スコセッシ監督最新作、Netflix『アイリッシュマン 』3時間半の感想
3人の男の壮大な物語。
監督のマーティン・スコセッシはこう語っています。
「映画を動かすのはキャラクターだ」
そして、この映画を動かしている3人は、
(アカデミー主演男優賞、助演男優賞を1回ずつ受賞)
✅ アル・パチーノ
(アカデミー主演男優賞を1回受賞)
✅ ジョー・ペシ
(アカデミー助演男優賞を1回受賞)
彼ら3人が1つの古典的な物語を、
忠誠と仲間同士の友情を、
そして、裏切りを。
『アイリッシュマン 』
コーヒーでも飲みながら、3時間半、実話を基にした伝記映画を、
ゆっくりと。
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Netflix、スコセッシ監督作『アイリッシュマン 』
『アイリッシュマン』
『アイリッシュマン』最終予告編
監督 | マーティン・スコセッシ |
脚本 | スティーヴン・ザイリアン |
原作 | チャールズ・ブラント「I Heard You Paint Houses」 |
出演(役名) | ロバート・デ・ニーロ(フランク・シーラン) |
アル・パチーノ(ジミー・ホッファ) | |
ジョー・ペシ(ラッセル・ブファリーノ) | |
ボビー・カナヴェイル(フェリックス・ディトゥリオ) | |
レイ・ロマーノ(ビル・ブファリーノ) | |
ハーヴェイ・カイテル(アンジェロ・ブルーノ) | |
2019年11月27日からネットフリックスで配信中 |
・本作は批評家から絶賛されています。
Rotten Tomatoesでは221件の批評家レビューのうち、96%が支持評価をして、
平均評価は10点満点中8.9点となっています。
・批評家たちの総合的な見解
「『アイリッシュマン 』は大胆で、壮大で、一生涯をたちまち駆け抜けるような映画。際立った技術と生々しい演技の数々、そしてダークなユーモアを備えた、スコセッシによるジャンルの魅力の総決算であり、近年のキャリアの勝利だ」
・ネットフリックスでの配信開始から、5日間で、米国での視聴者数が1710万人に達しています。
『アイリッシュマン 』の制作費は約1億6000万ドル。
アカデミー賞候補となりうる作品と評価されています。
結果はこちら→→第92回アカデミー賞の結果
・第77回ゴールデングローブ賞
→作品賞ノミネート:『アイリッシュマン 』
→監督賞ノミネート:マーティン・スコセッシ
→助演男優賞ノミネート:アル・パチーノ(ジミー・ホッファ役)
→助演男優賞ノミネート:ジョー・ペシ(ラッセル・ブファリーノ役)
結果はこちら→→第77回ゴールデングローブ賞の結果
『アイリッシュマン 』あらすじ
車椅子、大きな指輪、金の時計、
静かに話し始める老人、フランク・シーラン。
彼が語る半生には裏社会の全てが詰め込まれている。
家族、仕事、出世、仲間、友情、殺し、そして裏切り。
絞り出せる最後の1滴が祈りになるまで、
シーランの半生に刻まれた裏社会の全て。
肉の塊を運んでいたトラック運転手のシーランが、
その後の人生を変える裏社会のボス:ラッセルと出会い、
犯罪行為に手を染めていき、依頼があれば躊躇なく引き金を引く。
裏社会の一員となったシーランはやがて、
ジミー・ホッファと行動を共にすることに。
シーラン、ラッセル、ホッファ、
3人の物語を語り続けるシーランの声は届いてくる。
祈りに変わるまで・・・。〜『アイリッシュマン 』〜
老人ホームで過ごす車椅子の老人フランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)が、
ラッセル・ブファリーノ(ジョー・ペシ)と出会ったところから、
昔話を語り始めます。
ラッセルの依頼をなんでもこなし、
トラック運転手から裏社会の一員へ、人生が180度変わったシーラン。
そんなシーランに、ラッセルは1人の大物を引き合わせます。
・ジミー・ホッファ(アル・パチーノ)
