『ポルト国際映画祭』って何?2021年の最優秀作品賞は「樹海村」!
「呪怨」でお馴染み、
清水崇監督の最新作「樹海村」が『ポルト国際映画祭』の最優秀作品賞を受賞しました。
そんなニュース記事を観たので、
「『ポルト国際映画祭』って何?」
と思い、少し調べてみました。
『ポルト国際映画祭』
✅ ポルトガル第二の都市ポルトで毎年2月末から3月初旬に開催される国際映画祭
✅ 1981年に創設され、ファンタジー系作品を対象にしたジャンルを絞った映画祭
✅ ファンタジー系作品
(SF映画/ホラー映画/スリラー映画/サスペンス映画など)
✅ 愛称は「ファンタスポルト(Fantasporto)」
歴史の古い映画賞とは言えませんけど、過去には、
デヴィッド・フィンチャー監督作「セブン」も最優秀作品賞を受賞している映画祭です。
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『ポルト国際映画祭』歴代の最優秀作品賞
『ポルト国際映画祭』は、
世界三大ファンタスティック映画祭の1つに数えられています。
世界三大ファンタスティック映画祭
✅ 『ポルト国際映画祭』
✅ シッチェス・カタロニア国際映画祭
(スペイン・バルセロナ近郊のリゾート地シッチェスで毎年10月に開催)
✅ ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭
(ベルギーのブリュッセルで毎年3〜4月に開催)
映画ジャンルを絞った国際的な映画祭『ポルト国際映画祭』で、
清水崇監督の「樹海村」が2021年、
最優秀作品賞を受賞。
「セブン」、「キューブ」なども受賞していますから、
どんな映画が受賞しているんだろうと気になり、歴代の最優秀作品賞をちょっと振り返ってみます。
最優秀作品賞:1980年代〜
『ポルト国際映画祭』最優秀作品賞 | |
開催年 | タイトル(監督)(製作国) |
1982年 | 「The Rat Savior」 (監督:Krsto Papić) (製作国:ユーゴスラビア) |
1983年 | 「スキャナーズ」 (監督:デヴィッド・クローネンバーグ) (製作国:カナダ) |
1984年 | 「最後の戦い」 (監督:リュック・ベッソン) (製作国:フランス) |
1985年 | 「狼の血族」 (監督:ニール・ジョーダン) (製作国:イギリス) |
1986年 | 「Fuego eterno」 (監督:José Ángel Rebolledo) (製作国:スペイン) |
1987年 | 「Defense of the Realm」 (監督:デヴィッド・ドルーリー) (製作国:イギリス、アメリカ合衆国) |
1988年 | 「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」 (監督:チン・シウトン) (製作国:イギリス領香港) |
1989年 | 「モンキー・シャイン」 (監督:ジョージ・A・ロメロ) (製作国:アメリカ合衆国) |
1982年から始まった『ポルト国際映画祭』。
映画タイトルよりもむしろ、映画監督の方に目がいってしまいました。
デヴィッド・クローネンバーグ(1943年3月15日〜)は、
カナダの映画監督、脚本家、俳優です。
主な映画監督作には、
・1986年「ザ・フライ」
⇨第59回アカデミー賞 メイクアップ賞 受賞
・1991年「裸のランチ」
⇨全米映画批評家協会賞 最優秀監督賞・脚本賞 受賞
・1996年「クラッシュ」
⇨1996年カンヌ国際映画祭 審査員特別賞 受賞
・2007年「イースタン・プロミス」
⇨第32回トロント国際映画祭 観客賞 受賞など、
映画監督として数々の作品で評価され、カルト的人気を得ています。
・「スキャナーズ」で1983年『ポルト国際映画祭』の最優秀作品賞を受賞
リュック・ベッソン(1959年3月18日〜)は、
フランスの映画監督、脚本家、映画プロデューサーです。
主な映画監督作は、
1988年「グラン・ブルー」、1990年「ニキータ」、
1994年「レオン」、1997年「フィフス・エレメント」、
1999年「ジャンヌ・ダルク」など、
日本でもお馴染みの映画監督です。
1997年から始まった映画「TAXi」シリーズの製作、脚本を担当している事でも知られています。
・「最後の戦い」(監督)で1984年『ポルト国際映画祭』の最優秀作品賞を受賞
ジョージ・A・ロメロ(1940年2月4日〜2017年7月16日)は、
アメリカの映画監督です。
ゾンビ映画といえばこの方。
ジョージ・A・ロメロがいなかったら、
「ウォーキング・デッド」すら生まれていなかった可能性がありますね。
1968年「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」、
