『科警研のホームズ』、「このミス!」大賞の優秀賞を受賞した著者によるミステリー

名探偵と聞いて名前が浮かぶのが、

シャーロック・ホームズ

日本で言うと金田一耕助でしょうか。

様々な事件に絡んで登場する探偵役は、

鋭い洞察力と、類い稀な推理力を駆使して、

颯爽と事件を解決に導きますけど、

この作品で出てくるホームズ若干異なる存在

常人離れした洞察力と閃きを持っているにも関わらず、

ちょっとやる気のないホームズです。

 

喜多喜久の『科警研のホームズ』

 

科警研のホームズ 喜多喜久

 

科警研のホームズあらすじ

東京都文京区本郷にある科学警察研究所・本郷分室
7階建ての細長いビル、その4階に3人の研修生が集まってきた。
埼玉県警から出向してきた伊達洋平
兵庫県警から出向してきた安岡愛美
北海道警から出向してきた北上純也
この3人の研修生を束ねる室長が土屋
かつて、「科警研のホームズ」と呼ばれたほどの実績を上げた人物。
1度の失敗で科警研を辞めていた土屋は、
大学で研究を続けていたが、以前の上司に呼び戻されて本郷分室の室長を掛け持つことに。
やる気の無い室長の土屋
3人の研修生はやる気満々、
本郷分室未解決事件の捜査を開始する。

〜『科警研のホームズ』〜

 

 

科警研とは?

 

科学警察研究所」の略称です。

 

警察庁の付属機関の一つとして設置された中央官庁で、
科学捜査犯罪防止交通警察に関する研究実験を行うと共に、
警察内外の関係機関から依頼された証拠物件等の科学的鑑識検査を行うことを主な任務としている、
いわば、科学のエキスパートが集まった警察の部隊です。

 

 

4つの短編から構成されている『科警研のホームズ』

 

・科学警察研究所:本郷分室
やる気は無いが、能力の高さは証明されている変わり者土屋を室長に、
伊達安岡北上ら3人の研修生が所属している分室です。

この分室に持ち込まれる事件は、

第1話:残光のメッセージ
美術品販売をしていた男性を、ブロンズ像で撲殺した事件。
犯人は逮捕されていますが、現場に残っていた「青い破片」から動機を解明すること。
第2話:楽園へのナビゲーター
ビジネス誌の編集部に務める編集者が突然死した事件。
殺人の可能性も捨てきれない事件で、分室に「真相究明」を求めて依頼。
第3話:惜別のロマンチシズム
小さな劇団で女優をしていた女性の刺殺事件。
犯人は双子の男性、そのどちらかですが、見分けが付かず、分室に「双子の区別」を依頼。
第4話:伝播するエクスタシー
女性2人が死亡、男性1人が死亡、女性1人が重傷をおった「連続辻斬り事件」。
必ず雨が降っている日に事件を起こしている犯人。
この犯人に本郷分室は迫ります。

青い破片」、「真相究明」、「双子の区別」、「連続辻斬り事件」、
この4つの短編で構成されている『科警研のホームズ』、
研修生たちが土屋にアドバイスをもらいながら、科学捜査員として成長していく物語
科学的ミステリーを楽しめる作品です。

 

 

『科警研のホームズ』を読んだ方達のレビューを、紹介します

 

 

男性の声
男性の声
『科捜研のホームズ』の感想

科警研のホームズ:土屋よりも研修で各所から来ている3人の研修生の話が中心のシリーズ、
1作目は紹介編です。
それぞれの専門分野の違いが出ていて、面白かったです。

 

女性の声
女性の声
『科捜研のホームズ』の感想

一言で言うと、ドラマを観ているみたいって感じがして、面白かったです。
1話1話で話が完結する短編なので、内容を掴むことが出来ました。
やる気が出ない室長土屋と研修生の成長も面白かったけど、
頭脳が凄いのに科警研を辞めてしまったのは、不思議です。
って言うか、ドラマ化して欲しい作品ですね。