1950年代、その人気はエルヴィスに迫り、
60年代はビートルズに匹敵してしたのではと評されるジミー。
大統領の次に力を持つ男とされていました。
アメリカ合衆国の労働組合指導者。全米トラック運転組合(チームスター)の委員長。
ジョン・F・ケネディ大統領暗殺の首謀者の1人とする説もあるぐらいの、超大物です。
フランク・シーランの半生は、
裏社会のボス:ラッセル、全米トラック運転組合委員長:ジミーとの出会いで、
大きく変わっていきます。
・1975年7月30日、
ジミー・ホッファは失踪します。行方不明に。
家族は捜索願を出しましたが、その後2度と戻らず、
1982年、死亡宣告をされています。遺体も見つかっていません。
晩年のシーランは全てを語ります。
自分の犯してきた罪、仲間との忠誠と友情、
引き金を引き続けてきた半生を思い出しながら、シーランは語ることをやめません。。
そして、ジミー失踪事件の真相を・・・。
残された言葉が祈りになるまで、
シーランは語り続けます。
マーティン・スコセッシ監督、
ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシ、
実話を基にした伝記映画、
『アイリッシュマン 』
ギャング映画の名作として、語り継がれるかもしれません。
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『アイリッシュマン』を観た方達のレビューを、紹介します
・『アイリッシュマン』を観たAさんのレビュー
シブ切なかったぁ。よく言われている前半のダルさも感じず、
笑って泣いて、
スコセッシとキャストたちの創作哲学や刻んできた人生が反映された、
贅沢なエンタメドラマでした。
・『アイリッシュマン』を観たBさんのレビュー
3時間29分堪能しました!
ドキュメンタリーのような映像もデ・ニーロ、
アル・パチーノ(演説とダンスシーン、見惚れました)、ジョー・ペシ、
この3人の円熟した演技、そして巨匠スコセッシ、
感服です!
・『アイリッシュマン』を観たCさんのレビュー
「グッドフェローズ 」、「カジノ」に続くスコセッシ監督、
デ・ニーロ、ジョー・ペシの名トリオによるアウトロー一代記。
今回もナレーション劇に音楽と黒いユーモアをまぶして、
210分の長尺を飽きずに楽しませてくれます。
文句なしの傑作中の傑作!
・『アイリッシュマン』を観たDさんのレビュー
イオンシネマで観てきました。
209分、全く退屈せずに鑑賞です。
これがNetflixのみだったらなんて、勿体無いですから。
デ・ニーロを主人公に、年代が交錯するけれど、分かりやすくて面白かったです。
たまに、え?本人?本人のそっくりさんなんじゃない?
と思われる若き年代部分ありですw
おじさま達が最高に素敵でした!
『アイリッシュマン 』を観たおじさんの感想
・『アイリッシュマン 』を観たおじさん
この映画の情報を知ってから数ヶ月、
期待値だけが膨らみすぎてしまって、多少、心配していたのですが、
そんな心配は無用でした。
『アイリッシュマン 』、3時間半もの長い映画でしたけど、
良い時間を過ごさせて頂きました。
レビューなんかを読んでみると、
全くハマらなかった方もいますし、途中で寝落ちした方もいたみたいで、
低評価のレビューもしっかりとあるんですが、
概ね高評価をしている方が多数でした。
私もそちら側です。
物語は、シーランの回想という形で、
ジミーとラッセル、3人の男たちの半生を描いている実話を基にした伝記映画、ギャング映画です。
細かな事は是非、1度観ていただいた方がよろしいと思いますので、
映画自体がどうとか、スコセッシさすがとか、そんな事は書かずに、
ただただ、俳優について書かせてもらおうと。
デ・ニーロ、パチーノ、ペシ、時にはハーヴェイ・カイテル、
この方々は百戦錬磨のおじいちゃん達です。大御所中の大御所の方達ばかりですから、
映画界での経験値は半端ではありません。
いつも思うのですが、こういう経験値をお持ちの方は、歳をいくら重ねても、
