新川帆立『元彼の遺言状』あらすじ/感想、2020年「このミス」大賞の大賞受賞作
第19回(2020年)、
「このミステリーがすごい!」大賞の大賞受賞作、
新川帆立『元彼の遺言状』。
新川帆立『元彼の遺言状』
✅ 第19回「このミステリーがすごい!」大賞の大賞受賞作
⇨応募数475作品の頂点
⇨応募時のタイトル「三つ前の彼」
✅ 奇妙な遺言状をめぐる遺産相続ミステリー
✅ 気軽に楽しむには最適な1冊
新人作家さんの登竜門的な賞レース「このミス」大賞。
ここから数多くの有名作家さんが生まれましたから、
作家さんのスタート作品として読み進めていただければ、
楽しめる1冊だと思います。
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新川帆立『元彼の遺言状』あらすじ/感想/「このミス」大賞
『元彼の遺言状』新川帆立
- 第1章「即物的(ザッハリッヒ)な世界線」
- 第2章「中道的(メソテース)な殺人」
- 第3章「競争的贈与(ポトラッチ)の予感」
- 第4章「アリバイと浮気のあいだ」
- 第5章「国庫へ道連れ(タグ・アロング)」
- 第6章「親子の面子(ペルソナ)」
- 第7章「道化(ピエロ)の目論見」
あらすじ
『元彼の遺言状』あらすじ
遺言状
1、僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る。
1、犯人の特定方法については、別途、村山弁護士に託した第二遺言に従うこと。
1、死後、三ヶ月以内に犯人が特定できない場合、僕の遺産はすべて国庫に帰属させる。
1、僕が何者かの作為によらず死に至った場合も、僕の遺産はすべて国庫に帰属させる。
大企業の御曹司だった森川栄治が残した奇妙な遺言状。
この元彼の遺言状に導かれ、
弁護士の剣持麗子は「犯人選考会」に代理人として参加することになった。
数百億円とも噂される遺産。
遺産を利用としている輩が湧き出してくる中、
麗子は遺産の分け前を勝ち取るべく、
自身の依頼人を犯人に仕立て上げようと奔走。
しかし、
遺言状が保管されていた金庫が何者かに盗まれてしまう。
さらに、
栄治の顧問弁護士が殺され・・・。
栄治はなぜあんな遺言状を残したのか?
元彼に翻弄される麗子が辿り着いた先は・・・。
〜『元彼の遺言状』〜
おじさんの感想
「このミス」大賞を読み続けてきた私としては、
いつも通り、気軽に読み進められるミステリー小説だった、
新川帆立の『元彼の遺言状』。
元彼が残した奇妙な遺言状から、
遺産相続を巡る血生臭い舞台の上に、色々計算した結果、率先して自ら上がった女性弁護士の麗子。
その元彼女が奔走する遺産相続ミステリー。
私は楽しめました。
強烈なハードボイルド臭だったり、
おぞましいほどのサスペンス感などは皆無ですけど、
気軽に読み進められて、ある程度の爽快感を持って読了できる1冊としては、
最適だと思います。
それに、
主人公の麗子が、ヒーロー探偵っぽくなくて、
しっかり欲のある人物として描かれているので、個人的には好きなキャラでした。
タダでは起きない精神とでも言いますか。
多少のがめつさも好印象。
飽きずに最後まで読めましたね。
第19回(2020年)、
「このミス」大賞の大賞受賞作、新川帆立『元彼の遺言状』。
女性作家さんのデビュー作、今後も期待しながら新作を待ちたいと思います。
2020年「このミス」大賞
第19回(2020年)「このミステリーがすごい!」大賞は、
475作品の応募があり、1次選考(24作品通過)、
2次選考(6作品通過)を経た最終候補の中から大賞が決定しました。
大賞賞金:1200万円
文庫グランプリ賞金:200万円(均等に分配)
- 大賞:『元彼の遺言状』/著者:新川帆立
- 文庫グランプリ:「暗黒自治区」/著者:亀野仁
:「甘美なる誘拐」/著者:平居紀一 - 隠し玉:「クロウ・ブレイン」/著者:東一眞
:「臨床法医学者・真壁天 秘密基地の首吊り死体」/著者:高野結史
:「静かに眠るドリアードの森で 緑の声が聴こえる少女」/著者:冴内城人
:「こちら副業推進部、事件です」/著者:阿部考二 - 最終候補:「悪魔の取り分」/著者:柊悠羅
大賞を受賞した新川帆立さん(1991年2月〜)は、
日本のミステリー作家、弁護士、元プロ雀士です。
アメリカ・シカゴ在住。
2020年10月、
『元彼の遺言状』で第19回「このミス」大賞の大賞を受賞し、
2021年1月より弁護士を休職、
作家業に専念しているようです。
女性作家として今後も注目されるであろう新川帆立さん、
新刊「倒産続きの彼女」も発売中です。
最後に
第19回(2002年)、
「このミステリーがすごい!」大賞の大賞を受賞した、
新川帆立の『元彼の遺言状』を紹介させていただきました。
「このミス」大賞関連の作品はほぼ、
気軽に読み進められる小説が多いので、活字慣れしていない方でも、
比較的、手に取りやすい部類ではないかと。
中には、エグさ満載といった小説もありますけども、
今作『元彼の遺言状』は大丈夫です。
サラッと暇つぶしに利用するのが最適。
女性作家の小説を読む機会が、極端に少ないおじさんですので、
新川帆立さんにはどんどん新作を出して欲しいと思っています。
ではまた。