1978年「ゾンビ」(150万ドルという低予算で制作されたが、世界中で大ヒット)、
1985年「死霊のえじき」など、
ホラー映画界の巨匠、ゾンビの生みの親として、カルト的な人気を得ています。
・「モンキー・シャイン」で1989年『ポルト国際映画祭』の最優秀作品賞を受賞
映画監督のネームバリューは凄まじいんですけど、
映画タイトルで私が知っているのは、この香港映画だけでした。
「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」
『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』
A Chinese Ghost Story (1987) Original Trailer
・監督
チン・シウトン
・製作
ツイ・ハーク
・出演(役名)
レスリー・チャン
(ニン・ツォイサン/善人で心の優しい青年書生)
ジョイ・ウォン
(スーシン/ツォイサンが水上亭で出会った美女:幽霊)
ウー・マ
(イン・チェッハー/蘭若寺に住む道士)
ラム・ウェイ
(ハーハウ/ツォイサンが出会った剣の達人)
ラウ・シウミン
(ロウロウ/蘭若寺の近くの森に住む千年樹の妖怪)
・日本公開1989年1月14日
監督はチン・シウトン。
武術指導やアクション監督としても有名で、
「男たちの挽歌Ⅱ」、「少林サッカー」、「HERO」などのアクションにも関わっています。
製作がツイ・ハーク。
(私はツイ・ハークの監督作「ブレード/刀」が大好き)
そして、レスリー・チャンとジョイ・ウォン。
レスリー・チャンといえば「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」と「男たちの挽歌」。
ジョイ・ウォンといえば「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」。
それぐらい強い印象を残した映画です。
1988年の『ポルト国際映画祭』最優秀作品賞を受賞した香港映画、
「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」
今でも楽しめると思いますよ。
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最優秀作品賞:1990年代〜
『ポルト国際映画祭』最優秀作品賞 | |
開催年 | タイトル(監督)(製作国) |
1990年 | 「ブラック・レインボウ」 (監督:マイク・ホッジス) (製作国:イギリス) |
1991年 | 「ヘンリー」 (監督:ジョン・マクノートン) (製作国:アメリカ合衆国) |
1992年 | 「トト・ザ・ヒーロー」 (監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル) (製作国:ベルギー、フランス、ドイツ) |
1993年 | 「ブレインデッド」 (監督:ピーター・ジャクソン) (製作国:ニュージーランド) |
1994年 | 「クロノス」 (監督:ギレルモ・デル・トロ) (製作国:メキシコ) |
1995年 | 「シャロウ・グレイブ」 (監督:ダニー・ボイル) (製作国:イギリス) |
1996年 | 「セブン」 (監督:デヴィッド・フィンチャー) (製作国:アメリカ合衆国) |
1997年 | 「バウンド」 (監督:ウォシャウスキー兄弟) (製作国:アメリカ合衆国) |
1998年 | 「リバース」 (監督:ルイス・モーノウ) (製作国:アメリカ合衆国) |
1999年 | 「キューブ」 (監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ) (製作国:カナダ) |
1990年代の『ポルト国際映画祭』は、
名の通った監督の作品が多いですね。
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの監督、
ピーター・ジャクソンが手掛けたホラー映画「ブレインデッド」。
第90回アカデミー賞の作品賞と監督賞を受賞した(その他合わせて4部門受賞)、
「シェイプ・オブ・ウォーター」のギレルモ・デル・トロの初映画監督作、
「クロノス」。
「トレイン・スポッティング」、「イエスタデイ」などでお馴染み、
ダニー・ボイル監督の「シャロウ・グレイブ」。
言わずと知れたデヴィッド・フィンチャーの「セブン」。
「マトリックス」シリーズを生み出したウォシャウスキー兄弟(今は姉妹)の、
クライムサスペンス映画「バウンド」。
そしてこちら。
「キューブ」
「キューブ」
Cube Trailer
・監督
ヴィンチェンゾ・ナタリ
・出演(役名)
モーリス・ディーン・ウィント
