リカシリーズ第8弾『リベンジ』あらすじ/それぞれの復讐/感想、一気読みするほどオゾマシイ・・
五十嵐貴久のリカシリーズ、
今作の『リベンジ』が第8弾です。
発売順、時系列順に並べてみますと、
リカシリーズ
✅ 発売順
「リカ」⇨「リターン」⇨「リバース」⇨「リハーサル」⇨「リメンバー」
⇨「リフレイン」⇨「リセット」⇨『リベンジ』
✅ 時系列順
「リバース」⇨「リセット」⇨「リフレイン」⇨「リハーサル」
⇨「リカ」⇨「リターン」⇨『リベンジ』⇨「リメンバー」
今作『リベンジ』は、
リカシリーズの時系列的に7作目という位置づけです。
発売されたのはつい最近、第8弾ですけど7作目という・・・。
ここまでくると、
時系列を追いつつ読み進めるのも楽しいんですが、
もう発売順に読み進めるのがベストなのではないか、そんな気がしてしまいます。
(作者もそうおっしゃっていますしね)
私は発売順に読み進めてきて、
第8弾の『リベンジ』にぶち当たり、それはそれは、楽しめました・・・。
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リカシリーズ第8弾『リベンジ』
リカシリーズ第8弾『リベンジ』五十嵐貴久
- 第1章「興信所」6〜
- 第2章「自殺」54〜
- 第3章「5ー4=1」105〜
- 第4章「西へ」150〜
- 第5章「捜索」204〜
- 第6章「日記」258〜
- 第7章「切断」307〜
- 第8章「沛雨」353〜
- 『リベンジ』に至るまでに起きた出来事/後書きに代えて 402〜
あらすじ
『リベンジ』あらすじ
〈雨宮リカを追いかける青木孝子〉
約2年前、
雨宮リカへ12発の銃弾を撃ち込み、
その責任を取らされて懲戒免職となった青木孝子は、
浮気調査専門の興信所に勤めていた。
12発の銃弾を撃ち込んだとはいえ、
あの雨宮リカが死んだとは思っていない孝子。
リカからの復讐に怯えながら日々を過ごしていたが、
リカと思われる女の目撃情報を得て、自分自身の復讐心を駆り立てながら、
雨宮リカへ再度、接近することに・・・。
〈雨宮リカを追いかける佐藤勝幸〉
テレビジャパンの報道局からバラエティ制作部へ、
いわば格下げ異動を食らっていた佐藤勝幸は、
再び報道局へ返り咲くために1発逆転を狙っていた。
そこで佐藤が目を付けた事件、
「雨宮リカ事件」。
数年前に高尾山で見つかった手足の無い死体が発見され、
その事件を追っていた警視庁の刑事も殺されたこの事件を、
深掘りして番組を制作すれば、報道局への帰還に役立つのではと、
佐藤は雨宮リカを追いかけていく。
そしてこの2人、
〈青木孝子〉と〈佐藤勝幸〉、
2人の物語は交わる訳ではない。全くの別物・・・。
だが、
ある1点においては、同じだったと言わざるおえない。
〈・・・雨宮リカへ近づいてしまった・・・〉
〜『リベンジ』〜
それぞれの復讐
五十嵐貴久のリカシリーズ、
第8弾『リベンジ』で描かれているのは、それぞれの復讐です。
〈青木孝子〉の視点で描かれている復讐、
〈佐藤勝幸〉の視点で描かれている感染的な復讐、
この2点を軸に物語は進行していきます。
ですが、
この2点だけではありません。
もう少しあるんです、復讐心を持った存在が・・・。
青木孝子の場合
〈青木孝子の場合〉
雨宮リカの狂気に、もの凄く近い場所で触れてしまいながら生き残っている、
数少ない人間の1人:青木孝子。
孝子の復讐心は強烈です。
恋人であり現職の刑事だった奥山を殺され(切断された頭部を視認)、
親友であった梅本尚美の右目を抉り、尚美の精神を壊した雨宮リカへの復讐心。
雨宮リカと対峙した孝子は、
12発の弾丸を撃ち込んで、リカへの復讐を果たしたはずでしたが、
リカは再び孝子の目の前に・・・。
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ある女の場合
〈ある女の場合〉
この復讐はネタバレになるので、細かいことは書けません。
知ってしまうと、面白さが半減してしまいますので。
