『怪物の木こり』、第17回「このミス」大賞を受賞した倉井眉介のデビュー作

2020年10月21日

2018年、
第17回このミステリーがすごい!大賞大賞受賞作

このミス大賞2018年チャンピオンです。

著者の倉井眉介(くらいまゆすけ)さんはこの作品で「このミス!大賞を受賞して、
2019年に作家デビュー。
「受賞の連絡を受けたときは、ガッツポーズが出ました。そして今度は、書籍が本屋さんに並んで本当に嬉しい。同時に売れ行きも気になります」(倉井眉介のコメント)

もちろん、初読みの作家さんです。

本のタイトルもなかなかに興味をそそられるもので、

一体どんな話なんだろう・・

と、背表紙を見てあらすじを読んでみようと思わせる顔(タイトル)をしています。

第17回「このミス」大賞受賞作『怪物の木こり』

 

怪物の木こり 倉井眉介

 

怪物の木こり』のスタート地点

今から26年前。静岡県。
針葉樹の森を抜けたその先にひっそりと佇んでいる洋館「魔女の館」。
捜索差押許可状を持った静岡県警捜査第1課所属の30人が踏み込んだ。
2000年2月6日、
洋館に住んでいる東間夫婦のもとから4人の幼児を保護
裏庭からは15体の幼き遺体が発見された。
静岡児童連続誘拐殺人事件
事件の詳細は凄惨を極めていたので、一般にはほとんど知らされることなく、
人々の記憶から徐々に消えていっていたが・・・。
26年という時を経て、再び「魔女の館」からの悲痛な叫び声が聞こえてくる。
「子供達に一体何をしていたんだ
そして、
保護されて生き延びた子供達は、
魔女の館」の影響を受けた大人となっていた・・・。

〜『怪物の木こり』〜

 

 

サイコパス

連続殺人鬼などによくみられる人格障害者のこと。
彼らは他人に対する共感性や、死への恐怖心が欠如していて、殺人を犯しても罪悪感が一切無い。
慢性的に平然とを吐き、考え方は自己中心的
普段は何食わぬ顔で生活をしている。
外見だけで判断するのは不可能・・・

本作の主人公はそんな「サイコパス」の二宮彰(にのみやあきら)。
普段は法律事務所を経営している弁護士。
悪人だろうと何だろうと、様々な依頼を受け、いくつもの嘘を駆使して仕事をこなす、
悪徳弁護士
表の顔が弁護士、裏の顔は「サイコパス」、
何人もの人間を殺してきた連続殺人鬼。

そんな二宮の日常が崩れるところから、この物語は始まっていきます。

レインコートを着た「怪物マスク」にいきなり襲われ・・・。

怪物マスク」と二宮
そして、26年前の凄惨な事件「魔女の館」へ通じている真実。

2018年、第17回このミステリーがすごい!大賞大賞受賞作
怪物の木こり
倉井眉介の作家デビュー作です。

 

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『怪物の木こり』を読んだ方達の感想を、紹介します

 

男性の声
男性の声
『怪物の木こり』の感想

テンポが良くて読みやすかったです。
サイコパスものにしては、「そういうことか!」と納得のいくものでしたね。
なかなか面白い物語でした。

 

女性の声
女性の声
『怪物の木こり』の感想

ずっと気になってて文庫化されるのを待っていました!な作品だったので、楽しみに読み始めました。
サイコパスの弁護士が主人公なので、どんな猟奇的なストーリー展開なのか楽しみだった割には、大人しく纏まっている印象です。
まだまだこれからの作家さんなので、今後に期待!

 

男性の声
男性の声
『怪物の木こり』の感想

サイコパス視点のミステリーの謎解き展開が新鮮で面白かったです。
脳チップをリアルに感じるSFなものと感じるかで評価は分かれそうですね。
文章は読みやすく、単に殺人メインの解決に留まらない流れも良かったと思います。

 

男性の声
男性の声
『怪物の木こり』の感想

冒頭から凄まじいストーリー展開で、テンポも早く飽きさせません。
サイコパス対シリアルキラー。
ぶっ飛んだキャラ同士が生きる意味を見出す・・・。
面白かったです。

 

 

『怪物の木こり』を読んだおじさんの感想

 

おじさんの声
おじさんの声
『怪物の木こり』の感想

 

いつも通り、「このミス大賞関連作品、文庫化ということで、
読み進めた作品です。
初めて読む作家さんですから、多少構えましたけど、
悪くない読後感を与えてもらいました。

 

怪物の木こり』はちょっとだけ近未来のお話です。
物語のキーワードの1つに、「脳チップ」というものがあるんですが、
今現在も本当に研究が進められている分野なんです。
まだまだ発展途上の分野らしいですけどね。