(クエンティン/警察官の肉体派黒人男性)
ニッキー・グァダーニ
(ハロウェイ/精神科の開業医をしている中年独身女性)
ニコール・デ・ボア
(レブン/数学科の女子学生)
ウェイン・ロブソン
(レン/7つの刑務所を脱獄した経験を持つ小柄な初老の男性)
デヴィッド・ヒューレット
(ワース/無気力な独身男性)
アンドリュー・ミラー
(カザン/途中からメンバーに合流する青年)
ジュリアン・リッチングス
(オルダーソン/オープニングで”キューブ”の罠にかかる可哀想な男性)
・日本公開1998年9月12日
「ワンセット物で登場する役者は7人」という、
低予算で製作されながらも、1部のファンの間で未だ名作として語り継がれている、
”究極の密室劇で脱出劇”「キューブ」。
続編はアレな感じでしたけど、
この第1作目にあたる「キューブ」だけは別格でしたね。
(ちなみに、ナタリが監督をしたのは第1作目のみ)
・1999年『ポルト国際映画祭』最優秀作品賞を受賞しています。
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最優秀作品賞:2000年代〜
『ポルト国際映画祭』最優秀作品賞 | |
開催年 | タイトル(監督)(開催国) |
2000年 | 「サイアム・サンセット」 (監督:ジョン・ポルソン) (製作国:オーストラリア) |
2001年 | 「アモーレス・ペレス」 (監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ) (製作国:メキシコ) |
2002年 | 「Fausto 5.0」 (監督:Los Fura del Baus) (製作国:スペイン) |
2003年 | 「10億分の1の男」 (監督:ファン・カルロス・フレスナディージョ) (製作国:スペイン) |
2004年 | 「箪笥」 (監督:キム・ジウン) (製作国:韓国) |
2005年 | 「NOTHING ナッシング」 (監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ) (製作国:カナダ) |
2006年 | 「フロストバイト」 (監督:アンダシュ・バンケ) (製作国:スウェーデン) |
2007年 | 「パンズ・ラビリンス」 (監督:ギレルモ・デル・トロ) (製作国:メキシコ、スペイン) |
2008年 | 「REC/レック」 (監督:ジャウマ・バラゲロ) (製作国:スペイン) |
2009年 | 「Idiots and Angels」 (監督:ビル・プリンプトン) (製作国:アメリカ合衆国) |
「キューブ」に引き続きヴィンチェンゾ・ナタリが、
「NOTHING ナッシング」で2005年の最優秀作品賞を受賞。
その他は知らない映画ばかりなんですけど、
1つ、ヤバイ映画が混じっているので、紹介させていただきます。
「パンズ・ラビリンス」
「パンズ・ラビリンス」
Pan's Labyrinth (2006) Trailer #1
・第79回アカデミー賞
撮影賞、美術賞、メイクアップ賞を受賞
・監督/脚本
ギレルモ・デル・トロ
・出演(役名)
イバナ・バケロ(オフェリア)
ダグ・ジョーンズ(パン/ペイルマン)
セルジ・ロペス(ビダル大尉)
アリアドナ・ヒル(カルメン)
マリベル・ベルドゥ(メルセデス)
アレックス・アングロ(Dr.フェレイロ)
マノロ・サロ(ガルセス)
ロジェール・カサマジョール(ペドロ)
・日本公開2007年10月6日
「鬱映画」、「胸糞映画」、「後味の悪い映画」などで検索をかけると、
ほぼほぼヒットする「パンズ・ラビリンス」。
その手のランキングで常連になっている映画です。
「鬱」「胸糞」「後味の悪い」映画のランキング常連 | |
公開年(日本) | タイトル(監督) |
1973年 | 「ジョニーは戦場へ行った」 (監督:ダルトン・トランボ) |
1996年 | 「セブン」 (監督:デヴィッド・フィンチャー) |
2000年 | 「ダンサー・イン・ザ・ダーク」 (監督:ラース・フォン・トリアー) |
2001年 | 「ファニーゲーム」 (監督:ミヒャエル・ハネケ) |
2007年 | 「パンズ・ラビリンス」 (監督:ギレルモ・デル・トロ) |
2008年 | 「ミスト」 (監督:フランク・ダラボン) |
2011年 | 「冷たい熱帯魚」 (監督:園子温) |
そうそうたるメンツと肩を並べている「パンズ・ラビリンス」。
受け取り方は人によって違うと思いますが、
一切の含み無しにおすすめできる映画、とは言えません。
「パンズ・ラビリンス」に限らず、ランキング常連の全てを・・・。
「後味の悪い映画を超観たい!」、
そんな強烈な想いがありましたら、再生してみてください。
責任は負えません。
・「パンズ・ラビリンス」は、