ただ、
この復讐も非常に強烈なものとなっています。
ある女性の姉が、自殺にまで追い込まれた出来事への、妹の復讐です。
そして、
雨宮リカの狂気が感染するという、オゾマシイ結末を生み出す復讐・・・。
『リベンジ』の第7章「切断」に描かれています。
雨宮リカの場合
〈雨宮リカの場合〉
雨宮リカという存在の場合、復讐というよりも、排除、という感じがしてしまいます。
リカの世界に踏み込んできたゴミを排除、
目障りな存在をただただこの世から消す、といった圧倒的な狂気です。
数年前に、
12発の弾丸を撃ち込んできた青木孝子、
その邪魔な存在が再び私に近づいてきている・・・「じゃあはいじょするねじゃまだから」。
「ころすころすころすころすころすころすころすころす」
そして、
雨宮リカの狂気は感染するだけではなく、
遺伝も・・・。
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そして、あの女性・・
〈そして、あの女性・・〉
これも、ネタバレになってしまうので多くは語れませんけど、
発売順だと第7弾、
時系列順だと2作目にあたる「リセット」を読んでいると、
非常にテンションの上がる人物が〈あの女性〉です。
彼女が生きていたという事実と、
雨宮リカへの復讐心を持ちつつ、再度登場してきた流れを考えてみると、
この先の物語への期待度が跳ね上がってしまいます。
『リベンジ』の最終章「沛雨」、最高でした。
おじさんの感想
五十嵐貴久のリカシリーズ、
その最新作である第8弾『リベンジ』を読ませていただきました。
時系列でいうと、
リカ誕生の物語「リバース」から始まり、
女子高生のリカ「リセット」、
看護学生のリカ「リフレイン」、
看護婦のリカ「リハーサル」、
狂気のストーカー時代のリカ「リカ」、
その10年後のリカ「リターン」、
そして『リベンジ』、
リカの狂気が感染する「リメンバー」となっております。
(私が読み進めた順番は発売順です)
今作『リベンジ』を読み終えて感じたのは、
まだリカシリーズを読んでいない方、時系列で読み進めようとするのはやめて、発売順で読み進めたほうが明らかに楽しめる、ということです。
なぜならですね、
この『リベンジ』、
時系列順の8作目「リメンバー」の要素であった“感染”といった部分も描かれているし、
時系列順でいうと2作目、
発売順でいうと前作にあたる第7弾の「リセット」に登場してきた人物が、
最高のタイミングで今後に期待を持たせてくれるから。
時系列を追ってしまうと、
「誰?この女性・・・」となりかねません。
テンションの上がる部分を逃さないよう、是非、
リカシリーズをこれから読もうとしている方、発売順で読み進めることをオススメします。
そうすればこの『リベンジ』、最高に楽しめるのは間違いありません。
雨宮リカが辿った“狂気の道筋”を堪能しつつ、
リカに触れてしまった者が陥る闇“狂気の感染”、
そして、
新たなオゾマシイ部分である“遺伝”を感じながら、一気読みしてしまう物語です。
『リベンジ』に至るまでのリカシリーズ、
発売順に読み進めてみてください。シリーズ8作目にしてなお面白いなんて、そうそうある事じゃありませんからね。
最高の暇潰しになると思いますよ。
最後に
五十嵐貴久のリカシリーズ第8弾、
『リベンジ』を紹介させていただきました。
一応、
リカシリーズのドラマと映画も視聴したんですけど、
やっぱり原作が何より面白いのは間違いありません。
原作をそのまま映像化する、リカシリーズでは無理ですね。
『リベンジ』の第7章「切断」や、
第8章の「沛雨」などを映像化するなら、
ハリウッド、もしくはA24にお任せして、
「ミッドサマー」や「ヘレディタリー/継承」を生み出したアリ・アスター辺りにやらせないと、
リカシリーズは描ききれません。
超怖いけど、いつか観てみたいものです・・・。
そして、
『リベンジ』に直結する世界を描くらしいリカシリーズの次回作、
楽しみにしています。
ではまた。