目の力が衰えないんですよね。結局、存在感なんでしょうけど。
画面の中に収まっているだけなのに、視聴者を惹きつける力に溢れている、
恐ろしいおじいちゃん達です。
俳優に対する好き嫌いはあるでしょうが、一見の価値はあると。
これは、「ネトフリ」で『アイリッシュマン 』が終わると、
次のオススメ動画が表示されますので、そのまま飛んで頂ければ分かると思います。
(もしくは、「ネトフリ」内でアイリッシュマン と検索)
スコセッシを囲んで、デ・ニーロ、パチーノ、ペシの4人が語り合う動画があるんですけど、
これを観ていてビックリしました。
おじいちゃん達はCGでメイクをしていたらしいんですよ。特殊メイクではなく。
幅広い年齢を演じるために、最新技術のCGを駆使して作られた映画です。
抜群の存在感を擁するおじいちゃん達オールドパワーと、
映像世界の最新技術CGを駆使するニューパワーを合体させて生み出されたのが、
『アイリッシュマン 』
おじいちゃん達だけで撮られた作品ではありません。
古臭く感じるようで、実は新しい、私はビックリしてしまいましたね。
長々と書いてしまいましたが、最後にもう1つだけ。
『アイリッシュマン 』、冒頭あたりで、
シーランとラッセルがレストランの中でパンを食べながら、語り合っているシーンがあって、
そこで流れている音楽がですね、
「ゴッドファーザー:愛のテーマ」の一節に聞こえてしまうんです。本当にちょっとだけ。
何の曲なのか分かりませんけど、私はニヤけてしまいました。
意図があるとかないとか、どうでもいいんですが、
妙に良いシーンです。後々にも繋がるシーンですから、少し、注目して頂ければなと。
こんなに感想を書いてしまいながらも、百聞は一見にしかず、ですので、
『アイリッシュマン 』、3時間半もの時間をかけつつ、なおかつ、
その後の対談動画を合わせると4時間にも及ぶ、超長〜い時間を失う事になります。
オススメは、休日、コーヒーでも飲みながら、2回ほど休憩を挟み、ゆっくりと。
『アイリッシュマン 』、
今現在、「Netflix(ネットフリックス)」で視聴可能です。
※『アイリッシュマン 』は映画館でも視聴可能になっています。
劇場数、1日の公開回数は少ないですけど、大スクリーンでも観られるようになっていますので、
「ネトフリ」で観られないという方は、
そちらを。
「アイリッシュマン イオンシネマ」
で検索して頂ければ、お近くの映画館を探せると思います。
(2019年11月28日現在)
歴代ギャング映画ランキング
申し訳ありません。
10年ほど前の統計結果ですので、
今現在は変わっている可能性があります。
それでも、
ギャング映画やマフィア映画の順位にそれほどの変動は無いでしょうから、
記載させて頂きます。
英国最大の映画雑誌「エンパイア」が、
読者10000人、ハリウッドの映画関係者150人、
映画評論家を対象に「過去最高の映画」に関するアンケートを実施しました。
そのアンケートから選ばれた500本ほどの映画から、
ギャング映画、マフィア映画をピックアップして、ギャング映画ベスト10を。
ギャング映画、マフィア映画ベスト10 | ||
順位 | 歴代映画順位 | タイトル |
1位 | 1位 | ゴッドファーザー |
2位 | 6位 | グッドフェローズ |
3位 | 9位 | パルプ・フィクション |
4位 | 19位 | ゴッドファーザーPARTⅡ |
5位 | 38位 | ヒート |
6位 | 84位 | L.A.コンフィデンシャル |
7位 | 92位 | ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ |
8位 | 117位 | ミラーズ・クロッシング |
9位 | 150位 | フレンチ・コネクション |
10位 | 177位 | シティ・オブ・ゴッド |
ちなみに、このアンケート結果だと、
「ゴッドファーザーPARTⅢ」は歴代順位282位、
