「中山七里」の、可愛い表紙の「ミステリー小説」で騙されてください
今回紹介する「小説」は、ふざけたタイトルの「小説」です。
文庫の表紙も、気の抜けるような絵ですし、
怖さを一切感じない表紙なんですが、
読んでみるとこれがまた・・・。
「このミステリーがすごい!」大賞関連の、
「なかやましちりのみすてりーしょうせつです。」
平仮名だけの文章って、
子供らしい可愛さもありますけど、これが犯行声明文だとしたら、
背筋がゾクッとしますね。
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「中山七里」の「ミステリー小説」、表紙は少し可愛いですが・・・
「連続殺人鬼カエル男」 中山七里
第8回「このミステリーがすごい!」大賞
賞 | 受賞・最終候補 | 著者 |
大賞 | トギオ | 太郎想史郎 |
さよならドビュッシー | 中山七里 | |
優秀賞 | パチンコと暗号の追跡ゲーム | 伽古屋圭市 |
隠し玉 | もののけ本所深川事件帖オサキ江戸へ | 高橋由太 |
死亡フラグが立ちました | 七尾与史 | |
最終候補 | 連続殺人鬼カエル男 | 中山七里 |
太陽に向かって撃て | 森山五丈 |
第8回「このミステリーがすごい!」大賞の最終選考に、
「さよならドビュッシー」と共に残った作品です。
「さよならドビュッシー」と「連続殺人鬼カエル男」、
同じ作者とは思えません。全くタイプの違う「小説」になっています。
ネタバレせずに、紹介します。
テーマは重いです。
「刑法第39条」という、
心神喪失者の責任能力を問う法の是非を考えてしまう「ミステリー小説」です。
「きょう、かえるをつかまえたよ。はこのなかにいれていろいろあそんだけど、だんだんあきてきた。おもいついた。みのむしのかっこうにしてみよう。くちからはりをつけてたかいたかいところにつるしてみよう。」
新聞配達員が発見した死体のそばにあった犯行声明文です。
埼玉県飯能市にあるマンションの13階で発見された死体。
人の所業とは思えない残忍さと、相反する幼さを感じさせる声明文、
このギャップが背筋をゾクッとさせます。一体、誰がこんな事を・・・。
殺人鬼「カエル男」による最初の凶行。
事件を追う埼玉県警の2人の刑事。なかなか捜査の進展をみられず、
またしても「カエル男」の犠牲者が・・・。
「中山七里」の「ミステリー小説」
「連続殺人鬼カエル男」
表紙に騙されてください。
この「小説」を読んだ方達の感想を、少しだけ
久しぶりに面白くて一気読み!
作者はこのミス!大賞に本作と「さよならドビュッシー」を出したというから驚きです。
いわゆる天才ってやつですね。
表紙もカエル男って表現も、全然怖くなさそうなのに、不気味でグロテスクなミステリーでした。
精神疾患のある人が犯した罪についても考えさせられてしまいます。
これでもかというほど執拗に◯◯◯が痛めつけられる場面では、
痛いって〜もうやめて〜と、思わずにはいられません。
以前からずっと気になっていました。この「連続殺人鬼カエル男」っている題名。
なんかB級っぽいのですが、妙に惹かれてしまいます。
そしてやっと手にする時が。
読み始めるとその異常な程の喰いつきやすさで、私は3分後、文中の舞台袖に立っていました。始まりは口にフックを掛けられ吊るされた女性の猟奇殺人。その後も猟奇殺人は続きます。犯人は誰か?次の被害者は誰か?
そして話は段々とエンタメ性を帯びてきて、私は引きずられながら最終章へ。
最後は畳み掛けるようなどんでん返し。そして最後の一行で私の口は半開きになり、同時に瞳孔も開きましたね。お見事!です。
メチャクチャグロかったけど、メチャクチャ引き込まれて休み時間ごとにずっと読んでいて、授業中もずっと気になり、どんでん返しのどんでん返しのどんでん返しで面白かったです。
「さよならドビュッシー」とこれを一緒に応募出来る中山さんはもの凄いですね!
「ふたたび」が早く読みたい!
(エグいしグロいし、表紙には騙されるのに、なぜか面白い)
冒頭からエグいシーンで始まる「連続殺人鬼カエル男」、
刑法第39条の是非を問う異色の社会派ミステリーと評されるほどテーマが重く、
エグい描写満載の「ミステリー小説」です。
「カエル男」という題名と、気の抜けるような表紙に、
是非、騙されてください。
凄惨な事件を起こす「カエル男」、
「カエル男」を追う警察、
被害者遺族達の苦悩、
答えを導き出せないけど、永遠に語り尽くさないといけない刑法第39条の是非、
どんでん返しの帝王と言われる「中山七里」の、
「連続殺人鬼カエル男」
オススメします。
「さよならドビュッシー」は読みましたが、これはまだ・・・。
そんなあなたには「カエル男」が待っています。
中山七里について
中山七里(1961年12月16日〜)は、岐阜県出身の小説家です。
趣味は映画鑑賞で、「ジョーズ」を観てのめり込んで、
自身のオールタイムベストは「E.T」だと語っています。今でも年に1回は必ず観るそうです。
以前にも書いておりますが、
私が中山七里を知ったのは、
宝島社、NEC、メモリーテックの3社が創設したノベルス・コンテスト、
「このミステリーがすごい!」大賞です。
「このミステリーがすごい!」大賞
回(年) | 賞 | 作品 |
第6回(2007年) | 最終候補 | 魔女は甦る |
第8回(2009年) | 大賞 | さよならドビュッシー |
最終候補 | 連続殺人鬼カエル男 |
初めて読んだ中山七里の「小説」は、
「さよならドビュッシー」です。それで好きな作家になりましたね。
・「さよならドビュッシー」は映画にもなっています(2013年公開)。
残念ながら私は観ておりません。
「さよならドビュッシー」で始まった岬洋介シリーズでは、
明るく爽やかな音楽ミステリー路線を執筆していますが、本人は音楽に関して素人で、
楽器も演奏できないようです。
中山七里の思いは「ミステリー=驚きの文学」で、
最後の数ページで世界観がガラリと変わるどんでん返しが仕掛けられている事が多く、
いつからか「どんでん返しの帝王」と呼ばれるようになりました。
今回紹介した「連続殺人鬼カエル男」にもその傾向はあります。
どんでん返しが仕掛けられていますので、是非読んで確認してください。
エグくて考えさせられる「小説」ですけど、楽しめますからね。
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最後に
「連続殺人鬼カエル男」の待望の続編、
「連続殺人鬼カエル男ふたたび」が文庫化されて発売しています。
私は今まさに、読み進めている最中でございます。
読む進めている最中、
「あっ、前作を紹介していなかったなぁ」
という事で、今回の記事が出来上がりました。
「小説」を30冊以上紹介していると、たまにこういう事が起こります。
読み進めていて、関連している「小説」を唐突に思い出す、
そしてブログの記事へ、
なんだかブログに私生活が侵食されているようで、少し背筋が・・・。
もし1年後、まだブログを書いていたら、
「ブログ男」として名乗らせてもらおうかと・・・。
くだらないので、この辺で。
ではまた。
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