 

男性の声
男性の声
『科捜研のホームズ』の感想

探偵的な位置でアクティブに活躍するのかと思って読み始めたので、そうか!と。
確かに活躍しているのだけど、そっちか!という感想です。
そして主人公と呼ばれるのは、実は端にいるようで真ん中にいる彼だったのか!
視野の転換が面白かったですね。
続編があれば読んでみたいです。

 

『科捜研のホームズ』を読んだおじさんの感想

おじさんの声
おじさんの声
このミス!大賞関連の小説ということで、知った作家さんです。
科学捜査を行う研修生たちのミステリー小説
科警研のホームズ
4つの短編で構成されていますので、非常に読みやすいし、
事件を科学的な見地から解決していく様を、存分に楽しめる小説となっています。

 

パッと見ですが、
科警研のホームズ」と言われる土屋が主人公だと思いがちですけど、
主人公はあくまでも研修生たちです。
土屋は鋭いアドバイスを送り、道しるべを研修生たちに与える存在。
裏方的な役割を担っています。

 

能力の高いホームズが事件を解決していく物語ではなく、
これからホームズとなり得る若者が、元祖ホームズにアドバイスをもらいつつ、
一人前の科学捜査を行えるホームズになっていくお話です。
若者たちの成長物語ですね。

 

科学捜査の地味さはありますけど、
小さな証拠から科学的な裏付けを摂って、犯人に迫っていく研修生たちには楽しませてもらいました。
連続辻斬り事件」のお話はちょっと怖かったし、
ミステリーとしてもオススメできる作品です。

 

喜多喜久の『科警研のホームズ』、
続編もありますので、今のうちから楽しんでみてください。

 

 

 

「このミス大賞!」を受賞している喜多喜久について

 

喜多喜久(1979〜)は、
徳島県出身の小説家です。

「ラブ・ケミストリー」で、
第9回このミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。

第9回「このミステリーがすごい!」大賞

回(年) タイトル 著者
第9回
(2010年)
大賞 完全なる首長竜の日 乾緑郎
優秀賞 ラブ・ケミストリー 喜多喜久
ある少女にまつわる殺人の告白 佐藤青南
最終候補 ホークウッドの亡霊 高山深雪
公開処刑人 森のくまさん 堀内公太郎
ハナカマキリの変容 美輪宙

この「ケミストリーシリーズ」、
「化学探偵Mr.キュリーシリーズ」、
「死香探偵シリーズ」などで知られる作家さんです。

科警研のホームズ』もシリーズ化していまして、
科警研のホームズ 毒殺のシンフォニア」がすでに発売されています。
科警研シリーズ」ですね。

喜多喜久は、
東京大学大学院薬学系研究科修士課程修了、
現在は大手製薬会社の研究員として勤務しているとの事ですので、
理系の経験値と、研究に関する知識が豊富
科警研のホームズ』にもその知識量が活かされていると思われます。

かといって、
科学の知識を押し付けてくるような物語ではないし、
読者が読みやすい科学物のミステリーですので、まだ読んだことの無い方は是非1度、
科警研のホームズ』を読んでみてください。
楽しめるはずです。

 

去年の「このミス!大賞に関する記事です

 

▶︎▶︎▶︎2019年「このミステリーがすごい!」大賞、大賞決定!

 

最後に

 

このミス!大賞優秀賞を受賞している、
喜多喜久科学物のミステリー小説
科警研のホームズ』を紹介させて頂きました。

ホームズと聞くと、
頭脳明晰、推理力抜群の探偵が出てきそうですけど、
こちらはそういった小説ではありません。

科学捜査を行う研修生たちのお話になっています。

もちろん、ミステリーとしても楽しめる作品です。

4つの短編で描かれていますので、読みやすさもありますから、

是非1度、
科警研のホームズ』を手にとってみてください。

ではまた。

 

(Visited 293 times, 1 visits today)

スポンサーリンク