 

そんな「脳チップ」が今後、医学界や様々な分野で応用されていくかもしれない、
困っている人の為になる研究なら正義ですが、
仮に、悪用しようとしたら、人間の脳へ人工的に影響を与えられるとしたら・・・。
その悪用の部分にスポットを当てた作品と言えるのが、
怪物の木こり』です。

 

ただの「サイコパス」を主人公とした小説ではありません。

 

人間にとって、喜怒哀楽は大事な要素だなと、読後に感じさせてくれる作品となっています。

 

倉井眉介の作家デビュー作『怪物の木こり』、2018年の「このミス大賞受賞作
小説を、しっかり小説として楽しむには最適な賞レースを制した作品です。
冒頭から「サイコパス」目線で読み進めて、
読後に一体、どんな感情になっているのか、是非、体験して感じてみてください。

 

 

 

 

「このミス」大賞、歴代大賞受賞作

 

このミステリーがすごい!大賞は、
2002年に宝島社、NEC、メモリーテックの3社が創設したノベルス・コンテストです。

過去の歴代大賞受賞作は、

回(年)大賞受賞作著者
第1回(2002)四日間の奇蹟朝倉卓弥
逃亡作法ーTURD ON THE RUN東山彰良
第2回(2003)パーフェクト・プラン柳原慧
第3回(2004)果てしなき渇き深町秋生
サウスポー・キラー水原秀策
第4回(2005)チーム・バチスタの栄光海堂尊
第5回(2006)ブレイクスルー・トライアル伊園旬
第6回(2007)禁断のパンダ拓未司
第7回(2008)臨床心理柚月裕子
屋上ミサイル山下貴光
第8回(2009)トギオ太朗想史郎
さよならドビュッシー中山七里
第9回(2010)完全なる首長竜の日乾緑郎
第10回(2011)弁護士探偵物語 天使の分け前法坂一広
第11回(2012)生存者ゼロ安生正
第12回(2013)警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官梶永正史
一千兆円の身代金八木圭一
第13回(2014)女王はかえらない降田天
第14回(2015)神の値段一色さゆり
ブラック・ヴィーナス 投資の女神城山真一
第15回(2016)がん消滅の罠 完全寛解の謎岩木一麻
第16回(2017)オーパーツ 死を招く至宝蒼井碧
第17回(2018)怪物の木こり倉井眉介
第18回(2019)模型の家、紙の城歌田年

まだ18回の賞レースですので、
そこまで深い歴史を持っているとは言えませんけど、読み易さ抜群な作品が多いのは事実です。

例えば、
怪物の木こり』が大賞を受賞した第17回の「このミス大賞で、

優秀賞を受賞した「盤上に死を描く」(井上ねこ)。
将棋の世界をミステリーとして描いている、なんと65歳のデビュー作です。
もちろん、史上最年長での受賞。

そして、
第17回このミス大賞隠し玉を受賞して、こちらもデビュー作となっている、
越尾圭「クサリヘビ殺人事件 蛇のしっぽがつかめない」。
(「クサリヘビ」というのは、ワシントン条約で取引が規制されている猛毒を持っている蛇です。)

このミス大賞に関わってデビューする作家さんが多いので、
新たな発見をするキッカケとなる可能性も高いですし、
「文章を難しくすれば、作品に重みが出るでしょ?」みたいな作品が皆無ですから、
小説を読み慣れていない方にも、取っ付きやすい賞レースだと思います。

読み易い小説の宝庫と言える「このミス大賞
歴代大賞受賞作、その関連作も十分に楽しめるものばかりです。

このミステリーがすごい!大賞、是非1度、体験してみてください。

 

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最後に

 

第17回、2018年の「このミステリーがすごい!大賞大賞受賞作
倉井眉介の『怪物の木こり』を紹介させて頂きました。

デビュー作で、これからの作家さんの作品ですから、
多少の軽さや、受け入れ難い部分はあるかもしれませんけど、
物語としては、スラスラと先に進められる内容となっています。十分楽しめる。

ちなみに、
倉井眉介さんは、この『怪物の木こり』を第15回このミス大賞に応募しましたが、
締め切りに間に合わずに第16回にまわされ落選
再度、同じ作品を書き直し第17回このミス大賞に応募して、大賞受賞したという経緯の持ち主です。

「だから、何事も諦めるな!」なんて、おじさんチックな事を言うつもりはありませんけど、

続けて挑戦してみる

という行為には納得させられる感じがしますね。

強引にまとめさせて頂くと、
このミス大賞関連の小説に1度も手を出していないあなた、
1度だけ挑戦してみては・・・。」

ではまた。

 

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