね。

その1発目として、
辻寛之自衛隊ミステリー『インソムニア
読んでみてはいかがでしょうか?

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最後に

 

第22回日本ミステリー文学新人賞を受賞した、
辻寛之自衛隊ミステリー『インソムニアを紹介させていただきました。

自衛隊ものの重い内容、強烈な真実が隠された物語です。

何でもかんでも公にするのが正しいのか、
知らなくても良いことは無理に知る必要はない、と思うのかは、
インソムニアを読み終えた後に悩んでみてください。

結局、私には答えが見出せませんでした。

ただただ「う〜ん・・」と悩んで、
ただただ「エグい真実だったな・・・」とため息が出ただけ。

辻寛之の次回作「エンドレス・スリープ」も、
ただただ読んでみよう、そんな思いになりましたね。

ではまた。

 

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