「スカーフェイス」は284位、「アンタッチャブル」は295位。
英国の「エンパイア」のアンケートですから、
他の国でやればもっと違う結果になると思います。
日本映画のトップは、
小津安二郎監督作「東京物語」(1953年)、67位にランクイン。
深作欣二監督作「仁義なき戦い」を探すも見つからず。
個人的には、ギャング映画オールタイムベスト10に入れたいぐらいです。
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スコセッシ監督のギャング映画
マーティン・チャールズ・スコセッシ(1942年11月17日〜)は、
アメリカの映画監督、脚本家、映画プロデューサー、映画俳優です。
スコセッシ監督のギャング映画は、
公開年 | タイトル | 出演 |
1973年 | ミーン・ストリート | ロバート・デ・ニーロ |
ハーヴェイ・カイテル | ||
1990年 | グッドフェローズ | レイ・リオッタ |
ロバート・デ・ニーロ | ||
ジョー・ペシ | ||
1995年 | カジノ | ロバート・デ・ニーロ |
ジョー・ペシ | ||
2002年 | ギャング・オブ・ニューヨーク | レオナルド・ディカプリオ |
2006年 | ディパーテッド | |
2019年 | アイリッシュマン | ロバート・デ・ニーロ |
アル・パチーノ | ||
ジョー・ペシ | ||
ハーヴェイ・カイテル |
ロバート・デ・ニーロとスコセッシのコンビはお馴染みです。
スコセッシのギャング映画に絞ってみても、
6作中4作でタッグを組んでいます。
ジョー・ペシは、
6作中3作に出演。
彼自身、2010年の「ラブ・ランチ 欲望のナイトクラブ」出演以来の映画。
約9年ぶりにスコセッシ映画『アイリッシュマン 』でスクリーンに帰って来ました。
出演交渉はかなり難航したみたいですね。
ハーヴェイ・カイテルは、
スコセッシのギャング映画で2回目の出演です。
『アイリッシュマン 』の中でマフィアの大ボス:ブルーノを演じていますが、
出番は多くありません。ほぼちょい役。存在感は相変わらずです。
※実在していたブルーノは、1980年3月21日、
ショットガンで後頭部を撃ち抜かれて殺害されています。
アル・パチーノはスコセッシ映画初出演です。
デ・ニーロとは「ボーダー」(2008年)以来の共演、
ジョー・ペシと初共演。
ハーヴェイ・カイテルとも、同じ映画に出演したのは初です。
今後、『アイリッシュマン 』が比べられるとすると、
この作品たちでしょうね。
ちなみに、
先ほどの「エンパイア」のベスト500の中で、
「ディパーテッド」が208位、
「ミーン・ストリート」が377位、
「カジノ」が395位。
ギャング映画ではありませんが、その他のスコセッシ作品は、
「レイジング・ブル」(1980年)が11位。
「タクシードライバー」(1976年)が17位。
「キング・オブ・コメディ」(1983年)が87位。
「ラスト・ワルツ」(1978年)が344位。
ベスト500とはいえ、全世界、今までの映画で上位500、
ですので、タイトルが入っているだけでも、もの凄いことです。
もちろん、人によって変わるというのが真実なんですけどね。
最後に
2019年11月27日、昨日、
「Netflix(ネットフリックス)」で視聴した『アイリッシュマン 』、
記事にさせて頂きました。
個人的にはその後の動画も含めて、
濃厚な4時間を過ごせました。非常に楽しかったです。
期待感があったのと、おじいちゃん達、大御所俳優が好きだという、
個人的な好みもあったとは思いますけど、
久々に濃厚なドラマを観られた感じを受けて、
大満足な4時間でしたね。
誰しもが満足できる作品とは言いませんが、
4時間、楽しんだ者のみ味わえる達成感、それがあるのは事実です。
是非、今度の休日、
ゆっくりと楽しむつもりで、『アイリッシュマン 』を視聴してもらえたらなと、
おじさんは思っています。
ではまた。