2007年『ポルト国際映画祭』の最優秀作品賞を受賞しています。
動画サイト | 視聴可能な映画 |
U-NEXT | 「パンズ・ラビリンス」などが、 今なら無料で視聴可能 |
Netflix | 「セブン」「ミスト」「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「冷たい熱帯魚」などが、 定額料金で視聴可能 |
最優秀作品賞:2010年〜
『ポルト国際映画祭』最優秀作品賞 | |
開催年 | タイトル(監督)(開催年) |
2010年 | 「ハートレス」 (監督:フィリップ・リドリー) (製作国:イギリス) |
2011年 | 「Zwart water」 (監督:Elbert Van Strien) (製作国:オランダ) |
2012年 | 「Hell」 (監督:Tim Fehlbaum) (製作国:ドイツ) |
2013年 | 「MAMA」 (監督:アンディ・ムスキエティ) (製作国:スペイン、カナダ) |
2014年 | 「Miss ZOMBIE」 (監督:SABU) (製作国:日本) |
2015年 | 「Liza, a rókatündér」 (監督:ウッイ・メーサーロシュ・カーロイ) (製作国:ハンガリー) |
2016年 | 「The Lure」 (監督:アグニェシュカ・スモチンスカ) (製作国:ポーランド) |
2017年 | 「Realive」 (監督:マテオ・ヒル) (製作国:スペイン) |
2018年 | 「Ravenous」 (監督:ロビン・オベール) (製作国:カナダ) |
2019年 | 「Last Sunrise」 (監督:Wen Ren) (製作国:中国) |
2020年 | 「ゴーストマスター」 (監督:ヤング・ポール) (製作国:日本) |
ここへきて、
映画タイトルの全て、映画監督の全ての名前を一切知りません。
すいません。
日本映画が2作入っている事実・・・、
その他に書けることもないんですけど、一応、ヤング・ポールさんについて。
ヤング・ポール(1985年4月10日〜)は、
日本の映画監督です。
長編映画デビュー作となった「ゴーストマスター」で、
第37回国際ファンタスティック映画祭Spamflix Asian Film部門へ正式出品、
第52回シッチェス・カタロニア国際映画祭JAPAN MADNESS部門へ正式出品、
第40回(2020年)『ポルト国際映画祭』の最優秀作品賞を受賞と、
世界三大ファンタスティック映画祭全てに選出されています。
長編映画はまだ1作ですが、
まさにこれからの監督さんですね。
『ポルト国際映画祭』最優秀作品賞を受賞した初の日本映画が、
SABU監督のゾンビ映画「Miss ZOMBIE」。
そして2020年はヤング・ポール監督の「ゴーストマスター」。
動画サイト | 視聴可能な映画 |
U-NEXT | 「Miss ZOMBIE」「ゴーストマスター」などが、 今なら無料で視聴可能 |
今年2021年、
2020年の「ゴーストマスター」に引き続き、日本映画が連覇しています。
2021年:最優秀作品賞に「樹海村」
「樹海村」
樹海村 60秒<予告>
・監督
清水崇
・出演(役名)
山田杏奈(天沢響)
山口まゆ(天沢鳴)
安達祐実(天沢琴音)
原日出子(天沢出子)
神尾楓珠(阿久津輝)
倉悠貴(鷲尾真二郎)
工藤遥(片瀬美優)
大谷凛香(アキナ)
塚地武雄(野尻雄二)
國村隼(出口民網)
・日本公開2021年2月5日
「入ったら生きては出られない」と噂される”富士の樹海”を舞台としたホラー映画。
清水崇監督の「犬鳴村」に続く「実録!恐怖の村シリーズ」第2弾が、
「樹海村」です。
・2021年『ポルト国際映画祭』最優秀作品賞を受賞しています。
2020年に続き、2年連続で日本映画がトップになりました。
(ちなみに、「樹海村」は2021年6月9日にBlu-ray&DVDが発売予定となっています)
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最後に
駆け足ではありますが、
『ポルト国際映画祭』について紹介させていただきました。
【「樹海村」が『ポルト国際映画祭』最優秀作品賞を受賞!】、
そんな記事を読まなければ、絶対に素通りしていた映画賞です。
「セブン」や「キューブ」の存在があったとしても、
多分、気にも留めなかったのではないかと・・・。
そういう意味では良かったです。調べられましたし。
まだまだ世の中には不思議な映画賞がありますので、
また記事にさせていただきます。
世界三大ファンタスティック映画祭の1つ「シッチェス・カタロニア国際映画祭」などにも、
グランプリ受賞作品の一覧に、おぞましいタイトルの映画もありましたしね。
いつか記事にします。
ではまた。